
連載:麻酔科医ひつじのワークとライフとその真ん中
ー第8回 麻酔科医の殺し文句!?
ー第8回 麻酔科医の殺し文句!?
関東圏の急性期病院で働く麻酔科医ひつじ先生が綴る麻酔科女医の日常。 仕事のこと、プライベートのこと、その真ん中のこと・・・忙しい日々の中で感じる麻酔科医のホンネを時に真面目に、時に赤裸々に、スパイスを効かせてお届けします! |
わたしが麻酔科研修医になった頃は吸入麻酔薬を主体にした全身麻酔が主流でしたが、さらに昔はニューロレプト麻酔(NLA)といって、長時間作用型の薬を数種類併用する麻酔方法が行われていたそうです。その名残か患者さんから「どのくらいで目が覚めるんですか?」と尋ねられることがしばしばあります。今の麻酔は手術が終了してからだいたい5-10分くらいで目が覚めますよと答えると、みなさんびっくりします。
また硬膜外麻酔(エピ)、脊髄くも膜下麻酔(スパイナル)などは「その麻酔は痛いとか...」と嫌な顔をされる方が多いです。昔は21Gのスパイナル針を局麻なしにぶすっと刺していたそうですが、今や27Gが主流で30Gなんてものもあるんです! 細い針で経験を積んだ麻酔科医がやると殆ど痛くないのですが、巷の噂のほうが説得力があるんですよね。でもこわごわスパイナルを受けてみて「思っていたより痛くないです」と安心してもらえたり、エピがしっかり効いて術後「すごい楽、やって良かった」と満足して頂けることが多いんですよー。
いまの医療技術は昔とは違うことを上手に説明して、初めての手術や麻酔に緊張と不安でいっぱいの患者さんでも気楽に手術室に来てもらえるといいなと思っています。
そういえば先日、若い男性患者さんが尿道カテーテルが辛いと聞いたから、入れるのは勘弁して欲しいとおっしゃいました。いやいや、巷の話よりわたしの話を聞いて安心してくださいよと、わたしは丁寧に説明しました。
ひつじ「そうですねぇ、確かに辛いとのご意見をいただくことが多いですのでご自身もご不安になられたのはよくわかります。でも手術時間の長さと術後に身体の自由が利かないことを考えますと入れたほうがラク…かと思われます。また時にそれが癖になってしまうほど『良かった』とおっしゃる方もいますので…。折角の機会ですから試してみては如何ですか?是非。」
癖になったら非常に困るのでと、丁重に断わられました(笑)。
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