E1f85128 4649 400e aa45 721587cdbb06連載・コラム
2016年11月24日

Dr.まあやの「今日も当直です」
第9回 患者の知る権利って……
~前編~

インフォームドコンセントの大切さにあらためて気づいたDr.まあや。医療技術が進み、治療法の幅が広がるなかで、患者の知る権利、医者の伝え方についても見直してみました。

第9回 患者の知る権利って……
~前編~

突然のがん告知からのまさかの復活した(というかがんではなかった)、Dr.まあやこと、折居麻綾です。初めて患者、オペされる側の立場になって、いろいろ考えることがあり、今回は患者さんの「知る権利」ついて考えてみようと思う。ワタシが患者になったときの話はこちら↓
第8回 医者が患者になるとき~前編~
第8回 医者が患者になるとき~後編~

インフォームドコンセント(IC)は大事だ!

病に倒れて改めて強く感じたのが、ICはとても重要だということ。医者であるワタシの場合、主治医の診断を受け、古い参考書をひっぱり出してきて画像を見比べたり、同僚の意見を求めたり、ある程度の病状の目星をつけることができた。

自分の身体に起こっていることが自分で考えて比較的簡単に理解して判断できたことから、先に進むことができた。これは、一般の患者さんには到底無理だろう。医者から説明されたことは正しいと思うだろうし、疑うだけの材料を持ち合わせていない。身近に医療従事者がいたとしても、その専門であるとは限らない。医者にとっては常識でも、患者さんにとっては初体験の出来事が多いのだということを忘れてはいけないのだ。

年配の医者の中には、ICでリスクを洗いざらい話すのを良しとしない人もいる。

これは、昔の医学教育の中で、ICの重要性、患者さんの「知る権利」の重要性について、指導されてなかったからだと思われる。

知る権利より、知った時に手術を怖がるリスクもあるし、知らない方が幸せなこともあるだろう。中には、治療方針についても、医者が「私に任せなさい」という感じで、ICをほとんどせず、患者さんも「おまかせします」となり、詳細を理解せずに受けていることもあっただろう。そんなことから、患者さんが最後まで自分が癌であることを知らずに亡くなってしまった、というのが多々あったと思う。

しかし、現代の医学教育においては、まずは、患者さんにほぼ自分の病気について知ってもらい、どういう治療をするのか、治療における効果、副作用、リスクを必ずお伝えして、了承を得てから治療をする、ということを教えられていて、現場でもこれが定着している。

なので、最近の多くの医者は単刀直入にズバっと言うことが多いし、ワタシもICの中でリスクも含めてはっきり事実を正確に伝えるようにしている。特に当直医としては、どうしても脳神経外科の患者さんは、生死に関わる患者さんが運ばれてくることが多いため、これから予想されうる事態(場合によっては、命に関わる急変が起こること)を端的にわかりやすく伝えられるように気をつけている。

さて今回、ワタシが患者さんの立場になったわけだが、婦人科の「疑わしきは開腹」についても、デリケートな臓器であるのにもかかわらず開腹しないと診断がつきにくいというのが難しい問題だな、と感じた。開腹創部が腹部に縦に残るだけで、水着が着にくくなる、温泉に入るのをためらう、などのメンタル面での心配が残る(ワタシの場合、得意の宴会芸・腹踊りが笑えなくなるのでは…?とか)。


脳神経外科疾患では、術前の検査結果の中で、「良性疾患」か「悪性疾患」か、比較的予測がつきやすく、婦人科よりは、いろんな意味で治療方針が決めやすいのかもしれない。医療技術の進歩の余地はまだまだあるのだ!

>>後編に続く

■イラスト Dr.まあや

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  Dr.まあや(折居麻綾先生)

1975年東京生まれ、岩手育ち。岩手医科大学卒業後、慶應義塾大学病院で研修を終え脳神経外科に入局。2010年にかねてから夢だったファッションデザイナーの道に挑戦しようと日本外国語専門学校海外芸術大学留学科に入学する。翌年にはロンドンのセントラル セント マーチン カレッジ オブ アート アンド デザインに約2年間留学しファッションデザインの基礎を学ぶ。帰国後は事務所『Dr.まあやデザイン研究所』を設立しアーティスト活動をスタート。現在は釧路孝仁会記念病院、東京・小平市のあかしあ脳神経外科の院長として非常勤勤務している。


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“Dr.まあや”こと、脳外科医・折居麻綾先生が伝える
「救急車で片道3時間」の道東医療の現実。

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