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2017年06月23日

フリーランス女医が教える 女医の婚外恋愛 前編 ~不倫でも、恋してしまうのは男性医師!?~ 麻酔科医・筒井冨美

“女医の恋愛マスター”の呼び声が高い、麻酔科医・筒井冨美先生の連載女医の婚活戦略に続き、今回は「婚外恋愛」いわゆる“女医の不倫”について掘り下げてみました。時代を映し出す医療ドラマから考察する院内恋愛の変遷、リアル女医たちの院内不倫など、まことしやかに囁かれている非公開恋愛の実態を露わにしていきます。

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「どんなに美人で仕事ができても、『30代以上・未婚・子ナシ』は女の負け犬!」という衝撃的な警句で2003年ベストセラーとなった、酒井順子氏の「負け犬の遠吠え」によると、「負け犬にならないための十ヵ条」の筆頭は「不倫をしない」である。

また、前シリーズ「女医の婚活戦略」では、婚活戦略ガイドラインとして「既婚男性は、黒タグを貼って放置」が、推奨されている。しかしながら、現実に「既婚上司やら指導医との院内不倫」という不毛な泥沼に堕ちる女医は、数多の病院で報告されている。

本稿は、「わかっているんだけど…止められない」的な女医の婚外恋愛を分析し、その傾向と予後を検討した。

ドラマの中の院内不倫

医療ドラマに登場する院内不倫は、圧倒的に「妻子持ち中高年男性医師×独身女性」パターンが多い。以前、別の記事にも書いたが、古典的には『白い巨塔』(フジテレビ系)の「ケイ子」が代表格であろう。医大を中退したクラブのホステスという設定で、1978年放映の田宮二郎版では太地喜和子が、2003年放映の唐沢寿明版では黒木瞳が演じていた。

 「愛人はナース」というのも、王道パターンである。2000年放映の、滝沢秀明が医療訴訟原告となった少年を主演した『太陽は沈まない』(フジテレビ系)では、外科部長(大杉漣)の愛人はベテラン看護師(高橋ひとみ)であった。

2006年放映の『小早川伸木の恋』(フジテレビ系)では、外科教授(古谷一行)は看護師長(市毛良枝)と二十数年の不倫関係を続けながら若手ナースにも手を付けて、看護師長に贈収賄を内部告発されて失脚するが、最終回で復縁する。2008年放映の『風のガーデン』(フジテレビ系)では、麻酔科准教授(中井貴一)は、看護師(伊藤蘭)とダブル不倫の関係にあったが、本妻の自殺によって関係が消滅し、やがて本人も病死する。

「教授と秘書」というパターンも、大学病院を舞台にしたドラマでは多い。2012年放映『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)のシーズン1では、外科教授秘書(林丹丹)は外科教授(段田安則)の愛人であったが、最終回では麻酔科教授に乗り換える。2013年に放映されたシーズン2でも、外科教授(西田敏行)の愛人は、秘書(笛木優子)であった。

2017年、キムタクが初めて外科医を主演して話題になった『A LIFE〜愛しき人〜』(TBS系)では、副院長(浅野忠信)は、妻が女医、愛人が弁護士(菜々緒)という難しい立場(?)を演じ、第92回ドラマアカデミー賞の助演男優賞を得るとともに、キャリア系専門職における女性の社会進出を示した。

女子医大生率30~40%の現在においても、女医の院内不倫を描いたドラマは少ない。1999年放映の『女医』(日テレ系)では、外科研修医(大路恵美)が医療ミスを隠蔽するために、指導医(渡辺いっけい)と不倫関係となる。童顔の女医が当直室で寝ていた上司を誘惑する迫真の演技は、「はちみつプレイ」として当時の話題を集めた。2015年放映『医師たちの恋愛事情』では、外科准教授(伊原剛志)と内科医(板谷由夏)のダブル不倫カップルが登場する。女医は妊娠し、双方の結婚生活は破綻するが、再婚せずシングルマザーとなる道を選ぶ。

リアル医師たちの不倫事情

前シリーズでも述べたように、病院とは職員数としては女性多数社会であり、医者のモテ期は男女で非対称である。女性医師のモテ期が「医学生~20代」に限定されるのに比べ、男性医師が中年以降もモテ期が続く。よって、リアル院内不倫も、「中高年男性既婚医師×若手独身女性職員」が圧倒的に多い。

女性医師は、30代以降には婚活すら困難なので、「夫子がありながら、院内にも愛人」的な肉食系の中高年既婚女医は、極めて少ない。

症例数としては、ドラマ同様に「男性既婚医師×看護師」が圧倒的に多く、ネット人生相談(発言小町)などで簡単に検索できる。また、「男性既婚医師×秘書」パターンは、これまたドラマ同様に大学病院において好発しやすい。

そして近年、急増しているのが「男性既婚医師×女医」というパターンである。前シリーズで述べたように、「女子医大生率が30%→40%と増加(=男子医大生は70%→60%に減少)」し、女医ならば自然に「医師×女医婚」できるという時代ではなくなったが、「女医だったら当然ダンナは医者だよね」という社会的プレッシャーはまだまだ残っている。

