71b6d938 44ca 4a26 a3e9 e743464d09c8子ども・暮らし
2017年06月07日

『ママドクターからの幸せカルテ』の日本語版が発売。監訳者・吉田穂波医師が伝える子育てを楽しむヒント。~前編~

米国の小児科医・ウェンディ・スー・スワンソン医師が著した「Mama Doc Medicine」の日本語版『ママドクターからの幸せカルテ 子育ても仕事も楽しむために』が2017年4月に発売されました。

本書の翻訳は神奈川県保健福祉局の吉田穂波医師が、20人のママドクターの協力を得て、2年の歳月をかけて完成させたもの。自身も5人の子どもを育てながら、子育て世代のサポートに尽力する吉田先生に、この本の見どころや特徴、制作の裏話などじっくり伺いました。

(写真右)『ママドクターからの幸せカルテ 子育ても仕事も楽しむために』の著者、ウェンディ・スー・スワンソン氏はシアトル小児病院に勤務する小児科医であり、2人の息子のママ。

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アメリカ発の育児本、日本語版出版へ
日本のママドクター20人が集結

――この本の監訳を担当されたいきさつについて教えてください。

原作の「Mama Doc Medicine」は小児科医である米国人ママドクターが子どもの病気や子育てに関する親の悩みなどに、ブログやツイッターで回答した記事のなかから、特に反響の大きかったものを一冊にまとめたものです。母親として同じ悩みを抱える著者が発する子育てや病気の予防策、ワークライフバランス・母親業の考え方は、私自身も共感する部分が多くありました。

「これはぜひ日本の働く親御さんたちに読んでもらいたい」。そんな私の背中を押してくださったのは、尊敬する徳田安春先生(臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄センター長)です。

「日本でママドクターと言えば、吉田先生でしょう」と、翻訳の取りまとめ担当として推薦していただき、「これはやるしかない」とモチベーションが上がりました(笑)。

そう思う反面、翻訳するためには医学的内容、それも子どもの健康や医学について理解している人が必要です。約500ページにも及ぶ翻訳となると、一人でやり遂げる自信はありませんでした。とても面白い内容なので、一緒に分担して翻訳する人を探し、英語の本を読みたいというママドクター、学会の偉い先生にも翻訳チームについて相談しました。翻訳に力を貸してもらえるということになれば、訳者の皆さんには数か月でざっと訳してもらい、私が全体の用語の統一やつじつま合わせを行い、総監修の先生にチェックしてもらって、入稿という見通しを立てました。

はじめに、私も参加させてもらっていた女性医師の子育てコミュニティ「ママドクターの会(ママドクターが勉強し、交流できる場)」の発起人である朝日生命成人研究所の大西由希子先生にご了解を取り、力を貸して下さる方を会のメーリングリストで募りました。

わずか1週間で10名以上の先生が集まり、その後も手をあげて下さる方が増えるのを見て、この本を多くの人に伝える意義、そしてママドクターが社会に貢献するチャンスだという思いを再認識しました。

また、アメリカ小児科学会の編集した書籍ということで、日本小児科学会会長(当時)の五十嵐隆先生(国立成育医療研究センター理事長)に総監訳をご快諾いただけたことで、さらに弾みがつきました。

ワーキングマザー必見
子育ても仕事も楽しくする94のヒント

――これまでの育児書にはない、本書ならではの良さはどのあたりにありますか?

本書には子育て中の人にも、これから親になる人にも役立つ94のヒントが示されています。この本をお勧めするポイントは3つあり、1つは子どもの病気や健康、日常の中での予防策などについて、親の気持ちに寄り添いながら、わかりやすく解説していること。

2つ目は、いずれもエビデンスに基づいた、科学的根拠に根差した信憑性の高い情報であること。

3つ目は、子どもだけでなく、親も幸せであるためのヒントやアイデアがたくさん紹介されていることです。

なかでも、ワーキングマザーに温かい眼差しが向けられていることが、この本の大きな特徴です。これは本書の翻訳を通して、私が最も伝えたかったことでもあります。

日本でも結婚・出産後も働き続ける人は増えたものの、子どもを預けて働くことに、引け目や後ろめたさを感じるワーキングマザーはまだまだ多いものです。

朝、保育園に送っていく時、別れ際に大泣きする子を振り切って出勤する時の切なさは、誰もが経験する辛い瞬間ですよね。45章で書かれているような、朝の出勤時の短い儀式や子どもたちへの声掛け、1日で一番良かったことを家族で発表し合うなど、著者が子どもと離れて過ごす時間を楽しいものにするための愛情あふれるアイデアは、誰もが取り入れやすいものです。

この部分を読みながら、私も5人の子を育てる母として、同じような工夫をしてきたことを思い出しました。ボストンの保育園でも「Good-bye Windowだよ」と窓越しに笑顔でグッバイ、とハイタッチする儀式で明るく見送ってもらう習慣がありました。

今でも、保育園に送っていく時には毎朝「今日、楽しいことがたくさんあるといいね、美味しいご飯とおやつを食べて、お友達と仲良く遊べますように」「お母さんも頑張ってお仕事して、急いで帰ってくるからね」と伝えます。

このように母が働くことをポジティブに捉えることで、自分の気持ちが随分軽くなります。そんな母の思いは子にも伝わり、離れている時間も楽しく、安心して過ごすことができるのではないかと思います。

私はこの本に出会って、自分の味方を見つけたような、子どもを育てる自分を肯定してもらえたような気持ちになりました。働いている、いないに関わらず、読者の皆さんもきっと、子育てを続ける勇気や安心感が沸いてくることでしょう。

>>後編に続く

 

『ママドクターからの幸せカルテ 子育ても仕事も楽しむために』(著:ウェンディ・スー・スワンソン、総鑑訳:五十嵐隆、監訳:吉田穂波 西村書店刊)

「予防接種は本当に安全?」「良い母親とは?」「正しい育児法は?」
子育てをしている人なら誰もがぶつかる悩みや迷いに、小児科医で2児の母である米国人医師が自身のブログなどで回答し、人気を博した94記事をまとめた一冊。発熱や感染症などの子どもがかかりやすい病気、日焼け対策、事故やケガの予防から育児法、ワークライフバランス問題まで、エビデンスに基づいた情報が満載。先輩ママとしての著者の考え方やアイデアには、親も子どもも幸せになるヒントが溢れている。

 

 

監訳者 吉田穂波(よしだ ほなみ)先生

 

産婦人科医師・医学博士・公衆衛生修士。2008年ハーバード公衆衛生大学院に入学し、3歳・1歳・生後1ヵ月の子を連れて夫と渡米。2年間の留学生活を送る。留学中に第4子を出産。

 

2010年に公衆衛生修士を取得後、同大学院のリサーチ・フェローとなり、日米で少子化研究に従事。2012年より国立保健医療科学院生涯健康研究部主任研究官。国内外で周産期医療の研修や研究、母子保健事業の支援、災害時の母子支援事業構築を手がける。2013年に第5子出産。仕事と育児に多忙を極めるなか、ママドクターとして講演やセミナー、雑誌の取材やインタビューなどを通じて、子育て世代のサポートに力を尽くす。2017年4月より神奈川県保健福祉局にて地域や自治体における母子支援連携ネットワークの構築に取り組む。

文/岩田千加

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