
連載:富坂美織の「知ること、診ること、学ぶこと」
第14回 日本のペット産業について思うこと
第14回 日本のペット産業について思うこと
愛犬、愛猫がいらっしゃる女医の先生も多いのではないでしょうか。今回は富坂先生が取り組んでいる犬猫殺処分ゼロの活動について紹介します。
第14回 日本のペット産業について思うこと
ご無沙汰しております。今年も早いもので、6分の1が終わろうとしており、時間があっという間に経つのをどうにか止められないものかと考えてしまう今日この頃です。
2週間ほど前に風邪をひいてしまい、昔なら2,3日寝ていれば治ったものが、ここ数年は体調がまあまあの状態に戻るまでに2週間くらいかかってしまい、体力の衰えを感じています。
さて、最近ニュースでは、犬猫殺処分やペットの流通が話題となり、殺処分を減らすための地方自治体の取り組みが紹介されることも多くなっています。女医さんの間でもペット好きの方が多い気がするので、今日は数年前から犬猫殺処分ゼロに向けた活動に取り組んでいる立場から、日本のペット産業の現状について、お話したいと思います。
私たちが病院、診療所で忙しく働いている平日の1日に換算すると、日本では平日毎日、約700匹の犬や猫が全国の自治体で殺処分されています。
その一方で、犬だけで毎日約1600匹が販売されています。
たくさん処分される一方でどんどん新たなペットが販売されていく….これは、日本特有のペット産業の構図に原因があります。
留学などで、欧米へ行かれる先生方も多いと思うのですが、日本のように街の中でペットショプを見かけた記憶、あるでしょうか?
実は日本のようなペットショップの形態は欧米先進国ではほとんど見ることがありません。
日本のペットショップにはどこから犬猫が運ばれてくるのかというと、日本ではパピーミルと呼ばれる子犬の繁殖工場があり、ここでは繁殖専用の犬猫がたくさんの子供を産まされています。
そして、この“工場”で生まれた子犬、子猫たちはペットオークションという競り市に出され、そこから、私たちの身近にあるペットショップの店頭に並ぶのです。
先日、私たちは、TOKYO ZEROキャンペーンとして、
東京オリンピックまでに殺処分ゼロを目指すことを目標として、木枯らしが吹く1月下旬の夜に、環境省を訪れ、山本環境大臣とお話しさせていただきました。
まず、代表の藤野真紀子さんから、幼すぎる8週齢未満の子犬、子猫の販売を規制すること、捨て犬、捨て猫を殺処分せず、譲渡できるような機会を増やすよう方針転換することなどを大臣にお願いしました。
動物愛好家でもある山本環境大臣に、生後8週未満の保護された子猫をお見せすると、抱っこしてくださいました。生後8週未満の猫がいかに小さいかお分かりいただける写真です。
大臣の腕の中、よく見ると子猫が入っています。幼すぎる犬猫を生まれた環境から引き離すと精神的外傷を追って、問題行動が多くなります。
日本の殺処分をゼロにするため、今後も実現に向けて皆で力を合わせていければと思っています。
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富坂美織(とみさか みおり)先生 1980年東京都生まれ。産婦人科医・医学博士。順天堂大学医学部産婦人科教室非常勤講師。 順天堂大学卒業後、東大病院、愛育病院での研修を経て、ハーバード大学大学院にて修士号(MPH)を取得。マッキンゼーにてコンサルタント業務に従事した後、山王病院を経て、生殖医療・不妊治療を専門としている。
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