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2017年12月05日

医師の働き方改革の切り札に!?包括診療部(院内かかりつけ医)導入によるチーム医療推進で79%のスタッフが時間外労働等の働き方に変化を感じた!

医師の過重労働が問題になっている。常勤医の8%が1か月休みゼロ(参考記事)の状態にあり、月間300時間の残業により死亡した医師もいると報じられた。研修医の過労自殺報道も記憶に新しいところだ。世の中で「働き方改革」が進んでいる昨今、果たして医療機関の過酷な勤務状態が改善される日は来るのだろうか――。そんな中、患者ファーストの医療とチーム医療の推進、さらには医師の働き方の改善と三位一体の改革に取り組んでいるのが「済生会熊本病院」だ。「包括診療部」を設立し、院内かかりつけ医とも呼べる独自の体制を築いている。その経緯と実態、そこで働く医師たちのワークスタイルを追った。

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包括診療医が一新させた
入院病棟の風景

「おはようございます」
 朝8時30分、済生会熊本病院・心臓血管センター西館の病棟に、指田由紀子医師の明るい挨拶が響く。入院患者は満床の38人。心筋梗塞や不整脈、心臓弁膜症など、心臓血管の病気で手術を受けた人たちだ。
「痛みはどうですか?」「不安なことはありませんか?」声をかけながら、毎朝、全員を回診する。
指田医師は「包括診療医」。手術や外来での診察、救急患者への対応等に追われ、病棟に顏を出せる時間が限られている主治医たちに替わって、入院患者を総合的に診る医師だ。

 一度でも入院した経験がある人ならお分かりと思うが、入院患者が主治医と接する時間は極端に少ない。だいたいは日に1~2度程度。その機会を逸したら、具合の悪さや心配事は、看護師を通して聞いてもらうか、翌朝の回診まで待つしかない。同じ病院内に主治医はいても、ほとんどの時間帯、入院病棟は「無医村」状態なのである。これはかなり不便だし、心細い。

 実際、ご存知の通り、勤務医は忙しい。「自分たちの働き方はブラックそのもの」「医療者こそ、働き方改革が必要だ」と感じている人の割合は、他のどの職種よりも多いに違いない。一方患者たちも、次の予定を気にして落ち着きのない様子の主治医に気をつかい、吐露したい気持ちをぐっと飲み込む状況はざらにある。「先生たちは忙しいから仕方ない」と諦め、我慢しているのだ。

 だが、指田医師が担当するこの病棟は、そうした一般的な病棟とはかなり様子が違う。
「動悸がするんですけど、大丈夫でしょうか」「昨日の採血の結果が知りたいのですが」「ちょっとお腹が痛いので、なんとかしてください」など、病棟内にいて、声をかければベッドサイドの椅子に腰かけ、じっくり話しを聞いてくれる彼女に、患者は気軽に尋ねてくる。

 すると、もともと循環器内科医である指田医師は電子カルテを確認し、「この不整脈はカテーテルアブレーションで治療する予定ですから、心配しなくてもいいですよ」等答え、患者の不安を瞬時に払拭してしまう。無論、緊急の対応が必要な場合には、主治医の指示を仰ぐと共に、自分で判断できる範囲については速攻で解決する。


済生会熊本病院包括診療部/心臓血管センター西館担当 指田由紀子医師

 また、「お腹が痛い」という訴えの原因が分からない場合には、包括診療部の上司にして、消化器外科の専門医でもある園田幸生医師を呼ぶ。「あ、これは腹壁瘢痕ヘルニアですね。まずはバンド等でお腹を巻いてみましょう。落ち着いたら治療や方針について外科の先生に相談しましょう」。病棟にやってくるなり患者の腹部を触診した園田医師は説明し、テキパキと診察と説明をして一件落着。患者は安心の表情を浮かべる。逆に、園田医師が担当する患者が、血圧など循環器系の問題を訴えているような場合には、指田医師が他科の病棟に赴き、解決に動くこともある。ちなみに「お腹が痛い」原因が、便秘だった場合には、さっと患者への問診と診察を行い、必要に応じて便秘薬を処方する。薬の処方は医師にしかできないから、これは看護師もかなり助かる。

 通常、診療科をまたいでアドバイスを受けるには、大病院ほど面倒な書類手続等を要するが、指田医師らの場合、担当する病棟は違っても、包括診療部同士。主治医の手間は最小限に抑えられ、患者に我慢させることも、「●●先生は電話にぜんぜん出てくれない」と看護師をやきもきさせることもなく、日々次から次と発生する患者の「困った」を解決できる。
 2017年4月の業務開始から、まだ8ヶ月ほどしか経っていないが、医療現場の課題解決に包括診療部は大きな力になると、園田医師は強い手ごたえを感じている

