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2015年12月24日

連載:富坂美織の「知ること、診ること、学ぶこと」
第2回 NY大学産婦人科の朝カンファへ

産婦人科医・富坂美織先生の「知ること、診ること、学ぶこと」の第2回。ユニークなショーウィンドウがNYらしい、クリスマスに彩られたマンハッタンから旬のトピックスが届きました。

第2回 NY大学産婦人科の朝カンファへ

Happy Holidays! 

ニューヨークの街はクリスマス一色です。デパートのショーウィンドウがクリスマス仕様できれいです。

さぞ寒いだろうと思われるかもしれませんが、今年は史上最高気温。

なんと、今年は最低気温が、歴代のこの時期の最高気温を超えてしまうという異常事態で、雨は降っているものの、毎日15度程度あります。ニューヨーク近郊のスキー場では、雪がなくて困っているそうです。

 さて、毎週水曜日はニューヨーク大学の産婦人科朝カンファがあります。ニューヨーク大学附属病院は、国連本部と同じ、マンハッタンの東の端、1st Avenueにあります。

スタートは朝7時15分から。そうでした、久しぶりだったので忘れてましたが、アメリカの病院は朝が早い。この時間帯、1st Avenueはコーヒー片手に手術着の上からコートを羽織った人たちが行き交います。

先週は尿失禁がテーマで、ボトックスの使用や、超小型電池を使った体内埋め込み式装置の使用など、泌尿器の分野まで踏み込んだ勉強会でした。

そして、今週はクリスマス休暇前ということもあり、症例の一通りのブリーフィング。

各症例の経過を見ていると、“Exploratory laparotomy” つまり試験開腹が多いのに驚きます。日本だと、開腹しておいて、何もありませんでした…. というのは患者さんになかなか受け入れられませんが、こちらだと、開腹した結果、何もありませんでした→よかったですねということで受け入れられるようです。

また、こちらでは大学で教える先生方が大学病院の近くでクリニックを開業し、手術や入院の際には、ニューヨーク大学病院へ送るというシステムになっています。

私が伺ったクリニックは、在ニューヨークの日本人女性なら誰でも知っているDr安西のMidtowonNY OB/GYNです。実はニューヨークやその近郊も含めると、年間に900人近くの日本人が出産をするそうです。こちらのクリニックの特徴としては、とにかくいろんな人種がスタッフにいて、それぞれが多様な文化、慣習を持ち込みながらも、医師を中心に、しっかりとした指示系統が成り立っていること。患者さんも世界のいろんな地域から来ているため、遺伝性疾患の確認や検査の説明も、それぞれの人種に合わせて行っていました。

感染予防も徹底しており、経腟超音波のプローベはカバーをかけるだけでなく、1回使用ごとに、Cydex溶液に浸して消毒していました。アメリカでは最近のスタディで、プローベカバーの破損や体液暴露が8-81%あるとされており、経腟等のInternal Probesはhigh-level disinfectionが必要とされています。日本でもプローベのより徹底した消毒を行った方がよいと思いました。

ちなみに生殖医療のクリニック数は日本が一番多いと言われていますが、マンハッタンも生殖医療クリニックにとっては、競争の激しい地域です。そんな中で多くの症例を抱える生殖医療センターでは、朝の6時45分から外来が始まり、月曜日から日曜日まで、1日に20件程度の採卵と10件程度の胚移植をこなしていました。

今後もアメリカの生殖医療の現状を伝えていきたいと思っています。では、皆様もよいクリスマスとお正月をお過ごしください!

      富坂美織(とみさか みおり)先生

1980年東京都生まれ。産婦人科医・医学博士。順天堂大学医学部産婦人科教室非常勤講師。 順天堂大学卒業後、東大病院、愛育病院での研修を経て、ハーバード大学大学院にて修士号(MPH)を取得。マッキンゼーにてコンサルタント業務に従事した後、山王病院を経て、生殖医療・不妊治療を専門としている。 著書に~以下同じ。 著書に『「2人」で知っておきたい妊娠・出産・不妊のリアル』(ダイヤモンド社)『ハーバード、マッキンゼーで知った一流にみせる仕事術』(大和書房)などがある。 

 

 

富坂美織先生の著書

「2人」で知っておきたい
妊娠・出産・不妊のリアル(ダイヤモンド社)

女性だけでなく、男性も一緒に考えてほしい
妊娠、出産、不妊治療のこと……。
産婦人科医の立場に加えて
医療の外からの目線で
生殖医療の知識や知っておくべきことを
分かりやすく伝えています。

 


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