3b9eace5 5841 4349 83b0 685f7a3d55c6子ども・暮らし
2017年06月08日

『ママドクターからの幸せカルテ』の日本語版が発売。監訳者・吉田穂波医師が伝える子育てを楽しむヒント。~後編~

米国の小児科医師原作の『ママドクターからの幸せカルテ』に出会い、「子育てをしながら働く自分の味方を見つけたような気持ちになりました」という吉田先生。

後編では「子育て=辛い」という感覚から解き放たれる“マインドフルネス”という考え方や、ママも子どももハッピーになれる“ほどほどの子育て”を紹介してくださいます。間違った医療情報が氾濫する現代社会では、「女医こそ子育てママの伴走者に適任」というアドバイスも。その言葉に込められた意味とは……。

アメリカの小児科医が手掛けた 『ママドクターからの幸せカルテ』の日本語版が発売。監訳者・吉田穂波医師が伝える子育てを楽しむヒント。~前編~

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子育て、仕事、自分の人生、
すべてを楽しむことが大事

――とくに印象に残った項目について教えてください。

私が最も助けられたのは第2部37章の「マインドフルな子育て」の項目かもしれません。育児に仕事に余裕がない毎日ですが、この本を読んで、あっという間に過ぎ去る毎日も、貴重な一瞬一瞬の積み重ねなのだということに気付かせてもらえました。

子育ては親の思うようにいかないことの連続です。孤独になったり、落ち込んだり、怒りが沸き起こってきたり。子どもたちと真剣に向き合い、慈しんでいる努力が、怒りやイライラした一言で、台無しになるのを私は何度も経験してきました。しかし、この本が指摘するように、自分が感情的になるのはわが子が最も身近で大切な存在だからです。

子どもたちに「マインドフルネス」という、自分の心を見つめ安定させる方法を日々練習させてもらっている。そんなふうに考えながら、一瞬一瞬を大切に感じ、味わっていきたいと今は思っています。

振り返れば、上の子の授乳やオムツ替えや夜泣きも、いつまで続くんだろう、と、先が見えない気持ちでいましたが、気がついたらいつの間にか終わっていました。オムツ替えにも必ず最終回があり、これが最後だということに気づかないうちに過ぎていたのです。

そう思うと、末っ子の夜泣きも食事をこぼして着替えさせるなど日常の些細な子育て作業の1回1回も、とても大事に思えてくるから不思議です(笑)。

第4部「ワークライフバランスと母親業」は、ワーキングマザーなら誰もが直面する悩みを取り上げています。この中でも、ある小児科医が、「私たちは“家庭”“仕事”“自分の人生”という、3つの対象を相手に重婚をしなければいけない」と語ったというエピソードに感銘を受けました。

つまり、仕事と子育てと自分の人生を生きること、このすべてを楽しんでよい、ということなのです。そして、これらのバランスを完璧にとろうなんて思わず、親自身が日々を楽しみ、変化を味わい、人生を楽しめるような環境に身を置くことが、子どもの幸せにもつながる。完璧ではなく“ほどほどの子育て”で満足するスタイルでよいのだ、と。

このように肩の力の抜けた、重責を背負いすぎない考え方を日本でもぜひ紹介したい。本書の帯にある「ママがハッピーなら子どももハッピー!」という一文は、私が一人目を出産したドイツでお世話になった助産師さんから言われたことで、私の大好きな言葉になっています。

女医こそ子育てママの伴走者に適任
子どもを持つことはアドバンテージ

――正しい医療情報を発信する役割として、この本の存在は大きいと思いますか?

そう思います。いま、ネット上には子育てや子どもの健康に関する情報が氾濫しています。スワンソン医師が本書を発刊しようと思ったきっかけも、母親として医師として、子育てに関する正しい情報を発信する必要性を感じたからだそうです。

予防接種の項目に多くのページを費やしているのは、アメリカでも子どもに予防接種を受けさせることを躊躇する親が多いからなのです。

たとえば、彼女は全米一予防接種を受けさせる率が高い医師だと自負しています。その理由は、同じ母としての不安や疑問、本音を受け止め、共感し、傾聴する姿勢にあります。

リスクや親の思いも理解した上で、子どもに健康でいてほしいからこそ予防接種を勧める彼女の真摯な思いが詳しく書かれており、その内容やコミュニケーションの姿勢はとても納得のいくものでした。

著者は子育てママに対して、予防できる病気と予防できない病気があり、どちらにも正しい対処法があることを記しています。また、「『注射はないよ』と言わないで」「お医者さんに行くことを罰にしないで」など、子どもを騙さないよう、乳幼児健診を怖がらせないようにする受診のコツをアドバイスしている点もすばらしいと思いました。

スワンソン医師は、自分自身も母親であることが、確実に医師としてのキャリアのアドバンテージになっています。子育てをすることで医療や健康に関する知識が増え、自分自身が成長できる――。つまり、「子育て経験は女性の強みになる」ことが多くの働く女性の勇気と希望に繋がってくれればと思います。

今、世の中の母親たちがネットの情報を頼るのは、相談できる人がそばにいないことのあらわれなんですよね。「ママたちが迷子にならないように、保健医療の専門家が信頼のおける伴走者となって、顔の見える関係になり、寄り添いたい」。そんな思いも、この本を通してお伝えできればうれしいです。

子育てに迷ったときに、本書を辞書がわりに使うのもいいですし、信頼がおけるのはどんな情報源なのかを知って、両親や保育士さんたちと情報交換するのもいいですし、いざという時のお守り代わりにもなります(笑)。

国を超えた多くの人々の思いと優しさが詰まったこの本が、子育て中のママたちのお役に立てば幸いです。

 

『ママドクターからの幸せカルテ 子育ても仕事も楽しむために』(著:ウェンディ・スー・スワンソン、総鑑訳:五十嵐隆、監訳:吉田穂波 西村書店刊)

「予防接種は本当に安全?」「良い母親とは?」「正しい育児法は?」
子育てをしている人なら誰もがぶつかる悩みや迷いに、小児科医で2児の母である米国人医師が自身のブログなどで回答し、人気を博した94記事をまとめた一冊。発熱や感染症などの子どもがかかりやすい病気、日焼け対策、事故やケガの予防から育児法、ワークライフバランス問題まで、エビデンスに基づいた情報が満載。先輩ママとしての著者の考え方やアイデアには、親も子どもも幸せになるヒントが溢れている。

 

 

監訳者 吉田穂波(よしだ ほなみ)先生

 

産婦人科医師・医学博士・公衆衛生修士。2008年ハーバード公衆衛生大学院に入学し、3歳・1歳・生後1ヵ月の子を連れて夫と渡米。2年間の留学生活を送る。

 

留学中に第4子を出産。2010年に公衆衛生修士を取得後、同大学院のリサーチ・フェローとなり、日米で少子化研究に従事。

 

2012年より国立保健医療科学院生涯健康研究部主任研究官。国内外で周産期医療の研修や研究、母子保健事業の支援、災害時の母子支援事業構築を手がける。2013年に第5子出産。仕事と育児に多忙を極めるなか、ママドクターとして講演やセミナー、雑誌の取材やインタビューなどを通じて、子育て世代のサポートに力を尽くす。2017年4月より神奈川県保健福祉局にて地域や自治体における母子支援連携ネットワークの構築に取り組む。

文/岩田千加

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