271a1e45 e237 41ae 9a5b bbbf93eaad7c医療トピックス
2016年05月11日

joyさんぽ:石川県金沢市編
明治時代、医大生はこんな模型で学んでいた!
『金沢大学医学部記念館』

学会やスポットアルバイトなどで全国に行かれる際、空き時間にフラッと行ける場所があったらいいですよね。そんなときに使えるスポットを「joyさんぽ」と題して紹介していきます。第1回目は「金沢」。北陸新幹線の開通から1年が経ち、東京駅から2時間半と行きやすくなりました。金沢といえば古都の趣きのある兼六園、ひがし茶屋街、北陸の海の幸三昧の近江町市場など名所が盛りだくさん!ですが、ジョイネット的にはフツーじゃ物足りない、知りたい、学びたい意識が高い女医向けに「金沢大学医学部記念館」をご案内します。

日本で3番目に古い医大と言われている
金沢大で医学教育の歴史を紐解く

金沢の中心地からバスで20分ほどのところにある、金沢大学宝町・鶴間キャンパス内の医学部記念館。江戸時代に加賀藩が設けた「種痘所(反求舎)」が前身の金沢大学医学部は日本で3番目に古い医大と言われており、記念館の資料室には医学教育に使われていた貴重な教材が残されています。事前に電話で連絡しておけば大学関係者以外でも見学することができます。

明治時代に使用されていた
驚くほど精巧な人体模型

コンパクトな展示室には、計約200点の標本、資料などの一部が見やすくディスプレイされています。その中で目玉と言えるのがキンストレーキと呼ばれている紙粘土に似た素材で作られた人体解剖模型。19世紀、ヨーロッパで医学を学ぶ上で解剖できる遺体が慢性的に不足していることから、「精巧かつ分解可能な人体模型」として大きな役割を果たしていました。模型の右半分は頭から足先までが開き、中の内臓はすべて取り出せるにようになっています。筋肉や血管の形、色彩ともに繊細かつ緻密で、当時の技術の高さに驚かされます。この資料館で展示されているものはフランスの解剖学者Louis Thomas Jerome Auzouxによるもの。1868年(明治元年)に加賀藩の命で黒川良安が購入し、日本に3体しかないキンストレーキの中で、最も状態がいいとされています。


↑身長160cmの男性の模型。1883年に続き2008年に1年半かけて修繕を行った。

写真画像がない時代、
学びに使われていたムラージュや模型

明治末期から昭和30年代まで皮膚学教育に使われていたのがムラージュ。ムラージュとはフランス語で「型取り、成形」を意味し、石膏型にロウを流し込み患部の状態を再現していきます。今のように写真や映像がない時代だったので、当時の研究室ではムラージュで病状を説明したあとに、治療によって改善した患者さんをその場に連れてきてカンファレンスのようなものを行っていたと言われています。


↑実際の皮膚疾患を型にとって作られたムラージュ。

 他にも心臓、子宮内など精巧な模型が展示されています。これらが使われていた当時、多くの患者を救うために医師のタマゴたちが必死に学んでいた姿が浮かぶようです。「医療の発展のためにご自身のご遺体を検体として提供するとお言葉を残した方もいらっしゃいました。亡くなられた後、医大生が研究に使った全身の骨を展示しています。そういった方たちの熱意や医師、研究者、模型の技師たちの努力の積み重ねによって医学は発展したんです。金沢大学医学部の学生は必ずこの記念館を見学することになっており、諸先輩方の足跡を感じてもらいたいと思っています」と記念館担当の方は言います。

 ↑心房や肺静脈が再現されている心臓の模型。

↑受精卵が成長していく流れが説明されている発生過程模型。

↑眼球の動き方を糸を使って説明した眼球運動模型は明治時代に作られたもの。

 

↑顕微鏡や窒素ガスの体積を計測するビーカー<アツオトメトリー>など、実験や研究をする際に使われていた道具も残っている。

記念館には、杉田玄白、中川淳庵らが翻訳し安永3(1774年)に刊行された解体新書の初版本も書蔵されています。約300年前から積み上げられてきた西洋医学の壮大な歴史の一幕を感じてみてはいかがでしょうか。

※展示内容は随時変わります。

金沢大学医学部記念館

石川県金沢市宝町13−1金沢大学宝町・鶴間キャンパス内
問い合わせ/総務課☎076-265-2103(電話受付は月~金の8:30~17:00)

※来館の際は事前に電話でご連絡ください。
アクセスはこちら


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