E8ba43ab 0ee6 48c5 9216 0aeced3c0f8eアンケート
2017年07月03日

女医の85.7%が反対!?
新専門医制度への女性医師たちの不安と懸念とは――

混迷を極める「新専門医制度」。医師偏在が助長される、地域医療が崩壊する、医局の復権の画策では…等々、様々な批判や議論が巻き起こっています。そんな中、特に新専門医制度で大きな影響を受けるであろうと指摘されているのが「女性医師」たち。彼女たちは今、どんな不安を抱え、懸念を抱いているのか――リアルな生の声を探るべく、joy.netパートナーの女性医師たちにアンケートを実施しました。

「このままの働き方で大丈夫?」
キャリアの見直しをはかるなら女性医師に強い専門エージェントに相談! 
こちらよりご希望お申し付けください!

85.7%もの女医が新専門医制度に反対!?

「新専門医制度について賛成・反対どちらのお立場ですか?」
直球ど真ん中ストレートの質問への驚きの回答は……

 「反対(28.6%)」「どちらかといえば反対(57.1%)」を合わせると、実に85.7%もの女性医師が反対の立場! 賛成と答えた女医は、「0%」というのも驚きの結果です。なぜこれほどまで多くの女医たちが、異を唱えるのか。女性医師たちの反対理由を紐解いていくと……

後期研修医が所属できる病院が限定されてしまった。(小児科)

 

一部の病院では、研修医の確保が難しくなるだろう。(神経内科)

 

地域格差が広がる(麻酔科)

 

地方の市中病院など指導医が少ない(あるいはいない)病院はどうなるのでしょう? それが原因で後期研修医がとれない、というのはかなり辛いと思います。(産婦人科)

やはり一番多くの声が寄せられたのは、医師偏在を助長する危険性について。「基幹施設」の基準が厳しすぎて、実質大学病院以外では難しいことが、「結局は医局の力を再度取り戻したいだけのように感じる(精神科)」との疑念を生んでいます。全国市長会も医師偏在、地域医療への影響に危機感を覚え、塩崎厚労大臣宛に要望を提出する始末。

なんとなく悪者的扱いをされてしまいがちな「日本専門医機構」も、医師偏在への配慮や柔軟性をアピールすることで、何とか批判を覆そうと発信を強化。平成29年5月12日に発表された「新専門医制度概説とQ&A」でも、「医師偏在」を生む元凶との声の高い“基幹施設の基準”について、配慮の姿勢をアピールしています。

新整備基準および運用細則で、専攻医の採用実績が年間 350 名以上の領域(当面、内科、外科、小児科、整形外科、麻酔科、精神科、産婦人科、救急科)については、原則として、大学病院以外でも基幹施設になれる基準とするよう定めました。内科については、ほぼ全ての都道府県で複数の基幹施設が確保されています。(「新専門医制度概説とQ&A」より)

一定の考慮はされてはいるものの、上記記載以外のマイナー科目はやはり大学病院のみ…のようです。
厚生労働省も平成29年6月27日に「専門研修プログラムの認定に向けた各都道府県の役割等について」との通知を出し、医師偏在が生じずに専門医の質を高める体制の構築に向けた都道府県の役割を明記。試行錯誤のプロセスは続いているようです。

専門医取得だけでなく、更新の厳しさを訴える声も続々!

専門医の維持が難しくなる。(麻酔科)

 

開業医には専門医資格が保持できない仕組み(泌尿器科)

新専門医の更新に必要となるのは、「勤務実態の自己申告」「診療実績の証明」「専門医共通講習」「領域講習」「学術業績・診療以外の活動実績」「単位(クレジット)取得」。論文や学会発表が点数化されるとなると、開業医や一般病院勤務では難しいとの悲鳴もあがっているようです。更新に必要な講習参加も、交通アクセスに制約のある地方在住医師には負担が大きいとの指摘も。これらの懸念に対して、日本専門医機構が明言したのが……

地域で活躍する医師にとって、過度の負担とならないよう配慮することを定めています。例えば、共通講習や領域別講習が、e-learningなどの受講で可能となるなど、更新基準については、柔軟に運用することとしています。また、基本領域学会の定めるところにより、例えば、専門医を3回以上更新した場合、その後は、診療実績を不要とすることなども定めています。(「新専門医制度概説とQ&A」より)

との方針。「柔軟な運用を定めたんだから、各学会もそれを踏まえてよ、もう!」と睨みをきかせる新専門医機構。各学会をチクリと刺すのも忘れていません。

なお、機構の基準を柔軟なものにしましたが、その基準にあわせて運営する学会の基準を柔軟なものに修正していただかないと、結果的に地域で活躍する医師に過度の負担をかけることになります。そのようなことが起こらないような措置を講ずることも、機構の重要な役割の一つと考えています。(「新専門医制度概説とQ&A」より)

なんだか急に優等生的な物言いで牽制しています。優等生的というより、姑的!?

