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2016年02月19日

後期研修後に妊娠、夫の転勤で転職……。
ライフイベントの変化の渦中にいる
内分泌科・K先生の奮闘ストーリー。

内分泌科医のK先生は後期研修終了後に妊娠し、2015年に出産。産後はご主人の転勤に伴い北陸へ移り住みます。その後、非常勤で市内の病院に復職しましたが、再度ご主人が転勤する予定で、現在は新たな勤務病院探しに奔走中。出産、子育て、夫の転勤といった、自分だけではコントロールしきれないのがライフイベントというもの。その変化の真っただ中にいるK先生が、今向き合っている悩みや不安とは――。

K医師

内分泌・代謝内科医。関東の国立大学医学部卒業後、都内の市中病院で初期研修・後期研修を終了する。後期研修中に結婚・妊娠。2015年に夫の転勤に伴い北陸に移り、地元の産婦人科で出産。産後は育児をしながら糖尿病、内分泌の専門医資格受験に向けて勉強し合格。2016年1月、子供が7ケ月になったのを機に市内の病院に非常勤として復職。4月に夫が再度転勤予定で、現在、転職活動中。

K先生が内分泌科に進もうと決めたのは学生時代。「科目を選ぶときに仕事内容だけでなく、子育てが両立できるかどうかも基準でした。内分泌科は、内科の中では緊急性が少なく、生活習慣病の患者さんが主流なので生死にかかわるシビアさがあまりない。そこが自分の思っていた将来のライフスタイルに合っていると思ったんです」。

専門医をとる前に妊娠が発覚。
将来のキャリアに不安を感じて。

 後期研修中に中学の同級生だったご主人と結婚したK先生。以前先輩の女性医師から「家事は機械化したほうがいい」と助言されたことを思い出し「2人の生活をスタートさせたときさっそく“三種の神器”のロボット掃除機、洗濯乾燥機、食洗器を買いそろえました。おかげで家のことがずいぶんとラクになりました」と話す。

そして、結婚2年目の2014年の秋に妊娠。「専門医取得前だったので妊娠してよかったのか悩んだこともありました。そのときに先輩ママでもある同じ職場の看護師さんから“子供は産むのは大変だけど育てるのも大変だから、できるだけ若いほうがいい”と言われ、子供を授かれたことを素直に喜ぶことができたんです」。この頃、ご主人は北陸に単身赴任をしており、K先生も翌年の4月には北陸に居を移し市内の病院で勤務しようと考えていた。しかし、妊娠したことでプランが変わり、臨月を迎える4月以降はひとまず離職することを決めた。

 「妊娠5ケ月ごろまではつわりが辛く、とくに空腹になると気持ちが悪くなるため、外来の合間に飴をなめたり、時間を見つけて仮眠したりして、何とかしのいでいました」というK先生。とかく20代の研修医は当直を任されることが多いが、男女限らず子供がいるドクターたちが「当直代わってあげるよ」と声をかけてくれサポートしてくれたという。「周りの先生方には本当に感謝しています。当直を外していただいても、やはり妊娠中は体調面で大変な部分が多いもの。立ち仕事でもあるオペがある科の先生はもっと苦労されているんだろうと実感しました」。

想像以上の育児の大変さで
思い通りにいかないことだらけ。

都内での勤務を終え2015年4月にご主人のいる北陸に引っ越し、6月に新天地の産婦人科で出産。住み始めたばかりの地だったがK先生はここでお産してよかったと満足しているという。「無痛分娩の産科だったんですが施設がしっかり整っていて出産もスムーズでした。分娩料金も東京より3割ほど安くて助かりました」。

 K先生は出産後、育児をしながら専門医の勉強をしようと計画しますが、不慣れな子育てと勉強の両立はなかなかうまくいかない。「育児と家事をやるだけで1日があっという間に終わってしまう。在職中は仕事をしていなければ勉強する時間の余裕があると思っていましたが現実は思い通りにいきませんでした。家では集中できないので、子供が2ケ月過ぎた頃から子供をベビーカーにのせてカフェで子供をあやしながら勉強していました」。少しずつ育児をしながらの勉強するコツをつかみはじめ、糖尿病、内分泌の専門医試験に合格する。それからお子さんが6ケ月過ぎた頃には非常勤で現場に復帰しようと以前から考えていたK先生。

