E1f85128 4649 400e aa45 721587cdbb06連載・コラム
2016年06月03日

連載:Dr.まあやの「今日も当直です」
第4回 脳外科ってこんな科

同じ医師でも科目によってキャラクターが違うもので、ドクターまあやの専門、脳外科医の場合は変わり者が多いイメージ!? その理由を分析してみました。

第4回 脳外科ってこんな科

joy.net読者のみなさんも、脳外科医と関わることもあるかと思う。おそらく、変わり者、堅物、えらそう…そんなイメージだろうか。今回は、脳外科医きっての変わり者のワタシ、ドクターまあやこと、折居麻綾目線で、脳外科の世界をお伝えしてみたいと思う。

 脳外科医は変わり者が多い?

 事実、脳外ドクターは変わり者が多いと思う。ワタシも十分変わっているが、ワタシからみても“あの先生変わってるわー”と思うドクターがたくさんいる。思うに、“変わっている”と言われるのは、“話しかけ辛い”“偉そう”“忙しそう”“怖い”そんなマイナスイメージが大きな理由としてあると思う。

 改めて言われないと気づかないかもしれないが、脳外科は、外科の中でも人の患者さんに対して初診から検査、オペまで、さらに緊急から慢性までのすべてを自科で診るめずらしい科である。神経内科の医者が病院に一人しかいなかったり、場合によっては、いない病院も多かったりする。脳卒中などの緊急対応ができる神経内科は、最近でこそ、血管内治療が多くなり、神経内科の先生も、専門医を持っている先生も増えてきているが、私が、出張に行っていた国立の病院も、神経内科の女医さん一人で、しかも子育て中だったため、9時—17時で帰宅してしまい、最初から脳卒中は見ません、というスタンスだった。

 脳神経外科のオペ時間は長い手術もあり、オペ後は細かい管理が必要になるし、人の生死にダイレクトに影響する疾患が多いので、気が抜けない。命に関わるという点でよく心臓外科と比較されるが、私たち脳外科の大きな特徴として、守備範囲はかなり広い。脳血管障害、脳腫瘍、外傷、機能外科、脊椎外科、小児と広範囲に及ぶ。心臓には外傷や腫瘍がないこと、そして心外には循環器内科のサポートもある。もちろん、どっちがすごいとか、どっちが大変だとかいう話ではなく、そんな事実が意外と知られていないんだな、と時々思う。しかも、脳外の患者さんは子どもからお年寄りまで、老若男女全網羅している(子どもはすべて小児科が受け持つと思いきや、頭部打撲や脳腫瘍は脳外科に紹介)。

 で、なぜ脳外科医が変人化するのかというと、代表してあえて言うならば、くたびれていて、余裕がない。緊急オンコール、当直、手術などなどいろいろなことに追われて、寝ていないストレスを抱えていたりする。他科の先生がたももちろん、呼び出しなども多く、別の大変さはあるかと思うけれど……、ちょっと、他科の先生がたに威圧的だったりすることがあるのは、くたびれの表れだったりするかもしれない……反省。

 ワタシが脳外科を選んだわけ

 ワタシは大学1年で脳外科の教授の話に感動して以来脳外に行くと決めていたものの、心臓外科もすこし興味があった。大学6年の時(今より約20年前)に、通常のポリクリが終わった後に、4つの科を選択できるポリクリがあったのだが、その一つに1ヶ月間心臓外科を選んだ。岩手の田舎の大学に、その当時国立循環器病センター(大阪)からたくさんのドクターが来て、レジデントをやっていたのだ。そこで聞いたのは、「心臓外科は脳外科以上にきびしい世界で、層が厚すぎてオペ室に入れるのもほんの一握り、レジデントはだいたいモニター越しにオペを見る」という話だった。でも、岩手では学生でも、手術室に入り、第4助手で入れてもらえていた。そこで見たオペは本当にすごかった。あくまでも学生の目から見ての話だが、いとも簡単に手術をこなしていくのだ。10-0の糸を、ルーペごしに、サラサラ簡単に縫っていく。こんなすごい手術を学生の身分で見られているのに、国立循環器病センターではオペ室にも入れないなんて!

そこで、なぜこんなことになっているのか、考えてみた。脳外科は手術する症例も分野が心臓外科より多く、各サブスペシャリティで手術などをすることが多いからかな、と思ったのだ。さらに、最近は脳外科もだんだん血管内治療で行えることが増えてきたが、心臓はもっと、心カテーテルでの治療が進んでいるからなのかな、と思う。

 こうして、なんとなく似ているようなスペシャリストの分野だが、生き方が全然違うことに気がついた。改めて、脳外科の方が、いろいろな意味で、幅広い範囲活動ができるのではないか、と感じたわけだ。

例えば、開業するときも、「脳神経外科」の標榜はあっても「心臓外科」という標榜はなかなか見かけない。脳外科医は、初診から診察し、検査、診断、治療、手術、術後管理、慢性期、外来経過観察、すべての行程に携わることができるため、外来、病棟、救急、脳ドック、などいろいろな形態で働くことが可能だ、とわかり、小さなクリニック、もしくは開業して独身女医として年を取っていった時に、食いっぱぐれないように……と(笑)

とまぁ、偉そうなことを話してしまったが、そんなこんなで、今、脳外科の“浮遊物”としてふわふわと生きている。お年寄りの頭痛やめまいに付き合い、当直のときは子どもが鼻の穴に詰めたビーズをほじくり出す。オペもできる。守備範囲が広い脳外科医は、ワタシにとっては悪くない仕事だったのである。

 そんな脳外科には本当にいろんな患者さんが来る。次回はそんな話題で盛り上がってみたいと思う。

■イラスト Dr.まあや

Dr.まあやの展示会&即売会が開催中!
当直室でコツコツと作り上げたDr.まあやの作品が今週の6月2日(木)~6日(月)、東京・原宿の「レンタルスペースさくら」で展示されています。今回はTシャツ、ワンピース、靴などのDr.まあやアイテムの予約販売がスタート。6日(月)以外はDr.まあやも在廊予定ですので、ぜひ遊びに行ってみてください。

  ■カラフルデブ 展示会即売会やります!!
  場所:レンタルスペースさくら 原宿竹下口 B1
  開催期間:2016年6月2日(木)~6日(月)
  11:30~19:00(6日は18時まで)




  Dr.まあや(折居麻綾先生)

1975年東京生まれ、岩手育ち。岩手医科大学卒業後、慶應義塾大学病院で研修を終え脳神経外科に入局。2010年にかねてから夢だったファッションデザイナーの道に挑戦しようと日本外国語専門学校海外芸術大学留学科に入学する。翌年にはロンドンのセントラル セント マーチン カレッジ オブ アート アンド デザインに約2年間留学しファッションデザインの基礎を学ぶ。帰国後は事務所『Dr.まあやデザイン研究所』を設立しアーティスト活動をスタート。現在は釧路孝仁会記念病院、神奈川の病院などで定期非常勤で勤務しながら制作活動を行っている。


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