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2015年07月08日

タブレットやスマホは、乳幼児教育を変えるのか?  株式会社スマートエデュケーション 代表取締役・池谷大吾さんインタビュー vol.1

今や、大人の世界では、ビジネスもプライベートでも当たり前となったタブレットやスマホの活用。これが今、乳幼児期の教育にもイノベーションを起こしているのをご存知でしょうか。今回はそのイノベーションをリードする企業である、乳幼児向けのアプリを開発・販売する「スマートエデュケーション」さんに、アプリ開発の最前線から、アプリやICTの育児への活用などについて、お話を伺ってきました。

株式会社スマートエデュケーション
代表取締役社長 池谷大吾 さん

1976年生まれ。明治大学大学院理工学研究科修士課程修了後、2000年に日本ヒューレットパッカードに入社。その後、シー・エー・モバイル取締役などを経て、2011年、スマートエデュケーションを創業。

【会社概要】
2011年6月設立。スマートフォンやタブレット端末を活用した未就学親子向けの教育コンテンツを提供。2015年6月末現在で、国内・海外向けに全21本の知育アプリをリリースしている。シリーズの累計ダウンロード数は約1400万、月間アクティブユーザーは約130万人に及ぶ。社員は20名。本社は東京都品川区。
URL:http://www.smarteducation.jp

私たちは、アプリを開発する会社ではなく、
子どもたちへの教育を行う会社

 当社は、2011年の創業以来、乳幼児を対象とした知育アプリをリリースしてきました。現在リリースしているアプリは21本(2015年6月末現在)。おかげさまで、累計のダウンロード数は、2014年11月には1000万を突破し、現在は約1400万。広告費はほとんど投入していないのですが、それにもかかわらず、お子さまを持つ親御さんたち同士の口コミなどで広まっていったので、ある程度は評価をいただけていると言ってよいのかなと思っています。

 ただ、私たちは自社のことを「知育アプリの会社」ではなく、タブレットやスマホといったスマートデバイスを使った「教育事業を行っている、エデュケーションの会社」という定義をしています。会社の理念も、「我々は教育で世界を変える。世界中の子ども達の“いきる力”を育てたい。」というもの。ですから、私たちにとってのアプリは、未来を生きる子どもたちへの「教材」なのです。教材とはいえ、乳幼児期ですから「遊びから学ぶ」が大前提。楽しくなければ子どもには見向きもされませんから。アプリを開発する上でこだわっていることは、3つあります。

 単にアナログを置き換えるだけではない、
「スマートデバイスならでは」の価値を追求

 1つ目は、大前提として「スマートデバイスならではの価値」があるアプリを提供することです。単に、紙(アナログ)でやっていたことをタブレットやスマホ(デジタル)へと置き換えただけでは、価値はそれほどありません。「なぜデジタルにする必要があるのか」「どこにICTを活用する意味があるのか」を突き詰めて考えて、納得できてからでなければ開発はしないようにしています。

 例えば、お絵描きアプリ。当社では「Goccoらくがキッズ」というアプリをリリースしていますが、単にお絵描きができるというだけではなく、スマートデバイスならではの機能が盛り込まれています。子どもは、「ここがこうなっていて、そうしたらこれが現れて…」と、一つの絵の中にストーリーがあって、そのストーリーに沿った順番で絵を描いたりすることがよくあります。

 そこで、描き終えてからも、描いていった順番を動画のように再現できるようにしたのです。すると、描き終わってからも、子どもがそのストーリーを誰かに話せたりしますよね。また、同じテーマで描かれた世界中の子どもたちの作品を閲覧することもできますし、その作品の描かれた順を追うこともできます。もちろん、自分の作品を全世界に向けて公開することも可能です。これなどは、インターネットの長所をわかりやすく取り入れたものですよね。

アプリ「GOCCOらくがキッズ」は、自分が描いた絵を世界中に公開できる。


 あるいは、これとは別の「Goccoどうぶつえん」というお絵描きアプリ。このアプリでは、固体概念に囚われずに動物を自由に色塗りでき、さらには、幼稚園・保育園でお使いいただくモードではペーパークラフトとしてプリンターから出力したりすることも可能です。画面上で二次元で作りだした絵が三次元の作品になるわけです。これは、子どもたちはもちろん、保護者にも非常に好評です。

 このように、従来では決してできなかったようなことをスマートデバイスならではの長所を生かして実現し、子どもたちの創造力や意欲を引き出していけるようにしていきたいと考えています。


アプリ「GOCCOどうぶつえん」では、なんと、描いたものがペーパークラフトに!

