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2017年05月12日

【女医のキャリアと育児】スキルアップ法、育児との両立のコツとは?
女医のお悩み相談室 Vol.3

女医たちが抱える仕事と育児の両立の悩みについて乳腺外科医のトップランナー・山内英子先生がアドバイス。 

「職場で迷惑をかけているのが心苦しい」という切羽つまった悩みから、勉強法、リーダーとしての心得まで。アメリカでの経験が豊富な山内先生の生き方論は、凝り固まった考えに風穴を開けてくれます。

\今日のセンパイ/

山内 英子(やまうち ひでこ)先生

聖路加国際病院副院長、ブレストセンター長、乳腺外科部長。1963年東京都生まれ。87年順天堂大学医学部卒。聖路加国際病院外科レジデントを経て、94年渡米。ハーバード大学ダナファーバー癌研究所、ジョージタウン大学ロンバーデイ癌研究所でリサーチフェローおよびインストラクター。ハワイ大学外科レジデント、外科集中治療学臨床フエロー、南フロリダ大学モフイツトキヤンサーセンター臨床フエローを歴任。2009年聖路加国際病院乳腺外科医長、10年よりブレストセンター長、乳腺外科部長、2017年より聖路加国際病院副院長。

質問:保育園児の母です。当直は免除してもらっていますし、子どもの急な発熱で、園から突然のお迎え要請が入り早退することも多く、同僚に迷惑をかけっぱなしです。こんなことなら退職すればよかったとさえ思い、つらくて仕方ありません。

答え

恩返しは、自分に余裕ができたときで大丈夫ですよ。

日本人って何かしてもらうと、すぐにお礼をしないといけないとか、1対1の人間関係だけで物事を完結しようとする面がありますよね。私も、思いがけず妊娠し、周囲にこれ以上ないくらい迷惑をかけた時には、本当に申し訳なくて、心苦しく感じていました。

だけど、そうじゃない。困った時には、素直に人を頼っていいんだということを、アメリカで学びました。

アメリカは、キリスト教の国なので、社会を1つのパイとして考えています。

たとえば自分が困っている時に手を差し伸べてくれた人には、「ありがとう、これが困っているからお願い」と素直に頼める。その代わり、自分が困難を乗り越えて余裕が出来たら、ほかのひとを助ければいいんだと。社会全体が1つのパイで、感謝の想いがいったりきたりしているから、なんの躊躇もなく人の助けを借りられるわけです。 

日本の女医さんたちも、子育て中に受けた恩は、いずれ子育てを終えた時に、他の若い女医さんを助けてあげることで返せばいいと思います。

私はセミナーなどで、男性の皆さんにも言っています。「自分たちが女性医師をサポートしても自分たちに返ってくるとは思わないでください」と。それは将来的に、社会に対して還元されるものなのだと。

相談者の方も、どうか自分を追い込まないで。長いキャリアのなかで恩返しすればいいと考えてはいかがでしょうか。

~まとめ~

・困ったら素直に他人に頼るべき
・恩返しは個ではなく社会に還元する発想を

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質問:現在、後期研修中なのですが、外来、当直、その他雑用で自分の時間がほとんどありません。効率的な勉強法はありますか? 

答え

患者さんのことをとにかく考えること。テクニックではなく気持ち、モチベーションです。 

医者にとっては、患者さんを想うことが、最高のモチベーションになると思います。

私は、ハワイ大学での研修医時代に、心臓外科の先生から、オンポンプとオフポンプの比較研究に関する論文のまとめを頼まれ、2回続けて断った経験があります。8歳の息子を抱え、週100時間もの激務をこなしていた時期だったので、そんな時間なんてない、ムリだと判断したからです。

だけど、当時、術前にお話しさせていただいた50代の患者さんが、オンポンプの術後に亡くなってしまいました。手術の前、ものすごく怖がっておられたので、「大丈夫ですよ」と説得したのに、結局、私は何もしてあげられなかったんですね。

落ち込んでいるところに、前述の心臓外科の先生から、「英子、どうしてもダメですか」と、3回目の依頼があり、「やりましょう。私がやるべき仕事です」と引き受け、わずか2週間で論文をまとめ上げ、アメリカの外科学会の賞もいただきました。

医者にとって、やる気の源は、患者さん。

まず自分の忘れられない患者さんは誰なのか。どういう患者さんで、その患者さんの為に何をしてあげたいかを考え、研究する時も、勉強する時も、その患者さんを思い出せば力が湧きます

それが、私の考える、最も効率的な勉強法です。

~まとめ~

・「患者さんから学ぶ」という強い気持ちを持つこと
・「失敗」にこそ成長のヒントがあふれている

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質問:医局長を任せられることになり、悩んでいます。私ごときに、年齢、キャリアの違うメンバーを牽引することができるとは思えないのです。

答え

牽引ではなく「仕える」発想を持ちましょう。

私が好きな言葉は、サーバント・リーダーシップ※です。
※相手に奉仕をした後に相手を導くというリーダーシップ哲学。

医局長になったからといって、リーダーという衣を着る必要はありません。リーダーだからこそ、皆に「仕える」という発想を持ってはいかがでしょう。チームの皆のことを想えば、出来ないことはないはずです。

チームの一人ひとりを愛して、一人ひとりのために、自分に何ができるかを考えて行けばおのずと、サーバント・リーダーシップは生まれてくるもの。強くなければいけないわけでも、指揮官だけである必要もありません。

気負わずに、頑張ってみてはいかがでしょう。

とはいえ、最初の頃は周囲の視線や批判が気になるかもしれませんね。私もそうでした。でも恐れる必要はなかったんです。

チームをよくするためには、異論や反論はむしろ歓迎すべきもの

自分と違う意見を怖れるのではなくて、自分と違う意見を言う人がいるのはあたりまえと考え、その意見を尊重して、その意見の意味をしっかりと見極めて行くことで、チームは成長していくのだと思います。

ただし大事なことは、「患者さんのため」という同じ目的を持っていること

それさえ同じなら、たとえ意見が対立したとしても、さらにいいものが生まれてくるはずです。

だから私のチームは、激論の後も、皆で和気あいあいと食事に行ったりしています。人格を否定しているわけではなく、患者さんの為にいいと思うことは言っているからです。

そういうチーム作りっていいと思いませんか。

~まとめ~

・リーダーだから頭ひとつ出ようと気負う必要なし
・チームのひとり一人を愛して
・メンバーが立場を気にせずにいい合える環境をつくる

文/木原洋美

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