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2017年06月02日

【女医の出産・不妊治療】大事にしたい、出産のタイミング。
女医のお悩み相談室Vol.4

女医の悩みに答える「教えてセンパイ」シリーズ第4回目。今回取り上げるのは、妊娠・出産のタイミングや不妊治療についてのお話です。

「出産を先延ばしすると妊娠しづらくなりそうで不安」「子どもを産むのは専門医を取る前と後、どちらがいいのか」などの質問に、不妊治療専門クリニック『東京HARTクリニック』の小柳由利子先生が答えてくれました。

さまざまな患者さんの不妊治療に携わってこられた小柳先生からのアドバイスは、女医のキャリアプランを見据えた的確な内容。歯切れのいいロジカルなアンサーに迷いが吹っ切れるはずです。

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小柳由利子(こやなぎ ゆりこ)先生

2006年に福島県立医科大学医学部卒業後、町田市民病院(東京都)に5年間勤務し、産婦人科専門医資格を取得。2010年からは木場公園クリニック(東京都)にも勤務し、2011年に東京大学分子細胞生物学研究所へ。協力研究員として不妊マウスの研究に従事し、2015年に博士号を取得。現在は東京HARTクリニックにて毎日数十人の患者と向き合い、不妊治療に取り組んでいる。日本産婦人科学会専門医。医学博士。2017年春にサイト『産婦人科医 小柳由利子の小部屋~女医の視点で不妊治療を考える~』(http://hart-joy.net/)をオープン。

質問:結婚はしているのですが、いますぐ子供がほしいわけではないんです。でも先延ばしをすると妊娠しづらくなりそうで、悩んでいます。

答え

出産希望時期が35歳を超えるようであれば「貯卵」をしてみてはいかがでしょうか

貯卵とは、卵巣刺激後に採卵した卵子を精子と授精させたあと、胚盤胞(受精後5~6日目の胚)まで育て凍結保存しておくことです。できれば不妊治療の成績が高いクリニックを選び5~10個貯卵しておくと安心です。受精していない卵子のみを凍結する「卵子凍結」も選択肢としてはありますが、妊娠率や経済面においてデメリットがあるので、あまりおすすめしません。

子どもを作ろうと思った時点ですぐに自然妊娠できればベストですが、うまく行かなかったときに貯卵が保険になります。2人目が欲しいと思ったときにも貯めておいた胚盤胞を使うことが可能。

“わざわざ受精卵を貯めておくなんて”と思うかもしれませんが、それほどまでに卵子の年齢は妊娠率に大きな影響を及ぼすものなんです。1年でも、1ケ月でも若い卵子のほうが妊娠の可能性を広げてくれます。忙しい診療科の先生のなかには、パートナーが決まった時点で貯卵した方もいますよ。

年齢的な目安としては、35歳以下の採卵で胚盤胞を最低でも5個貯卵できていれば、2人目まで妊娠・出産できる可能性が高まります。35歳に間に合わない場合も、できるだけ38歳までに貯卵しておいた方がよいでしょう。胚盤胞を3個貯めることができれば、1人は出産できる確率が高くなります。

もちろん妊娠・出産年齢が高いほどハイリスクにはなりますので、安易な妊娠時期の延長は避けられるべきではあります。しかし、どうしてもキャリアを優先したい時期があるならば、こういった選択肢を検討してみてもよいと思います。

~まとめ~

・キャリア優先ならパートナーができた時点で貯卵するのがおすすめ
・できれば35歳までに、遅くとも38歳までに貯卵を
・高齢出産はリスクが高まることも頭に入れておく

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質問:専門医資格は取りたいのですが、早めに子供もほしいと思っています。出産のタイミングは、専門医取得後と取得前のどちらがよいのでしょうか? 

答え

私個人としての考えをお答えすると、卒後5年ないし7年間くらいは、仕事のことだけに熱中する時期にした方がよいと思います。

研修医のうちは当直や土日の勤務も多いので、子育てとの両立に苦慮する可能性が高い気がします。5〜7年間、しっかりと仕事に集中すれば、専門医資格が取れる上に、必要な知識や技術、経験がある程度蓄積されて、その後出産・育児に伴うブランクが多少できても取り戻すことができるでしょう。35歳くらいまでなら、卵の質の低下もそれほど顕著には起こりません。

もちろん、産後に専門医を取った先生もいらっしゃいますが、思い通りに行かず専門医をあきらめた方が少なくないのも事実。妊娠・出産は不確定要素がとにかく多いものです。自分が健康であったとしても、産まれた子供が病気がちであったり、育てるのが難しい子だったり、頼りにしていた父母が体を壊してしまって手伝ってもらえなかったり……。

さらに妊娠中~産後は集中力・記憶力ともに落ちますから、子供のことを抜きにしても今までの通り学習がはかどらない可能性があります。とはいえ、ご本人の能力次第という面もあるので、ご自身のモチベーションと周囲のサポート環境による部分も大きいですね。

〜まとめ〜

・専門医を先に取った方がキャリア面で安心感がある
・子どもの健康状態やサポートの有無など、産後は不確定要素が多い 

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質問:不妊治療を行っていますが、なかなか結果が出ません。年齢的に厳しい状況なのかもしれませんが、妊娠が成立しないたびに「あと1回だけ」とあきらめられず…。治療の止めどきをどのように考えればいいでしょうか? 

答え

率直に申し上げると、体外受精や顕微授精のために採卵し、受精した卵が胚盤胞まで発育しなくなったときがやめどきだと考えています。現在の技術では、良質な受精卵であれば培養すれば胚盤胞まで育ちます。胚盤胞になる前に細胞分裂が止まってしまうようなら、卵は育つ状態にないということ。妊娠可能性は極めて低いと判断せざるを得ないでしょう。

ごくまれに、胚盤胞ができず初期胚(受精後2〜3日目の胚)を子宮に戻して妊娠する人がいますが、その確率は非常に低いのが現実です。ですので初期胚移植ばかりを続けるのはおすすめできません。

不妊治療は、一度始めると、結果が出るまでなかなかやめられないものです。だからこそ、治療を始める前に、治療の回数、期限を明確に決めるとともに、特別養子縁組や里親など不妊治療以外の方法で子供を持つ選択肢も検討しておくことが重要だと思います。

〜まとめ〜

・治療をやめる目安は胚盤胞ができなくなったとき
・不妊治療を始める前に、治療の回数、期限を決めておく
・親になるための選択肢は不妊治療だけではない

文/浅田夕香

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