261d7e95 840c 498a 87ac b1b12f7d75e9アンケート
2016年11月30日

「不妊治療のことは誰にも言えない」
「当直中に流産」……。
女医たちのリアルな妊活事情。

「子供が欲しいな」と思ったときにタイミングよく妊娠できるとは限らないものです。女性医師たちの間でも妊娠の悩みは多く、妊活事情を探るべくjoy.netパートナーの先生方にアンケートを実施しました。するとおよそ半分の方が「妊活中、不妊治療の経験あり」と回答。妊娠適齢期と研修時期が重なることが多い女性医師たちの苦労の姿、ひとりで悩みを抱える辛さが見てとれます。

~ある麻酔科医の不妊治療体験記~

 人工授精から体外受精へとステップアップし、結果的に仕事と治療との両立が難しく退職の道を選んだ、麻酔科の先生の体験記を紹介します。

体外受精がうまくいかず精神的にもダウン

体外受精にステップアップしてからの採卵のための排卵誘発治療は仕事の有無に関わらずきついものでした。

ホルモン剤の服用が始まると2,3日吐き気が止まらず食べ物を受け付けなくなったり、ホルモンバランスが急激に変化するため精神的に不安定になり激しく気分が落ち込んで悲観的になったり逆にイライラして攻撃的になったり普段の自分と違う精神状態になることが辛かったです。

最もきつい副作用はOHSS(卵巣過剰刺激症候群)。一度目の治療で卵胞が50個近く育ち、採卵直前は下腹部が腫れ、歩くたびに下腹部に痛みが走り時に立ち上がれずうずくまるほどでした。

よくないと分かっていましたが鎮痛剤を日に何度も内服して仕事をしていたこともありました。

結局その時は1個も育たず二重に辛い思いをしました……。

治療が順調にうまくいけばよいが失敗を繰り返すことで精神的に摩耗していく。通院先の医師も「不妊治療で身体のダメージはあまりないが長期的に続くことで精神的にダメージが大きくなる」と仰っていました。

治療を続けるためには退職するしかなかった

人工授精をしていた頃は土日や時間外受診を利用していたため通院と仕事の両立にあまり苦労しませんでした。 しかし、体外受精にステップアップしてから1周期あたりの通院回数が増加し、 モニタリングのために連日通院(時間内での受診)が求められたり、採卵を早朝から行うため病院近くに前泊したりしなければならなくなりました。

また採卵の副作用で重度のOHSSを起こし数日緊急入院になったり、移植予定が当日突然決定することもあったりと、予想外に休まなければならないケースがありました。

以上の状況で仕事と通院先での不妊治療の両立が不可能(職場のマンパワーの問題で事情を説明していても突発的に休めない)となりました。

自分のキャリアについても悩みましたが年齢や環境・性格を考えると仕事と治療を掛け持ちするよりも、今の時期は精一杯治療に専念すると腹をくくった方が治療が辛くても後悔なく臨めると思い至ったため退職しました。

 仕事をしながら不妊治療をする難しさ

体外受精での採卵は不妊治療クリニックでの診察後、「じゃあ、明日採卵ね」と突然決まることも多々あり、スケジュール調整が最大のネック。それがストレスになって妊娠しづらくなっているのでは?と思うくらいです。予定調整にがんじがらめになっている女医たちの泣きの声を集結しました。

  • 「2~3日おきに不妊治療クリニックでエコーで排卵状況をチェックしていたので、頻回の時間休申請と上級医への代行医依頼が申し訳なかったです。また受診ご出勤していたのですが外来が混んでいて、予定していた出勤時間に間に合わなかったこともありました」(精神科)

  • 「不妊治療していると憐れまれたくないので院長にしか言っていないが、月経周期に合わせて仕事を休まねばならず、仕事の調整がたいへん同僚にも迷惑をかけており心苦しい」(呼吸器科)

  • 「不妊治療クリニックで、通院の日にち、時間指定をされても、常勤だと突然の休みが取りにくいもの。とくに外来の場合は代わりの先生にお願いすることはできません。勤務の前日や当日に休みを取らなくてはならず、上司に怒られた事も。ストレスのせいかやっと妊娠陽性が出たのに当直中に流産してしまいました」(内科)

  • 「急に受診日がきまるので予定が立てにくい。夫が当直の明けの日は採精できない」(科目非公開)

  • 「日程が直前までわからないので、バイトを入れにくい」(健診)

治療のことを職場に伝えるか、伝えないか。

 いっそのこと「わたし、不妊治療しています」と打ち明けられたら、ストレスなく治療を進めることができるかもしれません。しかし「治療のことを職場に伝えるか、伝えないか」を質問したところ、6割の方が「伝えない」と回答。その理由とは。

 NO

上司が男性のみだったため話しづらかった」(麻酔科)。

  • 第一子まで流産を繰り返したので、治療のことも妊娠もなかなか言いづらかった」(科目非公開)

 

「同僚や上司どころか、親兄弟にも言えなかった」(小児科)

 

  • 「気にされるとかえって辛いので言わなかった。伝えないことのマイナス面はまったく配慮されないため当直や突発的な仕事で身動きがとれなくなること」(放射線科)

 反対にオープンにしたことで「治療との両立がしやすくなった」という声もありました。

YES

  • 「勤務負担を軽くしてもらうため、院長と事務長にだけ伝えています」(呼吸器科)

  • 「院長を通じて他の先生に周知していただきました。皆さんに心配はおかけしましたが、幸いほぼ全員結婚していてお子さんもいらっしゃる職場だったので理解は得られました。自分も不妊治療をしていたという先生には親身なアドバイスをしていただけました」(精神科)

  • 「同僚、上司ともに理解があり応援してもらった。医療従事者ということで他の職業に比べて理解度が高いということに加え、自分は今までがんばって仕事をしてきたので寛大に対応してくれた気もします」(消化器内科)

  • 「上司には伝えました。できる範囲で早めに帰してくれるあど気遣いはありました。理解のない人だと逆に辛く当たられたりしたかもしれない。とくに独身女性上司は要注意」(放射線科)

 不規則な生活の若手女性医師たちが不妊治療を続けることは、難しいのが現実のようです。産み時をとるか、キャリアをとるか。女性ならではの悩みはつきないものです。

joy.netでは女性医師のリアルな声を記事に反映するためアンケートを実施しています。皆さまからのパートナー登録をお待ちしております。

医師の常勤求人検索はこちら『Dr.転職なび
  アルバイト検索はこちら➡『Dr.アルなび


 <関連記事>
富坂美織の「知ること、診ること、学ぶこと」
第9回 不妊治療成功の鍵を握る胚培養士の存在。

将来の妊娠のために準備しておく、
未受精卵凍結の可能性とは?