693f2a66 e21c 4fce b0e2 ed5e7f05f99a医療トピックス
2017年06月19日

産業医デビューで陥りがちなトラブルとは?臨床とはまるで違う現場をレポート。

長時間労働が問題視されるなか、政府が推進する「働き方改革」の動きが企業内に急速に広がっています。労働者が常時50人以上いる事業場には、選任が義務付けられている産業医。これまで実態のない「名義貸し」で切り抜けてきた企業も少なくないといわれていますが、「従業員へのストレスチェックの義務化」の流れなどもあり風向きは変わり始めています。

従業員が心身ともに健やかに業務を行える環境が整うことが会社の収益につながる、いわゆる「健康経営」に積極的か否かが企業の実力を計る指針と捉えられている昨今。大手企業だけでなく中小企業も産業医に重きを置き始め、産業医の需要が加速しています。

「その影響もあり、産業医を始めたいというドクターも増えているのですが、臨床とはまるで違う企業での業務、産業医の役割に疑問や戸惑いを感じているケースが予想以上に多いんです」と社会保険労務士の舘野聡子氏はいいます。

臨床と並行して「産業医を始める医師」と「産業医を初めて迎え入れる企業」。両者がかかえる問題を解決するために、産業医サポートを手がけるエムステージ『産業医業務基礎・実践講座』を2017年6月10日に開催。多数の企業での経験が豊富な産業医・山越志保先生が、現場でおこりがちな事例をもとに初めての産業医業務でも戸惑わずに活躍できるノウハウをレクチャーしました。

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↑スクリーン前、左が産業医・山越志保先生、右が社会保険労務士・舘野聡子氏。

「産業医の資格は持っているが経験がない」「自分の対応が正しいか疑問」などの声に応えるため開催された『産業医業務基礎・実践講座』第1回。参加したのは産業医経験0~3年のキャリアが比較的浅い先生方。

エムステージで産業医と企業のマッチング事業に携わる舘野氏は「臨床の先生方が産業医をイチから始める場合、実地研修はありません。となると、ドクターはひとりで企業にポンと放り込まれ、あとは手探り状態で進む場合が多い。最も苦労する点は、企業の担当者(おもに人事担当)との業務の棲み分け、意識のズレなどです」と、講座の意義を伝えました。

今回のテーマは産業医の業務には欠かせない月1回以上行われる衛生委員会について。委員会のメンバーは企業が選任した衛生管理者、産業医、従業員の代表などになります。

現場でよく起こるのが“先生、まず何をやればいいんですか”と産業医にすべてを丸投げするケースです。社歴の浅い企業に頻繁に見られるのですが、衛生委員会は会社主導のもの。ですから年間計画の立案やアジェンダの作成などを実際に行う必要はないんです。産業医の役割は医師としてのアドバイス、客観的な意見を述べることに限られます。

衛生委員会だけでなく、社内の体制づくりや制度作成など領域外のことを求められることもあります。そんなときは“それは会社さんがやることですよ”と線引きを伝えるように心掛けています。

とはいえ、突き放すのでなく“迷われるようであれば、できたものを見せてくださいね”といった声かけを行います。そのほうが会社側の意識も高まり、運営もスムーズに進みます」と講師の山越先生はさまざまな実体験を交えて説明しました。

講座でとくに盛り上がったのは模擬衛生委員会のロールプレイ。現場で起こっている事例をあげながら対応策を皆で論議。その一部を紹介します。

事例1開催意義に疑問を唱える参加者

「こんな会議して意味あるんですか。こっちも忙しいなか時間を割いてやっているわりには、何の成果もないし、時間の無駄だと思うんですけど」

対応策

・対応するのは委員長(役職が上の人が委員長になる場合が多い)だが、産業医としてアシストしてあげる。

・労働安全衛生法に基づいた法令会議であることを伝える。

・人選に気を付ける。

・そう思われるかもしれませんが(と受容的に返す)他社でも会議がきっかけでいろいろ改善してますよ、他社の成功事例を紹介し、これから頑張りましょうと返す。

 

事例2個別の従業員の事例を持ち出す参加者

「●●部の●●さんですが、たぶんメンタルがやられてるんだと思うんですよ。なんとかしないと……」

対応策

・個人の健康情報は重要な個人情報であり、衛生委員会では個人が特定されないように配慮する必要がある。

・もし、どうしても相談したいのであれば、会議の場でなく、個別に産業医または衛生管理者または人事・総務の担当者に相談すること。

 *「雇 用 管 理 に 関 す る 個 人 情 報 の う ち 健 康 情 報 を 取 り 扱 う に 当 た っ て の 留 意 事 項」より

具体的なエピソードがあがると参加者から意見、疑問点が飛び交い日ごろ孤軍奮闘している産業医の苦労が手に取るようにわかる場面もありました。

約2時間の講座を終え感想をうかがうと「他の先生の対応策がとても参考になった」(産業医経験3年/精神科・男性)、「産業医に関して具体的な相談できる場がないので、情報交換ができてよかった」(産業医経験2年/産婦人科・女性)など、横軸のつながりの必要性が浮き彫りになりました。

講座の第2回は7月8日(土)に開催テーマは産業医の先生方の間でとくに関心が高い「メンタルヘルス対応」について。従業員への面接時での状態の見立てや人事・上司・家族との連携など、具体的かつ実践的に学べる内容になっています。

人気講座のため残席わずかとなっておりますので、ご興味のある先生はお早目にお申込みください。フレシキブルな働き方ができる産業医は育児中の女医向きであり、企業側からも女性医師を求めるケースが増えています。「認定産業医の資格は持っているけど経験がない」という先生こそ、産業医サポートにお問合せください。


『産業医業務 基礎・実践講座』~メンタルヘルス対応~
が7月8日(土)に開催。
その他日程9/16、10/14。
認定産業医をお持ちの先生方、ご検討ください。先着12名の限定講座です。
詳しくはコチラ

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講師の方々
◆産業医・山越志保(やまこし・しほ)先生
都内の病院で内科医として勤務しながら、日本医師会認定産業医・労働衛生コンサルタントを取得し、産業医としての業務を開始。これまで化粧品会社、野菜水耕栽培企業、有機溶剤・特定化学物質を扱う製造業、半導体メーカー、IT企業、不動産会社、アニメデザイン会社など、ベンチャーから大手有名企業まで、多岐にわたる企業で、産業医業務に携わる。現在は、都内大学病院の兼任助教・大学院生として、勤務・研究をしながら、株式会社さくら事務所を設立して、臨床と産業医活動を行っている。

保有資格/日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルトタント(保健衛生)

◆社会保険労務士舘野聡子(たての・さとこ)さん
民間企業に就職後、社労士事務所に勤務。その後「ハラスメント対策」中心のコンサル会社にて電話相談および問題解決のためのコンサルティング、研修業務に従事。産業医業務を行う企業で、予防のためのメンタルヘルス対策とメンタル疾患の人へのカウンセリングに従事。2015年に社労士として独立開業、2017年6月に株式会社イソシア代表取締役社長に就任。

保有資格/特定社会保険労務士、シニア産業カウンセラー、メンタルヘルス法務主任者、経営倫理士、21世紀職業財団認定セクハラパワハラ防止コンサルタント、MBTI認定ユーザー、NLPプラクティショナー、アサーティブジャパン認定トレーナー   


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