「このままではいけない」
“専門医”に限界を感じた


済生会熊本病院包括診療部部長代行/消化器病センター・四肢外傷センター担当 園田幸生医師

「このままではいけない、という想いは、医師になって20年間、常に抱いていました」包括診療部設立の中心人物・園田医師は振り返る。園田医師はもともと消化器外科医だった。

 細分化が進み、専門医に特化し過ぎた日本の医療は、結果的に患者を不幸な方向に持って行っているのではないかと危惧する声をよく聞く。高齢の患者は、併存疾患も多岐に渡り、入院中は主疾患の治療だけでなく、診療科横断的な医療の提供が求められるケースが多い。たとえば胃がん治療のために入院してきた患者には高齢者が多く、高血圧、心不全、糖尿病などの併存疾患を持つ場合が多い。入院中はこれらの併存疾患についても悪化しないように診療する必要もあり、胃がんの治療だけでなく総合的な医療が求められる。しかし、現実問題として、医師は手術や外来、救急患者対応等の日常業務があり、併存疾患までをじっくりと診療する余裕がない。現実のニーズに対応するには、どんな医療体制を整え、どのような能力を持つ医師がいればいいのか――。

 消化器外科医として働くかたわら、社会人学生として九州大学大学院で医療経営と管理を学んだ園田医師がたどりついた結論は「包括診療部。そして、病院総合医(同院では、包括診療医)」という概念だった。

「患者さん中心の医療を行うために、病棟のなかで働く医者、かつ病院のことを総合的に考える医者という意味です。内科、外科といった診療科の枠組みを超えて、病院の医者として働く医者が『病院総合医』。そして、そういう医者を全部包括するという意味で『包括診療部』を作ろうという流れになりました」

「真のチーム医療」の遂行めざし
日本初の部門を立ち上げた

 こうした園田医師の考えに賛同し、『包括診療部』の開設を任せたのが、済生会熊本病院の副島秀久前院長だった。

「九大の同級生には済生会の事務方もいました。ある日、特別講義の後の懇親会で、私の持論を語ったところ、その話が副島先生の耳に入り、面談することになったのです。さっそく会いに行き、話しをしたら、『よかったらうちで働いてみないか。君の発想は、今、私が考えている理想の病院づくりのヒントになる』と誘っていただけたので、だめもとで乗っかってみることにしました。学んだことを活かす、いいチャンスだと思ったのです」

 とはいえそれは、覚悟を要する決断だった。

「外科医のキャリアを中断し、手術する機会も失うことになりますからね。まあ、1年か2年頑張っても、プロジェクトが上手くいかなかったら戻ろうかな(笑)というのもありましたが」

 副島前院長から求められたのは、入院病棟における「無医村」状態を解消し、患者を中心とする「真の意味でのチーム医療」を遂行することだった。

「当院は、重症度の高い患者さんが多く入院する急性期病院です。定期的な入院患者だけでなく、緊急入院や緊急手術を請け負うことも多く、病棟スタッフは常に忙しい状況に置かれている。しかも、病床稼働率は高く、常に満床です。

 チーム医療の遂行には医師の存在が不可欠なのに、一般的に医師は手術や処置、救急患者への対応が優先されるため、病棟内に滞在できる時間は限られています。結果的に、病棟に医師不在の時間が長くなり、いわゆる『無医村』状態になってしまうのです。

 

 そうした環境では、患者さんだけでなく病棟スタッフとも共有できる時間が少ないために、初期対応の遅れ、指示・処方漏れ、あるいは患者さんの治療方針に対するスタッフ間での意思統一の不備等が生じ、真のチーム医療を実現するのは困難です。

 

 そこで、病棟での診療を選任にする『包括診療部』を設け、チーム医療をやりやすくし、入院患者さんはもちろん、看護師やコメディカル等、病棟で働くスタッフたちにとっても働きやすい環境を作ろうと。実現すれば、主治医たちも楽に仕事ができるようになり、当院が提供する医療の質も高まるだろうという発想が、副島前院長にはあったようです」

 熱い期待を受け、‘16年10月、園田医師をリーダーとするプロジェクトチームが編成された。

 既存の形態では、めざす業務の遂行は困難という判断から、どの専門診療科にも属さず、さまざまな医師業務や医師権限を“総合職”のように行使し、各診療科や各病棟の支援を包括的に行う部門という意味で『包括診療部』。所属する医師は『包括診療医』と呼ぶことにして、日本初の、まったく新しい業務を行う医療部門がスタートした。

異なる立場を尊重した働き方の
モデルを各自が創り上げる

「準備のために、考え付く限りのあらゆることをしました。私にとって都合がよかったのは、自分自身熊本出身ではなく、熊本大学とも全く無関係だったことです。正真正銘、単身で乗りこんだお陰で、しがらみに縛られず、ゼロから創り上げることが出来ました

