
女性視点が必要な訪問診療。
ママドクターをサポートし、地域医療の輪を広げる
『あいクリニック』のチャレンジ。
ママドクターをサポートし、地域医療の輪を広げる
『あいクリニック』のチャレンジ。
今年の3月に取材させていただいた天翁会理事長・明石のぞみ先生から出た言葉が「チャーリーズエンジェル作戦」。子育て中の女性医師を3人で1人分の仕事量として考えるなど、助け合いながら女医のキャリアを途絶えさせない環境作りに力を入れています。
そこで同グループの『あいクリニック』にお邪魔し、育児と両立させながら常勤で勤務されている佐藤弥都子先生にお話をうかがいました。彼女の姿から「ご家族との連携が欠かせない地域医療は、女性医師こそ向いている」と実感したという濱谷弘康院長。院内でのチームワーク、家族を含めた患者さんのケアという、人とのつながりを大切にした医療現場の姿がそこにはありました。
~女性医師に聞く~
「外来と訪問診療。子育てとの両立に不安は?」
佐藤弥都子先生
専門/内科 2016年4月入職 1児(小3)の母
――今年の春から「あいクリニック」で勤務されている佐藤先生ですが、入職を決めた一番の理由を教えてください。
佐藤(以下敬称略)一番は時間的な面で子育てと仕事のバランスがとりやすいところです。私は兵庫医科大を卒業してから関西圏の病院で勤務し、結婚を機に住まいを東京に移し別の病院で15年ほど働いていました。
今後のキャリアを考えたとき、地域により密着した医療に携わりたいと考え新たな職場を探しはじめました。とはいえ、子どもがいるので当直は難しい。そこでご縁があった『あいクリニック』の採用担当者に正直な希望を伝えたところ、当直なしの常勤を受け入れてくださり、こちらでがんばろうと決めました。
――実際に勤務してみて育児との両立はいかがですか?
佐藤 勤務は17時までで多少伸びることはありますが、小3の子どもの学童のお迎えも無理なく行くことができています。おかげさまで、子どもも体調を崩すことなく元気でいてくれているので急な欠勤もありませんね。インフルエンザシーズンにどうなるかが、少し心配なくらいです。
――勤務内容は外来に加えて、訪問診療もされています。
佐藤 そうなんです。訪問診療は初めてでしたが経験豊富な看護師さんと同行するので、不安はありませんでした。というか勉強になることのほうが多いです。在宅治療の場合はお住まいやご家族構成など、環境によって治療成果が変わるので、それらを加味した治療方針を立てないといけない。院内での外来とは別ものと捉えるべきだと実感しています。
――患者さんとの向き合い方でとくに意識していることはありますか?
佐藤 できるだけ患者さんのお話しを聞くようにしています。こちらのクリニックに来る前は、内科に加えて精神疾患のある患者さんも診てきたので、メンタル面を含めたアプローチできるのが私の強み。訪問診療のときは、ご家族を含めた精神的ケアを心がけています。
――これまでに、とくに印象に残っている患者さんはいらっしゃいますか?
佐藤 どの患者さんもそれぞれ印象深いですが、最近でいうと、心不全を患い、うちの系列病院で長期入院されていた患者さんがいらっしゃいました。最初にお会いしたときは寝たきりで、お話しするのもしんどそうでしたが在宅に切り替えたら、どんどんよくなられていったんです。おしゃべりもよくされて、足のむくみもとれてすごくお元気になった。ご自宅でご家族のそばで過ごすことが、これほど変化をもたらすと思いませんでした。
12月にはお孫さんの結婚式があるそうで「出席するためにリハビリをしたい」とご自身から希望されたんですよ。実際に行うかどうかはご家族と相談中なのですが、ご本人が前向きになられたことは大きな前進です。
――仕事のやりがいと育児との両立。その2つを手に入れている佐藤先生ですが、無理なく実現できている要因は何だと思いますか?
