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2016年04月21日

連載:富坂美織の「知ること、診ること、学ぶこと」
第6回 華やかに見えてシビアなメディアの世界。

 NYから帰国し新たなスタートを切った産婦人科医・富坂美織先生。日本テレビ『スッキリ!!』(月~金8:00~10:25)のコメンテーター(水曜日担当)の仕事が始まり、災害、事件、芸能などさまざまなニュースと向き合っています。本業とは違う、テレビの世界で感じる本音を語っていただきました。

第6回 華やかに見えてシビアなメディアの世界。

熊本の震災で被災された方々にお見舞い申し上げます。

医療物資が限られた中でフレキシビリティをもって医療支援をされている地元の先生方、DMATの先生方、日赤の先生方、自衛隊の方々、本当に頭が下がります。また、すぐに再開してしっかりと地域の人たちを支えている被災地のスーパーや、不眠不休で避難所の状況改善にあたっている地域の役所の職員の方々、そして忍耐強い被災民の方々の強さに心を打たれました。私は急性期の支援に参加できていませんが、長期的なサポートでお手伝いできればと願っています。

 さて、今回は編集部より、テレビ・書籍出版などメディアに興味のある読者も多いので、女医×メディアという題目で書いてくださいとリクエストを受けました。2011年から5年ほど、メディアの仕事にかかわってみて、経験したいろんな厳しさや楽しさを書いてみようと思います。

 私が最初にテレビの仕事をしたのは、フジテレビ『とくダネ!』のコメンテーターでした。出るきっかけになったのは、当時留学から戻って仲間と取り組んでいたゲイツ財団とのコラボ「ポリオ撲滅に向けたポリオデーイベント」にいらしてくださった当時の『とくダネ!』のプロデューサーの方に突然お声掛けいただいたことからです。

いきなり、次の週からの出演となり、不安を抱えたまま、TPPやオリンパスの問題など、前日にリサーチをして、コメントを準備したのをおぼえています。生放送で難しいのは、前日の夜に内容が大体決まり、そこから、準備をしなければいけないこと。そして、当日までの半日の間に、大きなニュースが起きると準備した内容が変更になる可能性があることです。生放送でコメントしているときは、周りがシーンと静かで、カメラだけ回っているので、緊張するし、たくさんあるカメラのどこを見ていいかよくわかりませんでした(今でもですが……)。しかも、CM前のスタジオだと、スケッチブックにCMまであと何秒という表示を出されて、とろとろしゃべっていると巻き!のジェスチャーをされてしまうこともありました。

 思ってた以上にストイックな制作現場。

そして何よりシビアだと思うのが、視聴率による評価です。視聴率チェックで、定期的にシビアな評価が飛んでくる外資コンサルのマッキンゼーにいたときのような気持ちになりました。この時に、私の中で、隣の芝は青い症候群がなくなりました。テレビ局での制作って、徹夜で企画、編集をし、1分1秒を争いながら全力で仕事をしているんだ、出演者もこんなに気遣いをしながらストイックに準備しているんだと知り、体を張って仕事をしている姿にどの分野の仕事も続けるのは寿命が縮まる思いだなあと感じました。バラエティ番組でも、台本が出来上がるまでに何度も打ち合わせを行って、一番視聴者に刺さる内容になるまであきらめずに詰めまくるし、収録は放映時間の3倍程度もあることを知りました。

今季は日本テレビ『スッキリ!!』のコメンテーターをしています。衣装は自前のときもあれば、Kay Me さんや Yuma Koshino さんから衣装をお借りしているときもあります。台本は当日の朝にもらえますが、おおまかな流れがあって、そこから先はMCの方が臨機応変に引っ張って行っている印象です。


↑『スッキリ!!』の生放送を終えて。衣装は着心地のいいKay meのワンピース。

 メディアに出ることのメリット、デメリットといえば、そうですね… メリットは他の分野でものすごく頑張っている方々に触れて、ポジティブな気持ちになれること、集中力を高めたり、言葉の伝え方を真剣に考えたりする機会が持てること。デメリットはエネルギーを割く方向性が変わってくるため、切り替えをうまくしながら臨床医としての専門性をより絞って集中する必要があるところでしょうか。

書籍出版に関しては、講演のときに話す内容を一度すでにまとめた感じになるので、頭を整理しやすくなり、よかったなと思っています。今、振り返ると自分の5年前の本の内容に赤面してしまうこともありますが……。

  富坂美織(とみさか みおり)先生

1980年東京都生まれ。産婦人科医・医学博士。順天堂大学医学部産婦人科教室非常勤講師。 順天堂大学卒業後、東大病院、愛育病院での研修を経て、ハーバード大学大学院にて修士号(MPH)を取得。マッキンゼーにてコンサルタント業務に従事した後、山王病院を経て、生殖医療・不妊治療を専門としている。
著書に『「2人」で知っておきたい妊娠・出産・不妊のリアル』(ダイヤモンド社)『ハーバード、マッキンゼーで知った一流にみせる仕事術』(大和書房)などがある。
 

 

 

富坂美織先生の著書

ハーバード、マッキンゼーで知った
一流にみせる仕事術(大和書房)

ハーバード、マッキンゼーで
世界のトップクラスと
言われる人々と出会い、
見えてきた一流の仕事術。
潜在的な可能性の見つけ方や
時間活用術など
壁にぶつかった時にこそ
力をくれるヒントが満載です。

 


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