46812dca 3ba6 42d6 bfc7 0eb26995e79b連載・コラム
2016年11月16日

院長ママのパラレルな日々
第8回 ワーキングマザー万歳

東京の整形外科医院で院長を務める井上留美子先生。院長として、整形外科医として、2人の男の子の母として、ヨガインストラクターの指導者として・・・いくつもの顔を自在に使い分ける”パラレルな日々”はまさにジェットコースター。今回は、ワーママとしての苦悩と喜びについてお話くださいました。

第8回 ワーキングマザー万歳

最近では夫婦共働きに対する理解も深まり、保育園が併設されている病院も増えているようで、以前よりもワーキングマザー女医には働きやすくなっているような気もします。

私は、長男の時は、出産前後に3週間ほど産休を取りましたが、次男の時は予定分娩だったので、あさって産んできます!と言いながら、直前まで自分のクリニックで外来をしていました。小規模病院ではそんな女医さんも多いはず・・・。開業医の場合、出産に合わせて代診に来ていただける先生は少なく、入れ替わり異なる医師で診察を続けていると、どんどん患者さんが減っていってしまう気がして、院長としてはゆったり休んでいるわけにはいきませんでした。

今振り返ってみると、長男の時は初めての子育てだっただけに、色々な場面で煮詰まっていました。風邪で大泣きしているわが子を横目に仕事に出るのはつらく、申し訳ないという罪悪感でいっぱい。仕事も子育ても思い通りに物事が進まないとイライラしてしまい、虐待してしまう親の気持ちも分からなくもない・・・、ニュースを見るたびに、明日は我が身か?と思ってしまったり・・・。

認定医試験は一泊のお泊り試験でした。生後3か月の子を母に預け試験会場に行きましたが、この時はおっぱいがはってはって本当に大変でした。試験の合間にトイレに駆け込み絞る・・・、夜中も三時間ごとに絞る・・・。長男の授乳中は、外来中でもどこでもかしこでもしょっちゅうトイレで絞っていました(笑)。
医者であるがゆえの失敗も多く、長男がロタにかかった時も、外来を休めないため、小児科に連れていくことができず、自ら点滴をしてあげようとしたのですが、わが子に針を刺すのが痛そうで、可愛そうで、うまくいかずに周囲を血だらけにしてしまったこともありました。

次男は便秘君だったのですが、生後数週間のころ、仕事の後におなかがパンパンにはっているのを見つけ、慌てて救急外来に駆け込み・・・結局、浣腸してもらって帰宅・・・。なんてこともありました。そのうち、自分で綿棒浣腸をマスターし、便秘問題は何とかクリアできましたが、仕事の忙しさゆえに気付いてあげられなかった・・・。

でも仕事をしていることで利点もたくさんあったと思います。

24時間子供たちと過ごすよりも、仕事をして少し離れている時間がある方が、気分もリフレッシュされ、子供に優しく接してあげることができていました。仕事中にふと、子供に対し理不尽に怒ってしまった事を反省したり、煮詰まっていた子育ての悩みも小さな事だったと思えてきたり・・・。

joy業を続けると決めた以上、立ち止まることはできない。ゆったりとした子育てはできてないけど、きっと子供たちは、頑張る私の背中を見てくれているだろう…と信じて頑張ってきました。子供にあれこれ頑張れ!というなら、まず自分が頑張っている姿を見せなきゃ。『勉強しなさい』という前に、自分が勉強している姿を見せよう!

そんな長男も中学二年生、次男は小学四年生になりました。二人とも私が外来終了後にクタクタになっていると、『今日も大変だったの?患者さん、いっぱい来た?よく頑張ったね。』なんて優しいことを言ってくれたりします(私の機嫌が悪いと、自分たちがとばっちりを受けるからかしら・・・?)。

子供たちに『ママが働いていて寂しいと思ったことある?』と聞いてみたところ、二人とも『特にないよ…』との返事。ただ、小さい頃は、夜遅くまで外来が終わらずなかなか私が帰ってこない時は、寂しくなった事もあったそうです。じゃあ、『かっこいいとか思ったことは?尊敬しちゃう?』と質問したところ、『まあ、便利かなあ~、怪我したら診てもらえるし!』と長男(怒)。今は二人とも、母が働いているのは当たり前に感じていて、特になーんとも思ってない…そうです。

私より過酷な仕事環境で子育てをした先輩joyさんもいらっしゃるでしょう。子育てはいろいろな形があって良いと思います。仕事のせいで、子供たちには多少寂しい想いをさせたかもしれないけれど、祖母をはじめ多くの人に育てていただいたからか、私の子供たちは我がままじゃない、KYじゃない子供に育っています(今の所・・・)。

あの時感じた罪悪感は何だったのだろう・・・。恐らくあの罪悪感は、私を母として、人間として成長させる為に必要な試練だったのかな・・・と最近は思っています。
『大丈夫!子供たちは頑張っているママの姿をちゃーんと見てくれている!』ワーキングマザーは自分が頑張って、人生のお手本を子供に示しているのです!子供たちは、悩み、苦しみ、頑張っているママの姿をきちんと見て育ってくれているのです。そして、ママがハッピーだと子供もハッピーなのです!

井上留美子 (いのうえるみこ)

1971年東京生まれ、東京育ち。聖マリアンナ医科大学卒業・研修。整形外科学教室入局。長男出産をきっかけに父のクリニックの院長となる。日本整形外科学会整形外科認定医、リハビリ認定医、リウマチ認定医、スポーツ認定医。自分の健康法である笑うことをモットーに予防医学としてのヨガに着目し、ヨガインストラクターに整形外科理論などを教えている。シニアヨガプログラムも作成し、自身のクリニックと都内整形外科クリニックでヨガ教室を行っている。現在は二人の子育てをしながら自身のクリニックにて業務を行っている。


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