佐藤 うちのクリニックは女性が理事長ということもあり、子育て中の女性医師へのサポート体制が整っていることが大きな要因だと思います。実際に、系列病院を含めると非常勤の女性医師がとても多い。突発的に起こる子どものトラブルで休まなくてはいけないときも臨機応援に対応してもらえるので、精神的な負担が少ない気がします。
じつは今日も常勤の女性の先生がご家庭の事情で突然休まれたんですが、外来は濱谷院長と私の2人でやりくりしました。正直、大変な部分はありますがそれはお互い様。でも、一番大変なのは院長……。深夜の診療のほとんどを対応されていて、その姿を見ると私たち女性医師も精いっぱいがんばらないと身が引き締まる思いになります。
何があってもチーム一丸となって乗り越えていこうというアットホームさが『あいクリニック』の魅力。ぜひ多くの女性の先生方に仲間になっていただきたいですね。
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~院長に聞く~
「地域医療のやりがい、女性医師の働きやすさとは?」
濱谷弘康院長
専門/消化器科 東京女子医科大学消化器病センター外科に勤務後、2001年にあいクリニックに入職。2016年4月より現職。
――「あいクリニック」は東京・多摩エリアにおいて、訪問診療のパイオニア的な存在として知られています。手ごたえを感じていらっしゃいますか?
院長 天翁会の一施設として「あいクリニック」が開設されたのは1999年、17年前のことです。最初はマンションの1室で訪問診療だけをやっていたのですが、2005年に現在の場所に移り、外来と訪問診療を合わせたクリニックとして領域を広げました。「地域の方たちに少しずつでも根付いてきたかな。役には立っているのかな」と思えるようになったのは、この10年くらいですね。
――濱谷院長は大学病院で研鑽を積まれたあと、こちらのクリニックで高齢者医療に携わったと伺いました。どんな点にやりがいを感じていらっしゃいますか?
院長 大学病院だと「治す医療」が主流ですが、ここでは「看取る医療」が軸になっています。訪問診療では、ご家族に囲まれながら、手を握られながら穏やかに旅立たれていきます。温かいものを感じるし、おそらく患者さんも幸せなんじゃないかなと。もちろん本心はわからないですけどね。大学病院では患者さんが点滴づけになりながら、さびしく亡くなっていく様子を見続けてきました。その姿とはまるで違う最期に寄り添うことができるのが、この仕事の醍醐味だと思います。
――訪問診療の難しさはどんなところにありますか?
院長 患者さんだけでなくご家族に対してのケアが必要なところですね。うちは認知症の患者さんが多いのですが、ご本人の身体確認に加えて、介護するご家族が希望されていることを瞬時に察知し対処しなくてはいけません。
「看取る医療」というのは、悪化していく病状と向き合う医療です。ご家族は混乱したり迷ったりします。その葛藤をどう受け止めて進んでいけばいいのかを一緒に考え導くことがわれわれの仕事です。臨床医だけでなく、どこか宗教家のような面もあるかもしれませんね。難しいですがそこがやりがいでもあります。
――患者さんと密接にかかわりあう地域医療ですが、訪問診療は24時間365日体制です。育児中の女性医師の勤務体系はどのようになっているのでしょうか。
院長 深夜勤務に関しては、私と当直ドクターが担当しているので、育児中の先生方はみなさん日勤です。子育てと両立しながらでも無理なく勤務していただけるようにサポートしています。
訪問診療は、ご家族の中に一歩踏み込む診療なので、女性に向いていると思います。介護に携わるのは奥さんや娘さんなので、ドクターが女性のほうが話やすいはずです。
医師、看護師、ケアマネージャー、栄養士、理学療法士とのチーム力が訪問診療には不可欠。みなの知恵を集結させて、問題をひとつひとつクリアさせていくおもしろさがあります。ひとりじゃない、支えあっていくからこそ、達成感も増していくのだと思っています。
外来診療と訪問診療を行い、在宅療養を支援するケアプランセンターとデイケアを併設。
【外来】内科、消化器科、脳神経外科、呼吸器科、整形外科、高齢内科【訪問診療】内科一般
■東京都多摩市貝取1431-3 ℡042-375-9581
◆採用情報◆
医療法人財団天翁会あいクリニックでは、常勤、定期非常勤の内科医を募集しています。募集要項は下記の求人票よりご覧ください。
【常勤】
https://www.doctor-navi.jp/admin/jobs/preview/434132
【定期非常勤】
https://www.doctor-navi.jp/admin/jobs/preview/466009
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