1745fa56 b8ed 4da7 a8d7 cedd09531007医療トピックス
2017年05月02日

【遠隔医療相談の今】
分譲マンションに「小児科オンライン」が初導入。
ママドクター必見、母、医師としての遠隔医療相談

分譲マンションのBRANZを手がける東急不動産は、居住者専用のサービスである「BRANZサポート」の一つとして、株式会社Kids Publicが運営する「小児科オンライン」を採用しました。「ブランズシティ世田谷中町」にて2017年4月より運用を開始。「小児科オンライン」を不動産業界が初めて分譲マンションのサービスとして導入したことで、暮らしのなかでの遠隔医療相談がより身近な存在になりそうだと話題です。

いまどきの親子の生活スタイルや現状に即し、#8000などの既存の公的な電話相談窓口などよりさらに一歩進んだ遠隔医療相談システムを提供しているKids Public。その代表である小児科医の橋本直也先生に、「小児科オンライン」のシステムの内容や立ち上げの目的などを詳しく伺ってみました。

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橋本直也先生
国立成育医療研究センターにて小児科研修。その後東京大学大学院にて公衆衛生修士号を取得。健康な子どもたちを健康なままでいさせるために小児科医ができることを模索。2015年株式会社Kids Publicを設立。

小児科オンラインが、社会インフラを、街を、医師の働き方をかえる

——マンション住居者へのサービスとして東急不動産と提携した経緯をお聞かせください。
橋本先生「住まい」はまさに子どもたちにとって生活の中心の場です。その「住まい」と小児科医が接点を持つことによって、居住者の方へ新たな安心をお届けできるのではと東急不動産様にご提案させていただいたことがきっかけでスタートしました。お子様の急な体調の変化や、普段から気になっている健康に関する疑問をご自宅から気軽に相談していただくことで、ご家族の安心につながればと思っています。「住まい」は家族を守る大切な場所です。そして家族を守るという点において小児医療も目指す方向は同じだと思っています。 

——具体的に小児科オンラインのサービス内容について教えてください。
橋本先生:現在、Kids Publicが提供している「小児科オンライン」は平日の夜18時~22時の時間帯に、小児の健康相談に現役の小児科医が答えます。相談方法が特徴的で、LINEやSkypeなどのアプリを使用し、テレビ電話、チャットなど親御さんの好きな方法でリアルタイムに医療相談を行うことができます。まさに、深夜であってもスマホから我が子の健康について質問できるサービスです。利用料は、個人の場合で月額3,980円。回数は無制限で相談できます。なお、「ブランズシティ世田谷中町」にお住まいの方は無料です。

立ち上げの動機は、子どもたちの健康に関する親御さんのご不安が取り残されてしまっている現状を、医療現場で目の当たりにしたことです。親御さんの手元にあるそのスマホを活用できたら、もっと手軽に小児科医にアクセスができ、そのご不安に寄り添うことができるのではないかと思ったのです。

 

——利用者からの反応はいかがですか?
橋本先生
「写真や動画を用いて相談ができるため、様子を伝えやすかった」
「手軽に相談ができ、子育ての不安が和らいだ」
「病院に行くとそこで新たな感染をもらってしまうのではと心配になるが、その心配なく相談ができてよかった」
などのご意見をいただいています。



スマートフォンでやり取りできる気軽さが魅力

——ママドクターの立場からすると「小児科オンライン」は、利用するだけでなく、働き方の選択肢としても考えられるでしょうか。

橋本先生:遠隔医療相談は、受け手側の医師も自宅での勤務が可能なのが特徴です。そのため「小児科オンライン」に協力してくださっている26名の医師の中には、育休中の女性医師もいます。育児中で病院などの現場復帰は難しい状況でも、スキルを活かして働くことができ、フレキシブルな働き方の提案の一つになっています。

そして、利用者は0歳児を育てているお母さんが最も多く、育児中の小児科医師はまさに同じ状況を共有しながら相談に乗ることができます。利用後アンケートでも「相談に乗った女性医師も育児中だったのでより親近感があって安心しました」という声をいただいております。ママさん医師はまさに強みを活かすことができる働き方だと思います。