ライフイベントで制約の多い女医はどうすればいい?
配慮の指針は示されても、やまない女医たちの悲鳴と嘆き――

専門医取得も、更新も一定の配慮の姿勢は示されているものの、それでもまだまだ「女医には厳しい制度。(外科)」と感じる女性医師たちは多数。ライフステージとの両立の難しさを訴える声がこれでもか!と届いています。

学会への出席や大きな病院での研修期間など制約が多い。(放射線科)

 

学会参加を義務付けられても、育児中身動きが取れないこともある。(麻酔科)

 

更新でも認定施設での常勤勤務が必須でライフイベントで時間の制約が多い女性医師にはますます両立が厳しい。(消化器内科)

 

結婚して家庭を持ったり、子供ができたり、夫が転勤族だった場合など、様々な事情でフリーランスで働かざるを得ない医師は認定施設での勤務が必須となり維持更新がどうしても難しい状況になる。(消化器内科)

 

個人の問題ではありますが、子育て優先にした働き方で症例数の確保ができるかどうかは不安要素になりますね。(産婦人科)

 

フルタイムで時間の融通のきく医師しか専門医を維持できなくなる。(麻酔科)

 

そもそも結婚しても仕事を続けたい、もしくは続けている女性医師の事など全く考慮されていないと思います。制度を決めている人達は現場の苦労など全く考えていないのでしょう。(消化器内科)

 

内科専門医を取得すれば外科専門医などと同等に扱われるのであれば良いが、その後専門科(循環器やDM科など)で診療を行うにはsubspeciality の専門医取得が必要になるのであれば、女性医師が出産や育児をしながらsubspeciality の専門医を取得するのは不可能に近い。(膠原病内科)

 

様々な理由で専門医取得をあきらめざるをえないこともある(正直小さな子供がいてしょっちゅう風邪だ病気だと急に休みを取る必要があると専門医を取れるような病院では働きにくい)。ハードルを下げるとか再教育システムを整えるとかしてくれるといいかもしれない。(科目非開示)

女性医師たちの声、! 「適齢期、出産期に専門医研修期間が重なることで、技術や能力の維持がしにくくなる。(神経内科)」、女性医師が直面し続けなければならない永遠の課題に八方塞がりの暗澹たる気持ちが襲ってきます。妊娠、出産などによる研修中断について新専門医機構は、

新整備指針では、6か月以内の中断であれば、残りの期間に必要な症例等を埋め合わせることで研修期間の延長を要しないとなっています。また、6か月以上の中断の後研修に復帰した場合でも、中断前の研修実績は、引き続き有効とされることになっています。(「新専門医制度概説とQ&A」より)

と明言。配慮がされる“ことになっている”ようですが、気になるのは「研修プログラム制」の問題。「基本領域の専門医については、原則として、プログラム制で行う」(=定められた年限と研修施設で、必要な症例数などを経験し、専門医資格を取得する)という原則が、妊娠・出産等との両立を難しくしています。日本専門医機構も、

妊娠、出産、育児、介護、留学など、合理的な理由がある場合などでは、プログラム制を柔軟に運用した研修も可能であり、さらにカリキュラム制(カリキュラムに定められた到達目標を達成した場合に専門医試験を受験可能とするもの)も可能とするとの運用細則を定めました。ただし、カリキュラム制とプログラム制とで、育成される専門医の質に差がないようにすることが原則です。(「新専門医制度概説とQ&A」より)

という指針は提示。それでも気になるのは「カリキュラム制とプログラム制とで、育成される専門医の質に差がないようにすることが原則」と釘をさしているところ。「これではプログラム制で育成される専門医と同等の質が保てない!」とカリキュラム制に大幅な制限が加えられることもなきにしもあらず。どの程度の「柔軟な運用」がなされるのかは、まだまだ疑問が残ります。

「必ずしも国民にとって分かりやすい仕組みになっていない(「新専門医制度概説とQ&A」より)」との指摘から始まったという新専門医制度。分かりやすさを目指したはずなのに、暗中模索な紆余曲折は、より分かりにくさを生むという皮肉な状況を生み出しているようで、「私達でさえよく分からない制度なのに、患者さんの方に理解して貰えるのか、と思います。」(消化器内科)との懸念もあがっています。中には、「学会を退会する決意ができた。次の更新を最後に退会する(泌尿器科)という決断をした女性医師まで。。。とはいえ、様々な懸念や課題が指摘され、議論が巻き起こることで “よりよい姿”の模索は精度が高まっていくはず。声をあげていくことで、医師にとっても、患者にとっても、地域にとっても、最良の形が導き出されることが望まれます。

\月1回から産業医の道、考えてみませんか?/
エムステージ産業医サポートにご相談ください!

医師の常勤求人検索はこちら➡『Dr.転職なび』


<関連記事>
「専門医取得を目指すも、勤務先が見つからない」
先が見えない未来、彼女の選択とは。

育児と両立できる、ベストな働き方って?
~女医が転職を考えるとき~