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2016年03月22日

患者さんだけでなく家族を見守るのが地域医療。
多摩エリアで医療ネットワークを築く明石のぞみ医師の情熱。

この3月に約800人の職員をまとめる医療法人財団 天翁会の理事長に就任した内科医・明石のぞみ先生。東京郊外、多摩ニュータウンで地域医療に30年近く取り組み、患者さんが真に求める医療サポートを追及してきました。「こんなに楽しい仕事ができて幸せ」「人生、迷ったことなんてないわよ」と、常にエネルギッシュに未来を見つめる明石先生。医師として、母として、揺るぎない志を持って進む姿は、太陽のような明るさで周囲を照らしていました。

明石のぞみ先生

 青森県生まれ。聖マリアンナ医科大学卒業後、同大学第二内科医局入局。1989年より天本病院に勤務。1999年あいクリニック院長、2016年3月に医療法人財団天翁会理事長に就任。日本内科学会認定内科、日本老年医学老年病専門医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、日本在宅医学会。

20代の目標は子供を持つこと。
研修医時代に結婚し、女の子を出産。

明石先生はとにかく決断が速い。「研修医時代の目標は1番がママになること、2番が医者と決まっていました。優先順位がはっきりしていたので、迷いなく進めたんだと思います」とすがすがしく話す。研修医1年目で大学時代の同級生と結婚し、翌年に女の子を出産。高校時代までは幼稚園の先生になろうと思っていたほどの子供好き。結果的に医師の道を選んだが、当初目指した科目は小児科だった。「小さな子供の腕に注射針を刺すなんてできないと断念し、成人の身体を診るほうを選びました。ほんと、幼稚な理由でしょ(笑)」。

 出産してから、仕事に復帰したのは7ケ月後。実家の母、義母の助けを借りて何とか育児と両立していたが、当時は医局に所属しており、深夜に呼び出されることもあった。「あるとき急なオンコールが来た際は誰かにお願いすることもできず、1度だけやむなく数時間子供をひとりにしたことがありました。幸いにも娘に何事もなかったのですが、限界を感じた瞬間でもあった。大学病院で働きながら、乳飲み子を育てるのには無理なのかなと」。そんな思いが頭をよぎったときに、タイミングよく医局から「9時~17時勤務で当直ナシのいい病院があるので働いてみないか」という話が来る。そこが天翁会の前身である天本病院。これはいい機会だと思いすぐに承諾した。

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医師として地元を奔走していた父親の姿を見て
地域医療への思いが強くなった。

心動かされたのは勤務体系だけではない。天本病院は東京のベッドタウン、多摩ニュータウンで高齢化社会を見込んで地域医療にいち早く力を注いでいた病院だった。明石先生が医者を志すきっかけとなった「社会に役立つ医療」が実現できると思えたからだ。彼女の父は医師で、地元の青森で僻地医療に奔走していた。そんな姿を見て「医者になるからには社会貢献をしたい」という強い信念があった。

「赴任してすぐに訪問診療を任されたんですが、最初はどこに高齢者の方がいるか分からなかったんです。町を歩いてもあまり見かけないし。でもね、家に一歩入るといらっしゃる。そこで感じたのは、診るのは患者さんひとりだけではない。ご家族を含めて信頼関係を築き上げることが必要なんだと思いました」。ケアする側も医師だけでは成り立たない。看護師、理学療法士などが連携してこそ患者さんが満足する医療が提供できると、身をもって実感したという。「正直、大学病院時代は看護師さんというと医師の補助的な役割と思っていました。ところがここに来て看護師さんの高い知識とスキルに驚かされました。それに、患者さんって医者の前では本当のことをあまり言わない。痛いのに“大丈夫です”とがんばっちゃったりしてね。看護師やケアマネージャーの前では泣き言が出たりするんです。だから患者さんの本音を知っているのは私ではない“誰か”。そう意識して、訪問診療に携わるメンバーたちからよく話を聞いて情報を共有しています」

家族の中に入り込む訪問診療はとくに女性医師に向いていると明石先生は感じている。「患者さんの生活を見る視点は女性のほうが得意な気がします。お宅にお邪魔した際、まずは、患者さんが家の中でどのポジションにいるのかを見極めます。例えば患者さんがお父さんの場合、家族から尊敬されている方もいれば、冷たくされている方もいる。そこで“奥さんはご主人にそっけない”と思うのは安易なこと。家族それぞれに歴史があるので、理解し寄り添いながらケアしていくことが大事なんです」

やりたいことを実現させるには
いい意味で「何かをあきらめること」

 地域医療に手ごたえを感じ「自分がやりたいこと」と「やらなくてはいけないこと」が合致し、今が充実しているという明石先生。天翁会の医師、看護師、介護福祉士、作業療法士、支援相談員たちが事業所を超えて連携し、患者さんをケアする<あいセーフティネット>を運用し、きめ細やかな高齢者医療を築き上げている。「これまでを振り返ると、いい意味で“あきらめてきた”ことがよかったんだと思います。子育てを優先したかったから専門医はとらなくていいと思ったし、家庭と両立させるため9時―5時勤務に重きを置いたから、都心から離れた勤務地だったとしても念願の地域医療に従事することができた。100%を求めず自分にとって何が一番大事なのか判断することが、自分らしい道を見つけるコツのような気がします」

明石先生はこの春から理事長に就任した。「今、私にとって一番大切なのは職員です。彼らが働きやすい環境を作ってこそ、患者さんに質の高い医療が提供できます。働き方も決め込まずに、それぞれの事情に合わせて臨機応変に対応していくつもりです。そのひとつが“チャーリーズエンジェル作戦”(笑)。例えば子育て中の女医さん3人で1人分の仕事をする形にして、それぞれの都合に合わせて自由にシフトを組んでもらうとか。それと男女問わず、“子供のためなら休んでよし”と公認しています。うちは以前からもフレシキブルに働ける環境を整えているので、女性職員の復職率は90%以上です」

子育てと仕事を両立し、目指してきた地域医療を実現してきた明石先生。「自分を採点するなら母親30点、妻30点、仕事40点で100点というところかな。とくに子育てなんて手抜きしっぱなしでした。家族旅行の途中で病院に戻ったこともありましたね。私の父も休日返上で働いていたりしていたので医者ってこんなもんだと、それほど大変なこととは思っていなかったですけど」。

そんな母の背中を見てか、今では娘さんも医師として活躍している。高校時代までは医者なんて絶対になりたくないと言っていた娘さんだったが医大を受験。明石先生が何で医者に?と聞くと「だってママが、いつも楽しそうだったから」と――。その最高の褒め言葉を力に、これからも地域が一体化した高齢者医療を全力で切り拓いていく。

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明石先生が理事を務める医療法人財団 天翁会
http://www.ten-ou-kai.or.jp/
本部 東京都多摩市貝取1431-3
☎042-375-9644(代表)
☎042-374-7168(人事課・採用担当)

天翁会(新天本病院ほか)では常勤・非常勤医師ともに募集しています。 時短勤務、勤務時間調整のご相談も可能です。
【求人内容】常勤:一般内科定期非常勤:一般内科

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