さらには、「小児科オンライン」に医師として参加することで、遠隔医療という新たな医療の分野に触れることができます。実際、相談を行いながら、自分自身も日々勉強になっています。遠隔医療が当たり前の社会になる前に、「診療」ではなく「医療相談」という形とはいえ、「小児科オンライン」で経験できるのは大きなメリットと考えています。


確かに子供の病状は、かかりつけ医である街の小児科の多くが閉まる18時以降に突然出てくることも多く、親は慌てふためくもの。そして現代の親の多くは核家族で子育てをしているため、子供の異変に直面したらまず何をするかというとスマホで「高熱、嘔吐、生後6ヶ月」「トマト、食後、発疹」「ソファ、転落、たんこぶ」などと検索をして、必死に対応方法を調べます。

しかし、検索結果が相談に乗ってくれるわけではないですし、情報の信憑性も担保されているわけではないので、その後どうするかは親が不安ななか判断せざるを得ないものです。そんな時に、自分一人で抱え込まず、しかも小児専門医が相談に乗ってくれるのなら親の不安はかなり軽減されます。

検索だけでなく、スマホを通してその一歩先の安心をもらえる、これが「小児科オンライン」の最大の魅力です。

また、医療従事者としてみると、今注目の医療分野の一つである遠隔医療の経験値を積めること、海外在住であろうが子育て中であろうが医師として働き続けられる可能性や働き方の選択肢を広げてくれる点も見逃せません。


——現時点で感じている遠隔医療相談の難しさや課題、面白さを教えてください。

橋本先生:サービスとしては、今後まだまだ認知の向上が必要だと思っています。また、テレビ電話で医師と話すということにまだ抵抗のある方もいらっしゃるかと思います。この辺りは徐々に文化として根付いていけば良いと思っております。同時に、事業を継続する中で、非対面だからこそ引き出すことのできるお母さんの本当の悩み、不安というものもあることを感じております。遠隔医療相談は、新たな小児医療のあり方の提案になるのではないでしょうか。

——2018年の遠隔診療に対する診療報酬の改定の話(※)が出てきました。もちろん遠隔医療相談システムとは保険内と保険外という点でサービスやシステムが大きく異なるものではありますが、今後のビジネス展開で保険内への参入などはお考えですか?
※6年に一度の報酬改定にあたり、政府は情報通信技術(ICT)の活用により医療と介護の効率化を進めるために、かかりつけ医がICTで診察の付加価値を高める場合、診療報酬を上乗せする方針を決めた。2018年度に予定する診療報酬と介護報酬の同時改定で、事業者らへの優遇措置を盛り込む。

橋本先生:株式会社が保険診療を行うことはそもそもできませんので、株式会社としての参入は不可能です。ありえるとしたら、遠隔医療を展開するプラットフォームを販売するというやり方かと思います。

医療行為として行う場合はクリニックを作り、そこで保険内の遠隔医療を行うというやり方があります。これは自分たちでクリニックを作るか、既存のクリニックとの連携か、はまだ決めていませんが、可能性はあると思っています。


子供を取り巻くあらゆる環境に積極的に遠隔医療相談の可能性とその広がりを見出して参入。Kids Publicの活動には、診察室にとどまらない、医療や医師の社会への力強い働きかけを見ることができます。

その柔軟性を生かし、「小児科オンライン」が素早く社会のニーズを反映して実績や信頼を生み、それを糧に逆に大きなインフラを変えていこうとする動き。

これは、既存の子育て制度ではぬぐい去れなかった親の不安を軽減するだけでなく、医療従事者側にとっても、起業や働き方の新しい選択肢、医療の新たな可能性を感じさせるものではないでしょうか。

時代の流れと共に社会が変わり、その中で家族や親子の形も変わり、医療も変革が求められるなか、Kids Publicのスピード感ある動向に今後さらに注目せざるを得ません。

■文・田中祐子

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