
麻酔科医ひつじのワークとライフとその真ん中
ー第20回 バイト先で古い装置に遭遇。麻酔科今昔物語♪
ー第20回 バイト先で古い装置に遭遇。麻酔科今昔物語♪
AIやらロボットやら、時代は高度テクノロジー真っ盛りですが、医療現場にまだまだ残るアナログ装置。原点を知ることで、意外な気づきがありそうです。
家族との時間を大切にしたい……。
女医の思いに応えるアルバイト探しをお手伝い。
『Dr.アルなび』
麻酔科医のバイトと言えば、大小さまざまな病院に麻酔をかけに行くのが一般的です。わたしはできれば小規模の病院、オペ室が1、2部屋しかないような病院に行きたくて、古めかしくて小汚くてもそれはわたしにとってはレトロで耽美的、まるで昭和にタイムスリップしたような雰囲気が好きなんです。
看護師さんや外科の先生と話しているうちに、昔バイトに来た麻酔科医が実は自分の大先輩だったりして、思わぬ昔話を聞くというお楽しみもあります(笑)。
麻酔科医が集まると、今までバイト先でどんな(古い)手術室、麻酔器をみたことがあるかという話になりますが、そこで必ず話題に出るのは『アネレコ』という自動麻酔記録装置。
今の電子カルテ、電子麻酔チャートが普及する以前の手書き時代においては画期的な装置で、タテヨコに動くアームが左端に並ぶ4色/4本のペンをとり、ガッガッと動いてバイタルを記録用紙に書き込んでくれます。バイタル以外は自分で書きますが、急に動いたアームに自分の手がはじき飛ばされることもしばしばあります。
ひと昔前(ふた昔前?)の麻酔器は、設定がVCV(従量式調節呼吸)オンリーでPEEPもかけられず、設定した換気がちゃんとできてるのか不安に思うようなものだったり、人工呼吸に乗せるONスイッチがやけにちっちゃくて本当に動くんだろうかと、ベローズの『シュコー』という音に耳をすませてみたり、100%笑気が流れるという今では考えられない麻酔器だったり…。
こんな麻酔器、今の若い先生たちは想像できないだろうなぁ。尤もわたしも「サチュレーションも自動血圧計も心電図もないところで麻酔かけられないでしょ」と大先輩に言われたら…、はい、その通りです(汗)。
安全な麻酔を提供するのはわたしたちの大事な使命ですが、最新の設備や薬を使える環境でも、レトロ耽美な手術室でも、変わらない良質な麻酔を提供したいなぁと思うんですよね。
まぁアネレコに腕をはじき飛ばされる度に、まだまだだなぁと思うんですけどね。
■プロフィール:ひつじ
関東圏の急性期病院で勤務する麻酔科医。卒後13年目の麻酔指導医、集中治療専門医として激務をこなす。一般職の夫と2頭のラブラドールレトリーバーという家族構成。家庭も仕事も両立できるのは、夫の深い理解のおかげと日々感謝。謙虚に仕事に取り組んでいるつもりなのに、
何故だかドSキャラ。
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