01cfb951 e1f9 408f 892a 95e236282e25医療トピックス
2016年12月09日

joyさんぽ:スウェーデン編
医学・生理学賞、
2年連続日本人受賞に沸く『ノーベル博物館』

女医ならではの旅のカタチを提案する「joyさんぽ」。前回の金沢に続き、今回は日本を飛び出し美しい北欧の町、スウェーデン・ストックホルムをご案内します。

ストックホルムは12月10日(日本時間11日)に開催されるノーベル賞授賞式に向けた“ノーベルウィーク”の真っ最中。注目の医学・生理学賞は昨年の大村智・北里大学特別栄誉教授に続き、大隅良典・東京工業大栄誉教授がを受賞されました。その熱気を感じるべく『ノーベル博物館』へ。歴史に刻まれた偉業の足跡を肌で感じてみてください。

散策するだけで心洗われる
旧市街に建つ『ノーベル博物館』

 14の島から成るストックホルムは伝統的な建物と水面のコントラストが美しく、趣きのある石畳の小径など、どこを切り取ってもフォトジェニックな水の都。人気の観光エリアである旧市街、ガムラ・スタンは、蔦の絡まるカフェやクリスマス色に染まったショーウィンドウなどが町を彩り、歩いているだけで心躍ります。



ガムラ・スタンの中心広場にある旧証券取引所の1階に構えるのが『ノーベル博物館』。2001年にノーベル賞100周年記念に誕生したミュージアムで、18世紀に建てられた重厚感ある外観とデザイン性にあふれた館内とのギャップが新鮮な作り。エントランスを入ってすぐのところに、その年の6部門受賞者のパネルが放射線状に展示されています。編集部が訪れた10月12日にはすでに、大隅良典先生の写真がディスプレイされており、日本人として誇らしい気持ちになりました。

 
2016年のノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典・東京工業大栄誉教授のパネル。大隅先生の研究「オートファジ―」についてはこちら↓
『オートファジー-ノーベル賞を受賞した大隅栄誉教授の研究とは』(東工大ニュース)

そもそもノーベル賞はどのように選考されるのでしょうか。選出担当者はスウェーデン・アカデミーのメンバーやその道の専門家、かつてのノーベル賞受賞者などで構成され、各部門ごとに5名+秘書1名の選考委員会が設置されます。

毎年、2月1日までにその年の候補者を推薦され、選考がスタート。数百の候補者から選ばれるのは各部門3人まで。10月半ばに受賞者が発表されます。

気になる賞金金額は2012年から800万スウェーデン・クローナ(約1億円)といわれており、1部門に数人受賞されると分配することになります。となると、今年の医学・生理学賞受賞者がひとりである大隅先生は……。すばらしい功績に見合った額を手にされるのですね! 

およそ110年の歴史があるノーベル賞ですが、近年のうちに賞金額が底を尽きることはないのか、と思ってしまいますが、まだまだノーベル財団の利息だけでまかなうことができるというウワサも。アルフレッド・ノーベルはそれだけの大富豪だったんですね。

今年のノーベル賞の最大のトピックは何といっても文学賞。発表が1週間遅れ、編集部が訪れたときには2016年の受賞者パネルは?マークのままでした。

各部門、ノミネートされた人物は完全極秘で50年後に公表されます。これまでにも、同じ人物が何度も候補者名にあがっていたことがあり、そうなると毎年話題になる村上春樹さんのノミネート回数が気になります。

↑文学賞はノーベル博物館の2階にあるスウェーデン・アカデミーで決定される。今まさに審議中だと思うと歴史的瞬間に居合わせていることに感動を覚える。10月13日に発表されたのはロック歌手、ボブ・ディラン氏。授賞式は「先約がある」と欠席することを発表。

 
↑年代ごとの受賞ヒストリーをパネルで紹介。


↑天井には受賞者約900名以上の写真が。シャツ工場用に作られた機械を用いて順不同に巡回しているのがユニーク。

~ショップ&カフェ~


↑ミュージアムショップで販売されている受賞者のポストカード。

↑お土産で一番人気のメダル型チョコレート。ストックホルム入りした大隅先生はすでに10枚入り缶150個を購入したそう。


↑博物館がオープンした頃、ビル・クリントン大統領が訪れた際に従業員が館内のカフェ『ビストロ・ノーブル』の椅子の裏に大統領の名前を書いたことがきっかけで始まったサイン儀式。ノーベル賞受賞者のサイン付きの椅子でくつろぐことができる。

ご存知の通りアルフレッド・ノーベルはダイナマイトの発明家として成功を遂げた人物。1895年11月27日に遺言状を作成し財産の大部分を物理学、化学、医学・生理学、文学、平和の5部門に送ると書き残しました。経済賞はスウェーデン国立銀行の依頼で後から作られたものです。

兵器産業で得た莫大な資金を後世の技術、医療、平和活動などにおいて「人類のために最大の貢献をした人物に授ける」と記したノーベルの真意とは。発明家としての才能、技術革新を兵器にではなく、世界を豊かにすることに生かしてほしいという思いがあったのかもしれません。多忙な日々を送っていた彼が死をとげたのは1896年12月10日のこと。その命日に授賞式を行うことが慣例となっています。

今週末(日本時間11日)、華やかな授賞式のニュースを見ながら、医師として、研究者として高きを目指す思いが高まるはずです。

ノーベル博物館
住所:Börshuset, Stortorget, Gamla Stan
電話:+46-(0)8-534-818-00
アクセス:地下鉄:Gamla Stan 駅下車、徒歩5分
www.nobelmuseum.se


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