
院長ママのパラレルな日々
第7回 女性院長の日々と事件簿
第7回 女性院長の日々と事件簿
東京の整形外科医院で院長を務める井上留美子先生。院長として、整形外科医として、2人の男の子の母として、ヨガインストラクターの指導者として・・・いくつもの顔を自在に使い分ける”パラレルな日々”はまさにジェットコースター。刺激的でスリリングな日常を痛快なタッチでお届けします。 |
第7回 女性院長の日々と事件簿
やはり、組織のトップが女性だといろいろあります・・・。
特に私の場合は当院で外来を始めたのが26歳、院長になったのが31歳、と若い段階での長でした。当初は、私が院長と思う患者さんは少なかったことでしょう・・・。医師二年目で地域の医師会に入会させていただき、どこの小娘?とみられていたと思います。重症患者さんの搬送で救急車を要請した時も、年配の救急隊に『医師はどこですか?』と聞かれたこともありました。白衣・・・着てるのに・・・・・・(汗)。地域では、父の功績に助けられたことも多くありましたが、若い女医が院長で苦労したこともありました。
数年前に、当院の待合室でお財布の紛失事故が起きてしまいました。盗難の可能性があるために、警察に届け出て現場検証などが入ったのだけれど…
院長である私に対するその時の警察官の態度は、今でも私の心の中で軽くトラウマになっています。事件当日、警察官から事務に電話がかかってきて、責任者をだせ!と。私が代わり要件を伺うと、ある患者さまの住所などを教えろとの事。個人情報なので教えられないし、電話口でなんて特に無理である、とお伝えした所、
『もっと、話のわかるやつ連れてこい!こっちも忙しいんだから、手を煩わすんじゃねー。』
と、怒鳴られたのです!こちらも外来中で、診察待ちの山積みになったカルテを横目に
『私が責任者です!』と伝えると、
『女じゃない、話のわかるヤツいないのか!!』
との事。ほほ〜。ビックリ。結局は、正式に必要な書類を準備するのが面倒で、怒鳴ってどーにかしようとした警察官がズルいわけ。後日、主人の知り合いの警察OBの方に入っていただき、事は収まりました。数日後、その警察官が菓子折りをもって窓口に謝りにいらっしゃいましたが、私が不在の日でした。私はというと、『そんなもの、捨てちまえー!!』と叫ぶ・・・(笑)。
この時は本当に辛かった…。
私が男の院長だったらこんな目にはあわなかったはず・・・💢
この時は、盗難事件が起きてしまったことも申し訳なかったし、気持ちを入れ換えるには何日もかかりました。
他には、診察前の朝の待合室に酔っ払いが紛れ込んで寝ていたこともありました。外が寒かったからか・・・。私も怖くなっておもわず警察を呼びましたが、こんな時も頼りがいのある男性の長がいたらいいのになあと、思ってしまったのです。(私はというと、ちょっと隠れて経過観察しておりました・・・)
最近は、女医クリニックのネット検索ができたり、雑誌の病院紹介で女医特集が組まれたりする時代です。当院もjoy院長のいる整形外科として地域でも認識していただけるようになったと感じています。男性医師ではなく、joyの整形外科医だからと選んで受診してくださる患者様も増えてきたと実感しています。女医だったことでつらい体験も多く、この病院を父から残されたことを恨んだ時期もありましたが、今は頑張り続けてきて良かったと思うし、子育てしながらキャリアを全うできたのもこのクリニックがあったお蔭だと感謝しています。
井上留美子 (いのうえるみこ)
1971年東京生まれ、東京育ち。聖マリアンナ医科大学卒業・研修。整形外科学教室入局。長男出産をきっかけに父のクリニックの院長となる。日本整形外科学会整形外科認定医、リハビリ認定医、リウマチ認定医、スポーツ認定医。自分の健康法である笑うことをモットーに予防医学としてのヨガに着目し、ヨガインストラクターに整形外科理論などを教えている。シニアヨガプログラムも作成し、自身のクリニックと都内整形外科クリニックでヨガ教室を行っている。現在は二人の子育てをしながら自身のクリニックにて業務を行っている。
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