
女医の婚活戦略~夫候補=医者は正解なのか~
第2回 非対称性という不都合な真実:麻酔科医・筒井冨美
第2回 非対称性という不都合な真実:麻酔科医・筒井冨美
お待たせいたしました! フリーランス女医・筒井冨美先生による「女医の婚活戦略」の第2回目です。今回のテーマは結婚相手のターゲティングについて。「幸せな結婚」という成功を手にするためには、正しい標的を見定めることが不可欠です。
「女医の結婚相手といえば医者でしょ?」の概念に捉われている女性医師に、2017年版の最新戦略をレクチャーします。
フリーランス女医が教える 女医の婚活戦略
第1回 ステージ分類とトリアージ :麻酔科医・筒井冨美
現在、医大における女性率は約3~4割であり、女子医学生~女医の多く(8割ぐらい?)は、結婚相手として男性医師を希望する。
一方、男性医師は必ずしも女医との結婚を希望しない。
ざっくり言って、男性医師の約半分は看護婦(および薬剤師・検査技師・秘書などの院内非医師女性)を選ぶのが、現実である。
女医にとっては不都合な真実だが、この非対称性を直視し、冷静に対応することが婚活戦略として推奨される。
1.「女が医大に進学すれば、自動的に医師夫ゲット」時代は終わった
小説「白い巨塔」や、渡辺淳一の小説にしばしば登場するように、昭和時代には「医師と看護婦の結婚はタブー」という雰囲気が残っていた。
当時の、「若い看護婦の恋人がいても、結婚は親の薦める女性と見合い」という風潮は、女医には有利だった。
ゆえに、昭和時代の女医は事実上「医大生~研修医時代に出会った男性医師と、自然に医師同士婚に至る」か、もしくは「生涯独身」の二者択一だった。
しかし、平成時代も終わりが見える現在、医師・看護師婚のタブー感が消失して、40代の若手教授だと「教授夫人は元ナース」も珍しくない。
また、男性医師の1~2割は今もなお非医療関係の専業主婦を希望する。
「家では仕事を忘れたい」「院内不倫しても気付かない妻がよい」「やっぱ、客室乗務員サイコー」など理由はさまざまだが、医療関係者と結婚したがらない男性医師が存在するのは事実である。
よって、「院外女性との結婚率」を15%と仮定すると、残りの男性医師は約35%(上記で述べたように男性医師の約50%が院内非医師女性と結婚)と推定できる。
「男性医師の35%、女性医師の80%が同業者と結婚を希望する」という仮定のもとに、女子学生率の上昇に伴う「女医1人当たり男医数」の変遷をシミュレーションしたものが表1およびグラフ1である。
2000年頃の女医率が3割を超えたあたりから、マッチング可能な「女医あまり/男医の不足」というパラダイム・シフトが急速に進行したことが確認できる。
女子医学生4割時代も目前となり「女が医大に進学すれば、自動的に医師夫ゲット」時代は既に終わってしまったと考察できる。
(表1)
卒業年代 |
男性医師(%) |
女性医師(%) | 女医婚したい男医(%) | 男医婚したい女医(%) | 女医1人当たり男医数 |
1980年頃 | 85 | 15 | 30 | 12 | 2.48 |
1990年頃 | 80 | 20 | 28 | 16 | 1.75 |
2000年頃 | 70 | 30 | 25 | 24 | 1.04 |
2010年~現在 | 65 | 35 | 23 | 28 | 0.82 |
2020年頃? | 60 | 40 | 21 | 32 | 0.66 |
将来1 | 50 | 50 | 18 | 40 | 0.45 |
将来2 | 45 | 55 | 16 | 44 | 0.36 |
(グラフ1)
2.女医の過半数は、非医師男性と結婚
「既婚女医の夫が医師である率」については、既にいくつかの報告がある。
「日経メディカル」誌によると2007年調査で68%、2009年調査で58%であった。さらに、2016年の「アエラムック『医学部がわかる』」による調査は42%だった。
