46812dca 3ba6 42d6 bfc7 0eb26995e79b連載・コラム
2017年01月30日

院長ママのパラレルな日々
第10回 女医のセクハラ事情

東京の整形外科医院で、院長として奮闘するママドクター・井上留美子先生。医療現場では、女性医師が増えても男社会の気風が根強く残っているといいます。

今回は、患者からのセクハラまがいの言動に物申せないはがゆさ、憤りを語ってくれました。女性医師の先生なら一度は経験ありそうなエピソードに、ドンピシャ共感!

第10回 女医のセクハラ事情

『女医』という言葉があるところを見ると、やはり医学の世界はまだまだ男性社会……。女性医師が珍しくない昨今ですが、まだまだ男性中心の診療科が多い、特に外科系。

担当が女性の医師だと、それだけで態度が変わる患者さんがいたり、joyというだけで不利益、不便が生じることも多々。きっと、このjoy.netができた理由の一つはそれかも、、、。

セクハラはどこの業界でも存在するのかもしれません。しかしjoyの場合、セクハラの受け手が医師であるがゆえに、他の業種にはない問題があります。患者と医者の間に存在する暗黙の上下関係(汗)。

病院で上司との間で起きたセクハラは『訴える』ことも可能かもしれません。でも、患者さんとの間で起きた場合はなかなか難しい。

患者さんを『セクハラで訴える』なんて考えたことあります?

長男の妊娠中にある男性の患者さんから言われたひと言。

『先生のお腹には僕の子供がいるね、愛の結晶……』

うっ、まじ、笑えない……。私は30歳は超えていましたが、それでもオエーっと感じたひと言です。横にいた看護師もびっくり。その時は、その場を取り繕うのが精いっぱいでしたが、冷静に考えると不快感120%のセクハラ発言です。

その後も、この患者さんは診察のたびに『母乳で育てている?』なんてことまで言いだして・・・。診察のたびに不快な思いをしていましたが、どうすることもできず、聞き流すことしかできませんでした。

私のようにjoyひとりで開業医をやっていると、相談できる人もいないし、代診をお願いできる医者もいない。相手が止めるまで待つしかない……。相手は患者さんだから、診療拒否することもできず、そんなことを言われながらも、痛みの訴えを聞き、治療を継続していくわけです。

『ここが痛いんだよ~』といって男性患者さんがjoyの膝や腰、ときに肩や背中を触ってきたとき、触られた側が不快に思ったら、これはセクハラ。そのときに、毅然とした態度で『やめてください!』と言えるjoyは何人いるでしょうか?

一般企業の女性社員の方々って、仕事の相手から身体を触られることなんてそんなにあるのかしら?整形外科では、診察のために医師が患者さんの身体に触れ、所見をとるのが当たり前。

だからと言って、逆はいかがなものでしょう? 医療現場では、他の職場と比較し、セクハラに対する閾値が甘くなってしまっていると感じるのは私だけでしょうか?

患者さんは病を患い、痛みに耐える弱い立場の人間で、医師は常に思いやりと優しさで接するべき立場の人間。患者さんが苦しみに耐えかねて、つい発した不適切な、時には軽く暴力的な発言に対しても、私たちは寛容な心で受け止め、癒してあげないといけない……。

な~んて思いが、我々の中に染みついていませんか? 

多くの患者さんは、医者は常に優しくあってほしいと願っておられると思います。でも患者さんの中には、自分に対してはおそらく医師は文句は言わないだろう、ある程度は何を言っても許されるであろうと思っている人がいるようにも感じます。患者さんの方が立ち場がずっと上、医者の方が弱者って思ったことはありません?

誰でも一度はセクハラまがいの経験はあると思います。ネットで調べても30%の女医がセクハラを受けたことがあると答えているそうです。

私は年を重ね、患者さんの細かい言動などは、もはや気にもならなくなってしまいました。おじいちゃんが私を触って元気になるならそれも良し! しかし医者と患者も人間同士、信頼関係が重要です。時に患者さんにも、患者さんとしてのモラルを持ってほしいな~と感じてしまうのです。

井上留美子 (いのうえるみこ)

1971年東京生まれ、東京育ち。聖マリアンナ医科大学卒業・研修。整形外科学教室入局。長男出産をきっかけに父のクリニックの院長となる。日本整形外科学会整形外科認定医、リハビリ認定医、リウマチ認定医、スポーツ認定医。

 

自分の健康法である笑うことをモットーに予防医学としてのヨガに着目し、ヨガインストラクターに整形外科理論などを教えている。シニアヨガプログラムも作成し、自身のクリニックと都内整形外科クリニックでヨガ教室を行う。現在は二人の子育てをしながら自身のクリニックにて院長業務を行っている。

\院内ポリスが伝授する/
モンスターペイシェント対策(HEALTHECARE Biz)

 医師の常勤求人検索はこちら『Dr.転職なび
  アルバイト検索はこちら➡『Dr.アルなび


<関連記事>
辛いです……。私が出会った
モンスターペイシェント図鑑。

院長ママのパラレルな日々 
第9回 海外”医療”ドラマのススメ

院長ママのパラレルな日々
第8回 ワーキングマザー万歳

院長ママのパラレルな日々
第7回 女性院長の日々と事件簿

院長ママのパラレルな日々
第6回 自分の箱・女医の箱

院長ママのパラレルな日々
第5回 女医友いますか?

院長ママのパラレルな日々
第4回 女医の結婚事情 ~私の場合~

院長ママのパラレルな日々
第3回 女医版「私結婚できないんじゃなくて、しないんです」!? 
~joyの結婚事情について思うこと

院長ママのパラレルな日々
第2回 思えば、男性社会だった

院長ママのパラレルな日々
第1回 整形外科医で、開業医で、院長で、二児の母で
     ヨガインストラクターの指導もしております
    ・・・実は大学院進学も諦めていません!