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2016年07月08日

人気のママ外科医&マンガ家、さーたりさん【後編】
医局初の妊婦女医として
24時間オペの現場をどう乗り切る?

前編に続き、joy.netで人気ナンバーワン連載「外科医ママがマンガでメス!女性医師たちの“あるある事情」の著者・さーたりさんのインタビューの後編。医局初の女性外科医の苦労、子育てとの両立など、多くの女医たちが直面している現実、医者としての思いを語ってくれました。

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さーたりさん

都内某大学病院、消化器外科所属。197×年東京生まれ。両親ともに小児科医の家庭に育ち、中学時代にマンガに目覚めマンガ家の道も考えるが「手塚治虫さんのように医師になってもマンガは描ける」と母親から助言され医学部へ。

 

卒業後は外科医の道に進む。30歳より大学院に通い博士号を取得し、その年に結婚。翌年からアメブロでマンガを描きはじめ人気ブロガーとして注目を集める。2016年5月26日に初の単行本『腐女医の医者道』(KADOKAWA)を上梓。2児の母であり10月には3人目を出産予定。

 

ブログ「腐女医が行く!!〜外科医でママで、こっそりオタク〜」joy.net「外科医ママがマンガでメス! 女性医師たちの“あるある”事情」コミックエッセイ劇場『腐女医の医者道』を連載中。

 さーたりさんが第1子を妊娠したのが31歳のとき。勤務していた大学病院の医局では初の妊婦ドクターだったため、上司はどう扱っていいか分からず、女医が多い産婦人科で妊婦の勤務体系について教えてもらいなさいといわれたという。

「産婦人科は女性医師が多かったので、逆に参考にならなかったんです。みなさん、出産ぎりぎりまで当直をするし、オペにも入る。医師が妊娠することがレアケースではなかったので、特別扱いされていない印象でした。

そして、大きく違うのはオペ時間の長さ。産婦人科の場合は短くて30分、長くて3時間。私が専門にしている胆・肝・膵は、短くて1時間半~2時間、長くて24時間。レントゲンを併用する際は、プロテクターをつけて作業をするため、体への負担は大きい。結局、上司と相談しながら勤務内容や時間を調整していきました」。

そこで上司にいわれたのが「がんばりすぎると、後に続く女性医師が苦労するから6割くらいの力で」ということ。「うちの医局長も教授も奥さんが医師だったので、妊娠中の女医の気持ちを察してくれました。おかげでラクさせてもらいました。でも、なかなか後に続く女医が現れないんですが(笑)」

「外科医と育児の両立はムリ?……」復職後、追い詰められた日々

 

出産後はフルタイムの常勤で復帰。病院の近くに住み、同じ医局の外科医のご主人と協力しながらやりくりするが、以前のようなやり方では生活が回らない。このままだと外科医は続けられないのかもしれない、と追い詰められたさーたりさん。

「すべては気合で乗り切れると思っていましたが、どうしたって時間が足りないわけです。1日24時間という制限のなかで、増えていくばかりの仕事量、子供の送り迎え、家のことをすべてやろうとするのは不可能。申し訳ないと思いながら他のスタッフに割り振り、同じ医局の主人に容赦なく仕事や家のことも頼んで、何とか切り抜けていけました」。

 そして2人目の出産後は、非常勤にならざるを得なかった。「常勤に戻る予定でしたがすでに枠が埋まっており“無給枠なら空いてるよ”といわれました。子供2人の育児で大変な状況のなかで、仕事をしてお金がもらえないってどういうこと?と思いましたよ。結局、週1~2日の非常勤にして合間に論文を書いたりデータをまとめたりする時間に使おうと切り替えました。

そのおかげで、仕事を四六時中ゴリゴリしていたときより、人間らしい文化的な生活を送ることができて、ブログにも取り組めたし、本まで出せた! 人生をトータルで考えれば、今は子育てが中心ですが、きっとまた仕事に重きを置くときがくる。そう思えば焦りはなくなります。完全に仕事を辞めてしまうと戻るのが難しいので週1~2回でもいいので、続けていくことが大事。学会やセミナーにもなるべく出るようにしていますね」。

 とはいえ、医者の仕事をセーブしながらも、2人お子さんの育児と執筆活動で忙しさは変わらない状況……。「たぶん多くの女医さんが実感していると思いますが、医者って同時進行で物事を考えなくてはいけないので“両立”が得意だと思います。研修医時代から、“エレベーターの中にいても、次はどの順番で何をするか段取りを考えろ”と言われ、病棟で作業していても常にあれこれ考えるクセがついている。今は、マンガのネタを常に考えていて、子供が寝たらすぐにパソコンで仕上げているので、マンガの仕事、育児、医者の仕事をそれぞれできていますね」

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母として、医師としてのさーたりさんを
全面サポートしてくれるご主人の存在

 そんな、さーたりさんの一番の応援団はご主人。研修医時代に苦楽を共にした同期で、公私の両面からサポートしてくれている。「家事はダンナと分担です。とくに掃除に関してはダンナがメイン。彼は汚れに対する閾値が低いんで、私は気にならない状態でもダンナはすぐに掃除をはじめます。あるとき私が子供と早めに寝てしまったとき、起きたら床がピカピカに。“夜中にルンバ(お掃除ロボット)ががんばってくれたんだ”と思ってたら、ダンナが家に帰ってきてから、掃除機かけて水拭きまでしていたらしく……。言われるまで気付きませんでした(笑)。感謝ですね」。

 もちろん、マンガを描くこともご主人は大賛成。理由は「医者は“100%にどれだけ近づけるか”を目指す仕事だけど、マンガ、絵、音楽のような創作的な分野はゴールがない。その才能があるんなら伸ばすべきだし、どんどんやったほうがいい。自分にはない才能なのですごい」と。

医師としてのさーたりさんもリスペクトし、外科医としてしっかり復帰できるよう「セミナーの締め切り日、今日だよ」など気を配ってくれている。そんな最強の相棒がいることが、さーたりさんの最大の強みでもある。

 初のエッセイ本『腐女医の医者道!』がヒットし夢を一つひとつ形にしているさーたりさん。本業の“医者道”で目指すところとは――。「肝・胆・膵外科のいわゆる王道の手術は大学病院のほうが症例が多いので、まだその経験を積んでいたい。ゆくゆくは消化器の腹腔鏡手術もやっていきたいと思っています。そうなると一般病院のほうが手技を習得しやすいので、状況を見ながら方向性を決めていきたいですね。

肝・胆・膵は患者さんの死亡率が高い科でもあります。1日に何人もの方を目の前で看取ることが少なくなりません。よく研修医の間で“人の死を見たくないから皮膚科や整形外科にいきたい”という話が出ますが、私は死から逃げたくない。命を救うことができる職業は医者だけ。せっかく医師免許を取ってその立場になったからには、自分の力を限りなく発揮していきたいです」。かけがえのない命と真正面から向き合うさーたりさんの医者道。決して楽な道ではないが、立ち止まることのない歩みは使命感に満ち、力強く続いていく。

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最新刊 腐女医の医者道!(KADOKAWA)    著者 さーたり


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