E1f85128 4649 400e aa45 721587cdbb06連載・コラム
2017年10月30日

Dr.まあやの「今日も当直です」
第18回 医者の仕事と女医の働き方

日本一のブラック企業とも揶揄される「医師の働き方」。責任感の強さゆえか、ブラック環境に慣れていってしまうドクターズも多いが、このままでいいハズはない。Dr.まあやの考える医師の幸せな働き方とは――。

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第18回 医者の仕事と女医の働き方

最近すっかり不倫がブームになってしまったようで、某女優さんの相手も医者だった…。そうそう、医者って、男はモテるんだよな〜、と完全に他人事のDr.まあやこと、脳外科医・折居麻綾、今日も当直中です。

医者はブラック環境に慣れている…。

世間では働き方改革が進む中、ワタシは相変わらず東京と釧路を行ったり来たり、デザインの仕事、メディアの仕事…。もちろん、自分で選んでこのせわしない生活をしているのだが、それにしても痩せないのが不思議…。医療現場は人の命を扱う場所。ブラックだと言われようが残業多すぎと言われようが仕方がないかなと思う。特に今ワタシがいる釧路など、医者が足りない以上どうしようもない。その医者にしかできない処置があったりもするわけで、この業界にメスを入れるにはチーム医療制や複数主治医制しかないと思う。これもまたなかなか課題が大きいところ…。チームを組むほど医師がいないってこともあれば、患者さんの「あの先生じゃなきゃいやだ」という主張とか、「最期は主治医の先生に看取って欲しい」とか、こういうことも少なくはない。

医師免許がなくてもできる仕事に追われる医者。

私が大学病院の病棟で働いていたとき、医者が抱える業務量が多すぎる!はっきり言って医師免許がなくてもできる仕事が山ほどじゃないか!と毎日思っていた。例えば、検査伝票をひたすらカルテに貼る仕事なんて、クラークさんではダメなのか?とか、保険書類の内容を延々と手書きで書かなければいけないときに、カルテからコピペして、簡単に書けないものか?と思ったりして、時間の無駄なんじゃないか?と日々悶々としていた。今では、電子カルテが進化をして、この点はだいぶ楽になってきているだろう。

しかし、主治医意見書・介護保険の書類はいまだに手書き…(電子化しているところももちろんあるでしょうけどね)。

ワタシが一番逃げたかったのはレセプトを書くことかもしれない。治療にその薬を使用した理由を、レセプト病名に対して事細かく記載しておかないと、あとから各自治体の保険事務所にチェックされ、使用が認められないと病院側に負担があることもあるわけで。それはもう神経を使ったものだ。

病棟のレジデントの時は、手術患者さんの分はほとんど、さらに重症な患者さんが増えると、書かなければいけないレセプトが増えて、魂がぬけたものだった。もちろん病気や薬ごとにテンプレートを作って、なるべく楽にレセプトに終わるようにいろいろ工夫はしていたけれど、やはりカルテを確認しながら、各患者さんのレセプトを書くために、どれだけ休みや帰れない日が続いたかわからない。今ではほとんどやることはないけれど、アレはきっついよなぁ〜!というネタだけで一晩盛り上がれるほど。「今月何人分書いた?」とか言いながら同期と遅くまでカンファレンスルームやナースステーションにいたものである…。

そして、退院サマリーの作成、毎週行われるカンファレンスの準備、手術のための準備や勉強、術後の画像の編集もしないといけない。さらには大学院生やそうでなくても、臨床以外に研究や論文、学会の準備を夜な夜な寝ずに行っていたりもする。「今日は、書類終わらせるぞっ!」と気合を入れた瞬間に、緊急で手術になったりして、その日の夜が終わったりする。病棟の仕事だけをやっていては、脳外科専門医の取得も難しく、立派な脳外科医にはなれないのだ。

