17e5840e 23d9 4ba0 845a c434907b1dec医療トピックス
2016年11月02日

ホリエモンが予防医療に参入。
「医者が当たり前に知っていることが
フツーの人たちに伝わってない」

宇宙事業、アプリ開発、SNSを駆使した情報発信など、多岐に渡る取り組みが話題の堀江貴文さん。彼の次なるターゲッティングは予防医療。堀江さんが予防に関心を抱いたのはライブドア事件で服役中のとき。刑務仕事で高齢者介護に携わったことがひとつのきっかけだった。

「総入れ歯で、歯が無くなっているおじいちゃんたちを見て、もっと早い段階で生活習慣の改善ができていれば防げた部分もあった。そう感じて進みゆく高齢者社会のなかで、力になれることをしようと使命感みたいなものが生まれたんです」

2015年に予防医療リテラシー向上を目指すため、『予防医療普及協会』を経営者、医師、クリエイターなどの有志たちと立ち上げる。今秋には活動内容、提言を集結した本『むだ死にしない技術』を上梓。10月15日(土)に出版記念トークショーが行われ、本の監修に携わった予防医療普及協会のメンバーを含めた医師たちと“むだ死にしない秘訣”について熱く語った。

一般的には知られていない
胃がん患者の99%にピロリ菌がいること。


↑左から堀江貴文さん、神戸神奈川アイクリニック理事長の澤井循輝医師、筑波大学医学教育学准教授(予防医療普及協会顧問)の鈴木英雄医師、総合川崎臨港病院院長・聖マリアンナ医科大学臨床教授(予防医療普及協会副代表理事)の渡邊嘉行医師、日本橋梶村歯科医院ユアーズデンタルクリニック本院院長の梶村たまき医師。

 ――(司会者)堀江さんが『むだ死にしない技術』を書こうと思った理由は何だったのでしょうか。

堀江(以下、敬称略):年を取っても病気をせずに若々しくいたいと思ったときに、その解決策となるのが予防医療です。これまで僕がやってきたビジネス手法を用いて予防医療に取り組んでみようと昨年から本格始動しました。実際にやってみて治療が難しい病気にも、予防法があるものが多いことを知ったんですよね。そういう情報って医療関係者は知識として当たり前に持っているけど、一般の人にはほとんど知られていない。

たとえば、健康になるためにサプリメントを毎日飲む人は多いのに、胃がんの原因となるピロリ菌の検査をする人はむちゃくちゃ少ない。みんな年を取れば必ず入れ歯になると思い込んでいるけど、歯周病予防をしっかりやれば高齢になっても自分の歯でごはんが食べられることは誰も教えてくれない。なんかおかしい。いろんな健康法に惑わされている人が多いなかで、健康で長生きするために本当に必要な情報を発信して、世の中を変えたいと考えてこの本を出版しました。

――本の冒頭で取り上げたピロリ菌の除菌については予防医療普及協会が<「ピ」プロジェクト>として積極的に啓蒙しています。顧問の鈴木先生、いかがですか?

鈴木胃がんで手術した結果、99%の患者さんにピロリ菌がいたというデータがあります。胃がんはほとんどがピロリ菌感染によるものですから、防ぐことができるわけです。胃がんの死亡者数は年間約5万人。ピロリ菌検査して「陽性」が出たら除菌し、定期的に内視鏡検査をしていけば、死亡者数をゼロに近づけることはできます。

堀江:そうそう、なんちゃらヨーグルトを食べればピロリ菌がいなくなるとか、あたかもヨーグルトさえ食べていれば大丈夫だと勘違いさせるような情報もあるけれど、実際には抗生物質を使わないと完全には除菌できませんからね。

