
Dr. ミナシュラン!
第4回 私、国際結婚してしまう
第4回 私、国際結婚してしまう
四国で地域医療に従事する中、結婚、しかも台湾人医師との国際結婚をしたDr. ミナシュラン。国際結婚の苦労も、キャリアの迷いも吹き飛ばす台湾グルメの美味しさ・・・いやいや、とろけるようなご主人のイケダンっぷりに要注目です。
第4回 私、国際結婚してしまう
国際結婚してしまった!
「好きな人と結婚できたんだからいいじゃないか」と思われるかもしれないが、女医と国際結婚、というのは、あまり良い相性とは思えない。
なぜなら、私たちの医師免許は原則として日本国内で通用するもので(注)、海外に行くと、原則としては医師として働けない(あるいは、現地の医師免許を取得しなければならない)。
なのに、私、国際結婚してしまった!
私の主人は、台湾の医師免許を持った、台湾人の皮膚科医師である。
出会った頃はお互い医学生だった。
医学生の国際交流の会議があり、私が台湾で行われた会議に参加したとき、ステージでまぶしい光を放つ人がいた。
「なんかカッコいい人がいる……」
それが主人であった(顔重視)
一方、主人の方も私を気に入ってくれていたようで、……書くのは照れくさいがお互い、一目惚れ!したのだった。
それから、毎日メールし(英語力アップ)、ときどき電話し(英語力さらにアップ)、長期の休みごとに日本と台湾を行き来する生活が始まった(食欲もアップ)。
そう、台湾は、何を食べても美味しいワンダーランドだったのだ!
小籠包、ごま饅頭、ピータン、臭豆腐……、もし主人がいなくても何度でも食べに通いたいと思えるような食べ物ばかりで、私はすっかり台湾の魅力の虜にもなった。
ミナシュランをトリコにした台湾グルメたち。ミナシュラン、ガッツリ胃袋をつかまれた!
※ 台湾ローカルグルメサイト「食べ台湾」より使用許可をいただいたうえ、写真掲載しております。
しかし、結婚する時には、まだ、自分が台湾に住むとは全く思っていなかった。
私は自治医大出身で、卒業後には9年間の地域医療の義務年限があったので、自動的に、主人が日本に来て、日本の医師免許を取るというプランを二人とも描いていた。
楽観的な私たち二人は、台湾の大きなホテルで、台湾式に盛大な結婚式を挙げた。
ミナシュランが撮影した結婚写真の数々。幸せに満ち溢れた様子は、モザイクをも飛び越えて伝わってきます。
その後しばらくは、別居生活となった。
四国で地域医療をする私と、台湾で研修医をする主人。
一緒に住めないのは寂しかったが、時々会うと毎回新鮮な喜びがあるし、旅行するのも楽しかった(台湾と四国で会う他に、中間地点として全国の空港で会うこともあった)。
さて、そんな別居での新婚生活を過ごすうちに、主人の初期研修がようやく終了することとなった。早く日本に来て欲しい、そればかりを願っていたのだが、主人の口から出たのは、ちょっと予想とは違う言葉だった。
「初期研修が終わって、これから、普通の同期は専門科に進む選考試験が始まる。
多分、ものすごく難しいと思うけど、僕も皮膚科の試験に挑戦してみたいんだ」
台湾では、毎年、各専門科の医局に入局する人数に制限があり、制限を超える科では選考試験がある。(逆に、日本は選考試験がないのに、医師がそこそこ均等に分布しているのが不思議に思えてくる。)
その入局試験で最も人気があるのが、皮膚科らしい。(他に耳鼻科なども人気)
だから、毎年皮膚科に入局できるのはその学年でもトップクラスの医師だそうで、主人の同僚の皮膚科医達も、大学を主席で卒業、とか、ハーバード出身、とか、華麗な経歴をお持ちだ。
主人は言った。
「合格の可能性は低いと思うけれど、皮膚科に挑戦してみたい。もしも落ちたら、そのときはすぐに日本に行って、日本の医師免許を取る準備をしようと思う。でも、もしも皮膚科に合格したら、専門医を取るまでは、台湾で皮膚科の研修を受けたい」
主人が「挑戦したい」と言うならば、妻として反対はしたくなかった。
(逆に見れば、9年間の義務年限は私の「挑戦」であったし、それを認めて結婚してくれた主人の「挑戦」にノーとは言えないと思った。)
そして、主人は見事に皮膚科の入局試験に合格し、私と主人の国際別居生活はもう少し継続することとなったのだ。
もちろんこのときはまだ、自分が海外に住むことになるとは夢にも思っていなかった。
最後に……、これらを踏まえて、「女医さんに国際結婚を勧めるか」ともし聞かれたら、答えは、「国際でも国内でも、好きになったら結婚しちゃわないと仕方ない、後はどうにかなる」だ。海外に住まなくてはならない可能性がある、ということは本当に大変だが……、外国人と付き合うメリットもたくさんある気がしている。私の主人の場合、日本人ではありえない位優しくて(荷物を持ってくれたり、ドアを開けてくれるのは当たり前)(なんかすみません)、しかも、「女性が家事をすべき」という固定観念もない(自ら家事をしてくれるし、必要なら家事を外注しよう、と言ってくれる。女性が料理をするものとも思っていないので、私がおにぎりを作ろうものなら「ミナは天才だ、僕は幸せだ!」と言ってくれる)(なんかすみません)。
色々苦労もしているが、やっぱり、生まれ変わってもこの人と結婚してしまうんだろうな!(なんか本当にすみません)
注:シンガポールなど、二国間協定で他国で通用するケースもあるが、条件付きであったり、定員があったりする
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『激ウマ! 食べ台湾 ひとり旅でも大満足、食べまくりローカルフード65軒』
KADOKAWA
Aiwan (著), 妻鹿もえぎ (マンガ)
■プロフィール:Dr.ミナシュラン
四国生まれ、総合医。食べる事が好きで、本名「みな」とグルメの「ミシュラン」を掛けて「ミナシュラン」と呼ばれている。茶道と音楽の心得あり。自治医大を卒業し、四国の地域医療に9年間従事した。「君は鳥と同じように自由だ(You are as free as a bird.)」とプロポーズされ、台湾人医師と結婚。その他の情報は徐々に明らかになる予定。