親子のコミュニケーションが生まれること、
「本物」のクオリティを届けることにこだわる

 2つ目は、アプリを、一人だけの世界で完結するようなものではなく、親子で一緒に楽しめて、コミュニケーションが生まれるようなものになるように設計していることです。

 例えば、「おやこでリズムえほんDX」などの歌に合わせて複数の楽器で遊べるアプリでは、親子が一つのタブレットを使って一緒に演奏できるようにしています。それ以外でも、当社がリリースしている音楽アプリは、すべて親子で一緒に遊べるようにしています。一緒に遊んで親子の共感を生むことは子どもにとってうれしいのはもちろん、相手に感情や意思を伝えることの体感・訓練にもなる。そう考えています。

 3つ目は、子どもたちに「本物」のクオリティを届けることにこだわることです。これは、私たちが、子どもたちにはより豊かな経験をさせるべきだと考えているからです。乳幼児期は、大人の何倍ものスピードで心身が成長している時期であり、その後の人生の基礎となる部分が育つ時期。ですから、子どもだからこそ、それこそ子どもだましではなく、本物に触れさせたいと考えています。実際、親心としても、同じ歌や演奏を聴かせるのなら、子どもにはより良いものを聴かせたいものですよね。

 実際、当社がリリースしている音楽アプリで使っている音は、すべて本物の楽器の音源です。当社の備品には、楽器が数多くあるのですが、それらはアプリの制作のために購入したもの。歌も、プロの歌手に歌ってもらっています。子どもは感受性が豊かですし、正直なものですから、機械で生成された音が流れるものよりは、本物の楽器やプロの声でつくられた「本物感」があるものの方に引き付けられ、より多くのことを感じるはずです。また、これは、2つ目の点とも関わるのですが、高いクオリティが担保されているからこそ、子どもだけでなく親御さんも一緒になって楽しめるわけです。


アプリ「リズムえほんDX」。これらは、すべて本物の楽器から音源をとっている。

子どもたちにとってスマートデバイスは
そんなに珍しいものではないのかもしれない

 当社では、幼稚園や保育園に行ってICT活用の一環として、私たちのアプリを用いたカリキュラムを提供することもしています。カリキュラムでは、ICTの活用力はもちろん、創造力やチームワーク力を育てることを主眼としています。カリキュラムの評価を行うと、定量的に有効性を立証できたことも強調したいことではありますが、それ以上に、日々園児と接していらっしゃる幼稚園の先生方から、定性的にさまざまな声をいただけています。

 例えば、タブレットは1人1台とまでいかないので、何人かで共有をする必要が出てきます。それで、「タブレットの取り合いになるのではないか」などの懸念も実はありました。しかし、多くの園では、かえって「子どもたちがルールや順番を守ることにつながる」という声をいただいています。

 ちなみに、懸念について言うと、「物珍しさも手伝って、子どもたちがアプリに夢中になりすぎて外遊びをしなくなってしまうのではないか」などの声もありました。ただ、これも杞憂でしたね。子どもたちは、アプリも楽しんでくれますが、やはり子どもにとっては外遊びだって楽しいし、友だちと遊ぶことだって、どれも同じように楽しいのです。ですから、いろんな活動がある中で、新しい選択肢の一つとしてタブレットを使っての活動が加わるだけでしたね。

 生まれた時、ないしは物心がついた頃にはタブレットやスマホが身近に存在していた今の子どもたちの世代は、良くも悪くも、特別なものと思わずに、「すでにあるもの」として受容する一面があると思います。ですから、「タブレットだから」「スマホだから」という考え方はせず、「何ができるか、何をすべきか」「子どもたちにどのようなことを体験させたいときに使うのが最適か」と考えればよいと思います。

次回は、スマートデバイスの活用に当たっての不安解消や適切な利用法についてご紹介いたします。


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