渡邊:同じピロリ菌でも多くの日本人が感染している「東アジア株」という種類のピロリ菌は、発がんの危険性が高い。ですから、日本人はとくに注意しなくてはいけない。

ピロリ菌感染によって胃炎になると、ヒトの遺伝子(設計図)は「メチル化」という修飾を受けて、本来の設計図が見えにくくなるんです。そうすると設計図通りにいかず、胃に変なものができちゃうのです。これが胃がんですね。よって、遺伝子が修飾をうける期間(ピロリ菌に感染している期間)は短いほうがいい。できる限り、早い段階で除菌したほうがいいですね。

堀江:ピロリ菌の有無は病院で検査するのが確実ですが、まずは尿や血液で簡易検査できるキットもあります。予防医療普及協会のホームページでも尿検査ができる郵送キットを扱っていますから、ぜひ今すぐみなさんに検査してほしいです。

諸外国に比べて立ち遅れている
日本の予防歯科。

――歯周病に関しても警鐘を鳴らしていますね。

堀江:口腔内に関していうと日本はとくにひどいですよ。諸外国と比べると日本の予防歯科はかなり遅れていることをもっと知ってもらいたい。とくに歯周病の人が多いわりに、治療する習慣がまずない。歯周病というのは、じつは感染症なんですよね?

梶村:そうです。今、日本人の成人の約8割が感染していると言われています。お子さんには、ご両親などからの口移しなどで感染する場合がありますね。一度感染すると、歯科で治療しないかぎり菌は繁殖します。虫歯がないから大丈夫と思っていても、歯周病菌がいることもある。すると知らない間に病状が進行してしまって、気づいたときには歯が抜けるなど手遅れになるケースも多いんです。

堀江:歯磨き粉のCMなんかも誤解を与える要因だと思うんですよね。それを使えば歯周病が治るかのような印象を与えますけど、毎日の歯磨きだけでは除菌できないんですよね?

梶村:そうなんですよ。対症療法にはなりますけど根本治療にはなりません。

堀江ドイツやデンマークでは予防歯科を保険とリンクさせているケースが多くて、歯医者さんに年数回行かないと保険が適用されなくなるんですよ。きちんと歯科検診に行けばクリーニングが無料になるなどの特典をつけて、予防を促す仕組みがある。日本でもそういう制度を設けたらいいと思いますね。

梶村:堀江さんはどんなケアをされているんですか?

堀江:僕はですね、デンタルフロスと歯間ブラシを使ってからブラッシングをして、最後にマウスウォッシュで仕上げます。たまに出張などで滞在が3泊なのに歯間ブラシが2本しかないと結構落ち込む(笑)。四半期に1度のペースで歯医者さんに行って歯石クリーニングもしてますよ。

梶村:すごい!優等生ですね。お口の中が汚れている方は他の病気を患っている場合が多いので、全身の健康の面からもお口のケアは重要なんです。たとえば糖尿病の方は、まずは歯周病から治療したほうがいいと言われることもあるくらいで。

堀江:ずっと思ってたんですけど、歯科と他の科の医者は全然連携していない気がするんですよね。内科のお医者さんに歯のことを聞いても驚くほど知らないし、その逆もそう。予防医療普及協会を通じて仲良くなっていただきたい。

最新技術を使った視力改善で
QOLは格段に上がる。

――堀江さんは目(視力)に対しても意識が高いですよね。

堀江目に関してはQOLの向上が目的ですね。僕は5年前に神戸神奈川アイクリニックさんでレーシックをやり、今は両目ともに1.5です。ゴルフでTショットを打ったとき200メートル先のゴルフボールが落ちるところがキレイに見えるようになり、めちゃくちゃ快適ですよ。

澤井:ひと昔前だと眼科医は病気のない目を触っちゃいけない、なんて言われていました。近視、遠視、乱視はメガネやコンタクトで矯正すればいいと。でも、一般の方からすれば、一番治してもらいたいのがその部分なんですよね。今はレーシックだけでなく、新技術が開発されていますから、近い将来、視力が悪い人がいなくなる可能性は高くなると思います。

堀江:レーシックって誰もができるわけじゃなくて、角膜が薄い人はできないんですよね。

澤井:そうなんです。でも最近では小さなレンズを目の中に挿入するICL(インプランタブルコラマーレンズ)という治療法があって、レーシック適応外の方にも行うことができるようになりました。

――これらの話は『むだ死にしない技術』により詳しく書かれています。堀江さんはこの本を通じて、どんなメッセージを一番届けたいですか?