女医の過半数は、非医師男性と結婚する時代は、既に到来している。
実際に、元祖タレント女医の西川史子先生は38歳で実業家の年下男性と結婚したし(後に離婚)、同じくタレント女医の友利新先生は医師夫との結婚・スピード離婚の後、35歳で非医師男性と再婚している。
私の周囲でも、20代に結婚した女医は圧倒的に医師・医師婚だったが、30代(特にIIIb期/独立時代35-39才※)以降に結婚した女医は過半数が女医・非医師男婚となっている。
※フリーランス女医が教える 女医の婚活戦略 第1回 ステージ分類とトリアージ「女医の婚活ステージ分類」参照。
3.「何が何でも医師夫」は高リスク
「女医の過半数は非医師と結婚」時代なのに、「女医なら当然、夫は医者だよね」的な空気は、まだまだ世間には残っている。
特に「親も医師」ファミリーでは、親が1980~90年代の感覚そのままに「年頃の女医が大学病院でウロチョロすれば、すぐに男医が釣れるはず」と、娘にプレッシャーをかけるケースが多い。
中でも「父、兄、叔父、従兄弟みんな医者」のような家系で育つと「医者に非ずば男に非ず」的な洗脳教育を受けている女医も存在する。
2017年2月、「ニセ医者男が、女医2人から4000万円だまし取った結婚詐欺」という残念なニュースが報道された。被害者の33才と29才の2人の女医も、こういうプレッシャーに負けて男を見る目が曇ってしまったのかもしれない。
ステージI~II期(I期/医学生時代18-24才、II期/研修医時代25-29才※)の出会いボーナス期を逃してしまった女医は、婚活ターゲットを「何が何でも医師夫」ではなく「医師夫が望ましいけど、私を大切にしてくれる男だったらそれ以外でも可」に目標修正すべきである。
※フリーランス女医が教える 女医の婚活戦略 第1回 ステージ分類とトリアージ「女医の婚活ステージ分類」参照。
また、医師親が昭和的婚活観に凝り固まっているIII期(35才~)以降の独身女医は、女医結婚詐欺ニュース記事や本論文を迅速に供覧し、親意識のアップデートを促すことが推奨される。
「ハイミス女医の医師狙い」は雰囲気だけで周囲に漏れやすいし、第三者としても(そして狙われた男医も)気が滅入る。
むしろ、仕事の合間に「ゴルフスクール」「英会話」「ワイン試飲会」などの出会いが期待できそうなイベントを入れて、「私、院外でもイロイロあるんです~」的な雰囲気を漂わせることが推奨される。
あてはなくても、「ちゃんと捉まえておかないと、他の男に獲られそうな高嶺の花」を演じておくことが、院内での婚活成功率を上昇させるのだ。。
夕方の病棟で
【悪い例】
医師A男「(看護師B子に)今日は仕事が早く終わりそうだから、みんなで飲みにいこうよ」
看護師B子「え~、どうしようかなぁ」
女医C子「(横から割り込む)行く行く、賛成~!店を予約するね(強引に予約)」
飲み会ではA男の傍でベッタリするC子。C子の相手をしつつ、B子が気になるA男。
【良い例】
医師A男「今日は仕事が早く終わりそうだから、みんなで飲みにいこうよ」
看護師B子「え~、C子先生はどうします」
女医C子「私はダメ、ゴルフの練習場にいかなきゃ」
A男「それ、今日じゃなくてもいいんじゃないの?」
C子「だめよ。来月ラウンドするときに、連れて行ってくれる人に迷惑かけたくないの。カンを取り戻しておかないと(大人の男性の陰がちらつく)。」
飲み会でB子と飲みつつも、来なかったC子が気になるA男
「こんな作戦じゃ、B子に負けるのでは?」と、ご心配のアナタ、心配ご無用。確かに恋愛活動では「酒席でベッタリ」プロトコールは有効性が確認されているが、婚活は必ずしもそうではない。
むしろ、「異性にガツガツしない」「周囲に配慮ができる」「社交的」の方が、「将来の妻候補」としてはポイントを稼ぐことができる。そして、婚活女医が探すべきなのは、カレではなく夫候補である。