とりわけ「父も兄も伯父も従兄弟も医者だらけ」といった家庭で育った女性は「医師に非ずんば男に非ず」的な洗脳的教育を受けているケースが多く、これが「女医1/3時代」においては裏目に出てしまうのかもしれない。「身近に独身男性が見当たらなければ、外に出て同世代の非医師男を探す」よりも、「院内で、手近な(既婚)男性医師と恋愛」というベタな泥沼に堕ちる女医が後を絶たない。

大学病院における女医の社会進出につれて「男性既婚教授×女性講師・准教授」のカップルが、「公然の秘密」化している大学医局も散見できる。

こういう事例では、女性講師・准教授がポストに相応しい実力者ならば「見て見ぬふり」も可能だが、しばしば「教授が寵愛する、実力のない女医を優遇」というケースも多い。こうした医局人事は、当然ながら他の医局員には不公平感をもたらすので、医師大量辞職の隠れた引き金となることもある。「医師×女医不倫」は「たかが色恋沙汰」とナメてかかると、病院経営に壊滅的な医療崩壊をもたらすリスクも大きい。

「結婚を期待した不倫」とは「生還を期待した特攻」

女医の院内不倫で最も典型的なパターンが、「中高年男性既婚医師×30~40代独身女医」のパターンであり、最近では離婚実例記事(ダイヤモンドオンライン)にも登場している。中には、「妻も愛人も女医」(ケイクス)というような「女医を取っ換え引っ換え」系の男性医師も実在する。この種の女医に私が泥沼を感じてしまうのは、男性側にとってはあくまでも「一時的な娯楽」なのに、女性側は「いつか二人は結ばれる(=結婚)」を期待していることが、傍目からも透けて見えるからである。また、恋愛下手な女医の中には、30代以降も女子高生のようなプラトニック不倫にハマって、残り少ない婚期を浪費(文春オンライン)するケースも目立つ。

具体的には、「気分の変調が激しい」「突発的に早退・休暇を取りたがる」「同僚・後輩の結婚式や妊娠報告で不機嫌になる」など、「既婚者との恋愛を最優先にした生活」は、知らず知らずのうちに友人や失くしてしまいがちで、メンタルヘルス上の負荷も大きい。

不倫とはいつかは清算しなければならない宿命にあるが、院内不倫の場合には「恋愛の破綻=医師キャリア破綻」につながるリスクも大きい。

そもそも「結婚を期待した不倫」とは「生還を期待した特攻」のようなものである。早急な結婚を望むならば、前シリーズに記されたように「トリアージ+次に行く」戦略の方が、はるかに成功率が高いのである。

という訳で、「ジメジメと演歌的な院内不倫(含むプラトニック)を続ける独身女医」の皆さんは、「男の離婚(あるいは正妻の死)」を夢想するヒマがあるならば、前シリーズを熟読してほしい。

あるいは「どうしても男性医師じゃないと恋愛できない」タイプは、後述するような選択肢を、そろそろ考慮すべき時期なのかもしれない。

婚外恋愛のニューウェーブ

2003年に、歌人の俵万智氏が41才で、パートナー非公表のままシングルマザーとなった。「経済力のある女性が、出産タイムリミットを目前に、結婚をスキップして子供だけは確保」という事例は、芸能界などの自由社会では散見されたが、近年では医師のようなお堅い職種でも同様の駆け込み出産が報告されている。

「女の幸せベストチョイスは、結婚した上での出産」ではあるが、「それが困難な場合、セカンドチョイスとしてのシングルマザー」という、昭和時代から続く価値観を踏襲する選択でもある。

2013年、フィギュアスケート選手の安藤美姫氏が、25才で独身のまま極秘出産したことを公表し、大きな話題となった。公表された親子写真からパートナーは日本人男性と推察できるが、出産後の安藤美姫氏は外国人男性スケーターとの交際を公表している。北欧やフランス女性ではよく見られる、「出産と恋は別、結婚という制度にはこだわらない」的なライフスタイルは、日本女性としては目新しい。

次号では、「女医の婚外恋愛」において、近年増加中の「駆込型:アラフォー期のシングルマザー出産」タイプ、そして「北欧型:出産と恋は別」タイプについて、検討してゆきたい。

筒井冨美(つつい・ふみ)先生

1966年生まれ。地方の非医師家庭に生まれ、某国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。本業の傍ら、メディアでの執筆活動や、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)「医師たちの恋愛事情」(フジテレビ系)など医療ドラマの制作協力にも携わる。

 

  筒井冨美先生の著書

フリーランス女医は見た 

医者の稼ぎ方 (光文社新書)

100以上の病院を渡り歩いた現役の麻酔科医が医師、病院の真実の姿を切り取った作品。「白い巨塔」と言われていた医師のピラミッド構図の変化、大学病院の裏側、働き方など、医療現場の実態が鋭く描かれている。

 

 

                     

 
フリーランス女医が教える 
「名医」と「迷医」の見分け方(宝島社)

「よい病院や医師の見極め方、痛い目に合わないための医療とのつきあい方」を指南した一冊。「学閥」「専門医制度」「外科医と学歴」「医師たちの恋愛事情」など多角的なアプローチで医療業界を分析。さらにワーキングマザー「女性活用」や「保育園問題」についても本音を語る。 

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