堀江:僕も以前は特殊な医療技術が開発されないと、健康で長生きなんてできないんじゃないかと思い込んでいたんです。でも調べていくと「検査を受けて、予防する」、たったこれだけのことで、治療が難しい病にかかる可能性がだいぶ減らせると気づきました。だけど、この簡単なことが意外に知られていないし、やっていない人も多い。

今の時代はその気になればネットで医学論文が読めるし、最先端技術の情報だって手に入る。それなのに、知っていれば死ななくてすむかもしれない重要な情報は周知されていない。情報が玉石混交なんですよね。僕の役割は、医師の側が持っている科学的根拠のある正しい予防医療情報を一般の人にも分かりやすく提示して、普及させていくことだと思っています。みなさんもこの本をきっかけに検査、予防を意識してほしいですね。

joynet読者にメッセージ
\ホリエモンが女医たちに物申す/

Q予防医療への医師たちの向き合い方について思うことを教えてください。

現場の医師は、とにかく忙しいですよね。まずは自分の専門分野で、病気になった人の治療に専念せざるを得ない。病院にはすでに治療が必要な段階の患者さんが、押し寄せて来るわけです。患者の側も、病気やケガなどで痛い思いをしないうちはいくら医者に予防の大切さを説かれても、真面目に考えません。だからこそ、「予防医療」に関しては僕らのように医師ではない立場の人も巻き込んで、各科を横断した情報発信をしていく意義があるんじゃないでしょうか。「予防医療普及協会」もそのための活動を考えています。 

Qトンデモ医学が蔓延しているなかで医師がすべきこととは?

トンデモ医学の蔓延は医師側が発信しているというより、メディア側と受け手のリテラシーの問題だと思いますね。医師の側に求めることがあるとすれば、難しいとは思いますが、病状や治療に関する専門用語をできるだけ普通の人にも分かる言葉で伝えることでしょうか。医療界の常識って、じつは一般の人には全然伝わっていないことがある。あとは、一人の医師だけの診断に限界があるのは当然なので、医師側も患者がセカンドオピニオンを積極的に活用できるようにしたらいいんじゃないですかね。

堀江さんが力を入れている子宮頸ガン予防の啓蒙に関して、女性医師に期待する点とは?

女性医師だけに期待するわけではありませんが、今20代〜30代の女性に発症することが多い「子宮頸がん」。日本ではこの予防に対する取り組みが、停滞していますよね。世界的に有用性が認められているワクチンがあるのに、日本では因果関係がはっきりしないまま、副作用のリスク面ばかりがクローズアップされています。その一方で、国内では毎年1万人近くが発症して、3,000人近くの人が亡くなっている。この状況を議論して、早期に手を打ってほしいですね。

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『むだ死にしない技術』
(堀江貴文+予防医療普及協会著
 マガジンハウス刊)

ホリエモンが医師たちとタッグを組み日本の予防医療に一石を投じた一冊。
「知ることで防げる死がある」とエビデンスに基づいた医療情報を発信。悪玉ピロリ菌や子宮頸がんのリスク、予防歯科の大切さといった身近な医療トピックスをわかりやすく解説している。

 

 

堀江貴文さん

1972年福岡県生まれ。SNS media&consulting 株式会社ファウンダー。東京大学在学中に有限会社オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)を起業。2006年証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され、実刑判決を下され服役。現在はロケットエンジン開発、スマホアプリ「TERIYAKI」「焼肉部」「755」のプロデュースを手掛けるなど幅広く活躍。

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