「いったん現場から離れると、現場感覚が鈍ってくるんじゃないかと、常に焦りがありました。だから、できるだけ早く戻らなきゃと思っていました」。いざ、職場探しをしてみると、地方病院の人手不足を目の当たりすることになる。

 「糖尿病の専門医は東京だと800人近くいるんですが、私がいる県内は60人ほどしかいません。人手が足りないので短期間でも時短もいいから来てほしいと、お声がけいただきました。話には聞いていたけどこれほどまでに、逼迫しているとは思わなかった」。そうして、この1月から9ケ月ぶりに現場復帰したK先生。子育てを考慮してもらい、月曜~金曜の8:30~16:00の常勤で土日の救急当番や当直は免除という条件。「子供は事前に3週間ほど慣らし保育をしていたため、比較的スムーズに預けられたと思います。私自身は仕事が始まると業務に集中し子供のことはあまり考えませんが、終わると早くお迎えに行きたくなる。保育園に向かうバスの中で写真やムービーを見てしまうなど、離れている時間があると子供への愛おしさがいっそう増した気がします」

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仕事との両立はひとりでは絶対にムリ。
夫と協力し合うことで家族の絆が深まる。

復職して約1ケ月が経過したK先生。おもな仕事内容は患者7名前後の病棟管理を基本に、週2回の外来、週1回の甲状腺エコー検査を任されている。勤務前に不安を抱いていたブランクを感じることはあったのだろうか。「やはり糖尿病の治療薬は新しいものが次々と出てくるため、情報・知識のアップデートが追いつかないですね。それと救急患者対応で、すぐ体が動かなかったこともありました。とはいえ、総じて思っていたよりスムーズに仕事ができているのでほっとしています」。仕事をリスタートさせたことで子育てにも新たな気づきがあったという。「子供が保育園で新しい遊びを覚えてきたり、早い段階から他のお子さんや先生とかかわったりすることで、社会性が身についていくと感じました。また、周囲の方々から違った視点での育児アドバイスをもらえるので私自身も視野が広くなったのがよかった」。

 とはいえ、体力的には思った以上にハード。平日は5時半に起床し、子供の支度をしたら保育園への送りを夫に頼み、K先生は病院へ。16時までフル稼働して帰宅は夕食の準備、夕食、お風呂、寝かしつけ、夜中の授乳(1~2回)で、なかなか十分な睡眠時間はとれない。勤務を開始した週の金曜日の夜は、ヘトヘトで家族3人とも夕食後ベッドに倒れこむように眠りについたという。

 「目まぐるしい毎日を何とかこなすことができているのは、夫の協力があってこそです。うちは新生児期の頃から授乳と沐浴以外の育児・家事を夫に協力してもらっていたことで、自然と育児・家事に夫婦で取り組む体制ができていた。おかげで夫は子供のお世話をひと通りできるようになり、子供も夫が大好きになりました。土日は数時間夫に預けて出かけたり、試験勉強の間にみてもらったりと、頼めるところはお願いする。そのぶん夫がやってくれたことに対しては感謝の言葉をかけるように意識しています。といいながら忙しいとついピリピリしちゃうんですけどね」。

 この春からご主人が再び転勤する予定で、現在は新たな職場を探している。「仕事内容、勤務時間、エリアなど、何を優先するべきか決められず困っています。ただ、理想の形を決めつけすぎると、うまくいかないときに落ち込むので、どうにかなると気楽に考えるようにしています」。ご主人は今後も転勤が多く、子供の学校のこと、自分のキャリアなど、これからも悩みや迷いは尽きない。

「すべてはいい経験だと思っています。妊娠中・産後の際には体調を気遣ってもらい当直を代わっていただいたり、業務内容を考慮いただいたりと、これまで多くの方に助けてもらってきました。今度は自分がサポート役になって、同じように妊娠、出産、子育で困っていたら手を差し伸べたい。経験者だからこそ分かる苦労を分かち合い、女性医師たちが伸び伸びと働ける環境を、自分たちの手で育んでいきたいですね」。

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