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2016年06月22日

連載:富坂美織の「知ること、診ること、学ぶこと」
第8回 仕事と不妊治療の両立って?

女性の先生の間でも「そろそろやってみようかな」と思う方がいらっしゃる不妊治療。専門領域の富坂先生が治療がどう進んでいくかの流れをレクチャーします。医者の仕事と両立できるのかもアドバイス。

第8回 仕事と不妊治療の両立って?

雨量は少ないものの梅雨のジメジメした時期が続いていますが、皆様いかがお過ごしですか。今日は私の専門である不妊治療をテーマに書いていきたいと思います。

私は現在35歳。周りでも子供を考える人が増えてきて、女医仲間でも不妊検査を進んで受けている人が多くなってきました。2014年度の調査によると女医の稼働率は35歳で76%に落ちるらしく、結婚や出産などのライフイベントと仕事をどう両立するか、またキャリアの上で、大学に残るのか、クリニックや地域の病院へ出るのかなど、ほんとに考えることが山ほどある時期で、私も毎日いろんなことを考えています(笑)

 その中で最近興味をもっているのが、パラレルキャリアという働き方です。本業のほかに、いくつかの仕事を横断して行うこと、生きがいやスキルの向上のために、様々な活動をすることだそうです。医師という仕事はやりがいを感じやすい仕事だと思います。それに加えて、時間が許す限り、いろんなアプローチで社会に貢献するというのは、自由度が高いし、気持ちの上で本業にもよい影響を与えてくれるのかなと思っています。

 さて本題に戻って、女医をはじめとする仕事がある女性の不妊治療、検査について考えていきたいと思います。女医さんだと、同じ病院内で、PHSで呼び出してもらって、採卵ができるから楽だという意見もあれば、同じ病院内で知り合いに診てもらうのは気が引けるという意見もあり、難しいところですが、ここからは一般的な不妊検査、治療の流れと、なんとか仕事の都合をつけて日中に通わないとできない処置に関して簡単に記載したいと思います。

 まず、不妊検査の流れとしては、大きくわけて、ホルモン採血と、エコーなどの診察があります。月経中に低温期のホルモン採血を行い、月経が終わったところで、卵管検査を施行、排卵期が近くなったら、エコーで排卵日を特定し、タイミングをもってもらい、排卵後の高温相で、今度は高温期のホルモン採血を行います。

ここまでの基本的な検査は夜間でもできる施設が多いですが、「培養室」を使う処置が日中になることが多いようです。培養室を使用するとは、たとえば、精子を子宮内に注入する人工授精という処置や、採卵、胚移植といった体外受精の処置です。そのほか、採卵までの卵胞刺激では、ホルモン値とエコーでの卵胞径を見ながら、薬の投与量を微調整していくので、即日でホルモン値を確認することが求められるので、採卵に向けた通院も日中になる施設が多いかもしれません。一方、胚移植に関しては、「ホルモン周期」といって、ホルモン剤を使って、排卵を抑制し、内膜を厚くする方法であれば、内膜が十分に厚くなった時点以降、移植の日程を自分の希望で選ぶことができるので、仕事の都合がつけやすいと思います。

 以上、簡単に受診のイメージを書きましたが、ぜひとも仕事をうまく調整しながら、負担を最小限に、通院していただけたらなと願っています。今年も半分終わり、新たな気持ちで後半も過ごしていきましょう。

   富坂美織(とみさか みおり)先生

1980年東京都生まれ。産婦人科医・医学博士。順天堂大学医学部産婦人科教室非常勤講師。 順天堂大学卒業後、東大病院、愛育病院での研修を経て、ハーバード大学大学院にて修士号(MPH)を取得。マッキンゼーにてコンサルタント業務に従事した後、山王病院を経て、生殖医療・不妊治療を専門としている。
著書に『「2人」で知っておきたい妊娠・出産・不妊のリアル』(ダイヤモンド社)『ハーバード、マッキンゼーで知った一流にみせる仕事術』(大和書房)などがある。
 

 

 

富坂美織先生の著書

ハーバード、マッキンゼーで知った
一流にみせる仕事術(大和書房)

ハーバード、マッキンゼーで
世界のトップクラスと
言われる人々と出会い、
見えてきた一流の仕事術。
潜在的な可能性の見つけ方や
時間活用術など
壁にぶつかった時にこそ
力をくれるヒントが満載です。

 


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