4.復活愛に賭ける
なんだかんだいっても、医学部というところは勉強がハードだしカリキュラムは密で、学部内の人間関係は濃い。一時的に若ナースに迷った元カレが、青春時代を共有した女医元カノに還る可能性はゼロではない。
というわけで、医師カレに別れ話を切り出されたならば、その場は「そうね、わかったわ」などと気丈かつ淋しそうにつぶやいて、静かに立ち去るべきである。
職場で元カレを見かけても、軽く会釈する程度にしておこう。向こうから話しかけてくれば、数分間のおしゃべり程度で切りあげる。話しかけてこなければ……なにもする必要はない。
「元カレのマンション前での待ち伏せ」や「無言電話」は、単なる人生の浪費である。「ずーっと待っています」的なメールも、たいていの場合は逆効果である。
「再交際→結婚」の可能性をさぐるなら、「彼のほうからアプローチがある」ことが一つの目安である。女医から積極的にアプローチした場合、「次の若ナース彼女ができるまでのつなぎ」的な再交際はできても、結婚にいたる可能性はかなり低い。
III期以降の女医には、そのような高リスク低リターン交際は推奨できない。
そして元カレから連絡が来て再交際を求められた場合、選択肢は二つしかない。「結婚を前提とした交際」か「次に行く」である。
元カレに「新しい彼女ができて捨てられるなんて、あんなつらい思いは一度でたくさん」という毅然とした姿勢を崩さなければ、ムダな交際による時間リソースの浪費を回避できる。
「20代の5年間を捧げた」のようなサンクコストに固執せず、冷静なトリアージ(第1回参照)が推奨される。
「次に行く」という判断に至った場合、具体的に何をすべきかについては、次回の連載第3回をお待ちいただきたい。
5.ライバルと差をつけるテクニック
「若ナース二股」やら「客室乗務員と合コン」など、人生最大のモテ期が到来して調子に乗る独身男性医師に、「でも結婚するなら女医っていいかも」と思わせる小技を提案したい。
それは、「私が妻ならば、小さな浮気は見逃してあげる」アピールである。具体的には、芸能人や政治家の不倫・離婚報道を話題にした際に
【良い例】
女医「不倫だけならともかく、あんなふうに日本中に知られたら奥さんもキツいよね」
男医「不倫だけならOKなの?」
女医「だって、気が付かなきゃ無いも同じでしょ。こんなに仕事が忙しければ、絶えず見張ってる訳にもいかないし…」
と、「物分かりの良い大人の女」を演じておこう。
もっとも、結婚後にそういう事態になった場合、本当に許すかどうかはあなた次第である。
女医の婚活戦略~東京五輪までに結果を出せ~
第3回 フェイスブックに学ぶSTEM戦略:麻酔科医・筒井冨美
■筒井冨美(つついふみ)先生
1966年生まれ。地方の非医師家庭に生まれ、某国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。本業の傍ら、メディアでの執筆活動や、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)「医師たちの恋愛事情」(フジテレビ系)など医療ドラマの制作協力にも携わる。
\筒井冨美先生の新作/ 100以上の病院を渡り歩いた現役の麻酔科医が医師、病院の真実の姿を切り取った作品。「白い巨塔」と言われていた医師のピラミッド構図の変化、大学病院の裏側、働き方など、医療現場の実態が鋭く描かれている。
\これまでのヒット作品/ 「よい病院や医師の見極め方、痛い目に合わないための医療とのつきあい方」を指南した一冊。「学閥」「専門医制度」「外科医と学歴」「医師たちの恋愛事情」など多角的なアプローチで医療業界を分析。さらにワーキングマザー「女性活用」や「保育園問題」についても本音を語る。 |
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