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仲間から求められる女医像とそれに応える努力

医者の世界は完全に男社会。男勝りにガチで天下とりにいく人は、相当の覚悟と努力が必要である。天下取りができる人は、私個人の感想としては、いかにして余計な仕事が自分に回ってこないように、ギリギリのところで逃げられるか。回ってきた事務仕事を効率的に済ませ、自分の最も優先させたい仕事にダメージが及ばないようにうまく逃げることに長けていると思う。そして、信念を持って、空気をあえて読まなかったり、読んでみたり…。そういう駆け引きが上手な方々がのし上がっていくんだなぁ、と痛感している。(あくまで個人的感想である。)


逆に、私のような肩書きのない医者は、そういう駆け引きやら自分の最も優先すべき仕事を守れず、いろいろな仕事に追われ、整理がつかなくなってしまい、さらにはダラダラ病棟に残って仕事をしているうちに、空気を読みすぎて、自ら余計な仕事に首を突っ込み、他の先生の仕事をなんとなく頼まれてしまい、ついつい手伝ったりして、さらに追い込まれる。このような悪のスパイラルに陥ってしまうのである…。空気を読みすぎる、ということも良し悪しなのだろう…。

女医は、特にこういう状況に陥る人が多いのではなかろうか? 医者の世界は、男社会であっても、病院組織は、女性の多い社会なわけで、そんな中で女医は、男性医師よりも空気を読んで動かないと、とんでもないしっぺ返しを食らったりする可能性があるわけです。気を使いすぎて、身動きが取れないことも多々ある。空気を読めずに行動を取れる人は、そんな妙は空気に気がつかずに済む上、マイペースに仕事こなせるわけで、ある意味幸せなのかもしれない…。

私は、デブで医者の風上にも置けないのだが、患者さんに血液検査結果をお話しするときに、食事療法やら運動やらの話をどうしてもしなければならない。患者さんは、きっと「こんな奴に言われたかねぇ」「まずお前が痩せろ!」と思っているに違いない、さらには、ある程度ご高齢になったら、食べる楽しみや嗜好品を嗜む全てを奪ってしまうのは、どうなのだろう?と考えるあまり、「まぁ、無理しない程度にやって見てね〜」なんて、ついつい甘い言葉を発してしまうのである。でもこれは、自分に言い聞かせちゃってるだけなのでは!?
ダメだぞ!カラフルデブ! お前は、脳外科医なはずだ!

今回は医者の働き方について考えてみた。ワタシは何かがあったとき客観的にみる癖が子どものころから付いている。懐疑的に生きてきたら勝手に身についたようだ…。小学生のときから女性自身が愛読書(ワタシが育った祖父母の医院の待合室に置いてあった)で、そこに書かれた衝撃的な事件の数々を思えば、自分の学生社会における、小さないざこざは、「よく考えるとどうでもイイことかもしれない…。」と妙に冷めていたかもしれない。
女性自身はさておき、世の中の女性医師がもっともっと働き方の選択肢が増えて、幸せに働けたらいいもんですな…。

最近、女性の働き方や生き方相談にのることもあり、うっかり説教くさくなってしまってすみません…。

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■イラスト/Dr.まあや 構成/ふるたゆうこ

Dr.まあやの初のエッセイ本!

『カラフルデブを生きる
ーネガティブ思考を強みに変える女医の法則40』

(セブン&アイ出版)

コンプレックスがあるからこそ
人は成長できる。
挫折や劣等感が、
たくましく生きていくバネになる。
脳外科医×デザイナーとして
人生をカラフルに生きる
ドクターまあやの
エネルギーの源に勇気をもらえる一冊。

  Dr.まあや(折居麻綾先生)

1975年東京生まれ、岩手育ち。岩手医科大学卒業後、慶應義塾大学病院で研修を終え脳神経外科に入局。2010年にかねてから夢だったファッションデザイナーの道に挑戦しようと日本外国語専門学校海外芸術大学留学科に入学する。翌年にはロンドンのセントラル セント マーチン カレッジ オブ アート アンド デザインに約2年間留学しファッションデザインの基礎を学ぶ。帰国後は事務所『Dr.まあやデザイン研究所』を設立しアーティスト活動をスタート。現在は釧路孝仁会記念病院、東京・小平市のあかしあ脳神経外科の院長として非常勤勤務している。 

 


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“脳外科医デザイナー”Dr.まあや参上!