 最も苦労が予想されたのは、包括診療医の養成だった。他に類のない、まったく新しい形態ゆえ、概念はあっても、具体的な働き方モデルを提示することができなかったからだ。
包括診療医とは

病院内の“かかりつけ医”として働く病院の総合医である。
・診療科や所属を越えて、自身が持つ専門医スキルを活用し、常に“患者ファーストな医療の提供”を目指す医師である。
“多職種協働によるチーム医療”を実践する医師である。
・日本の医療の未来のため、地域包括ケアシステムを支える“病院総合医”である。

「ラッキーだったのは、指田先生のように、循環器内科医という、しっかりした専門スキルを持ちつつ、自分なりの包括診療医像を創り上げる力とやる気のある人材が、立ち上げからかかわってくれたことです。経験の浅い、若い先生では無理でしょうね。

 

指田先生には最初に、『病棟のマネジメントは、教わってできるようになるものではないので、自分でやりながらできることを考えてほしい』とお話ししました。これ、ある意味丸投げみたいですけど。病棟は地域と一緒で、ぜんぶ異なる。それぞれの病棟なりのやり方があるんですね。私は、どこに行ってもリーダーとして、上手くチーム医療を回していける包括診療医を育てたいと思っていたので、そういう言い方をしました。指田先生はよく応えてくれた。

 

なので、これから包括診療医になってくれる人にも、同じように、頑張ってもらおうと思っています。もちろん私の方である程度、包括診療医として働ける土壌は作っておきますが、病棟に入って実際にどうやるかは、その先生が考えて、他のスタッフたちとも話し合いながら、『ここまではできる』ということを決めて行くのがいいと思います。もちろん所属長としていつでもスタッフの相談にはのっていますし、病棟マネジメント実践において、各診療科や各部門との協議も積極的に行っています」

育児中の女性医師にとっても
マミートラックに陥らずキャリアを構築できる

 さらに注目すべきは、指田医師の「働き方」である。通常は週4日、朝8時半から1時半までの短時間勤務。朝、用事がある時は、9時~2時まで、といった感じで簡単に動かすことができる。担当は心臓血管センターであっても、所属は包括診療部なので、同じセンター内の医師たちに迷惑をかける気遣いをしないで済むのだ。これは、小学生と乳児を子育て中の指田医師のような立場の女性には、願ってもないポジションといえる。

 出産・育児の時期にも、キャリアを中断せず、臨床をしながらやりがいを持って働き続けられる包括診療医は、ワークライフバランスの充実をめざす女性医師にとって、有望な選択視になるはずだ。また、他科の医師や多職種との連携が必要になる包括診療医は、コミュニケーション力の高い女性医師の強みを生かしやすく、新たなやりがいとの出会いにもなる

「立場の違いを尊重した働き方を模索するのも、包括診療部を立ち上げた目的の一つです。
フルタイムで働く人間いる一方で、指田先生のように時短で働く人もいる。すごくいいパターンが2つできたなと思っています」

包括診療部を受け入れる、他の診療科、病棟への説明にも気を配った。一番に配慮したのは、包括診療部の立場に対するコンセンサスを得ることだった。

「決して、各診療科の担当医権限を委譲するのではない。担当の主治医との連携のなかで診療支援を行い、患者さんを中心とした安心安全のチーム医療実践を目的として活動する部門であることを訴えました」

 というわけでまずは、常勤医1人当たりの手術数(定期手術+緊急手術)が最も多い整形外科医の中心病棟である、「四肢外傷センター」を初期導入の病棟として選択。園田医師が17年1月から3か月間試験的に勤務し、同年4月から包括診療部が正式に発足した。

ひとり一人の専門を活かし
障壁なく繋がることで「総合医」に

 現在、包括診療医は5人となり(病棟で実際に勤務しているのは4人)、四肢外傷センター、消化器病センター、心臓血管センター、腎泌尿器センターを包括診療医担当病棟とし、また救命救急センター支援業務や各専門医スキルを活かした診療科オンコール支援等、多岐に渡る業務を行っている。

 具体的には、担当病棟内の全入院患者の診察を毎日行い、入院患者の健康管理を行うといった“病院のかかりつけ医”としての業務に加え、入院中のさまざまな病態変化に対して、迅速に対応するとともに、看護師、薬剤師、管理栄養士、セラピスト、メディカルソーシャルワーカー等との日々の情報共有や多職種カンファランス、患者に安心安全のチーム医療提供等をめざしている。

今後は包括診療医を10人まで増やし、脳卒中センター等にも支援を広げる計画だ。

「私は消化器外科、指田先生は循環器内科、というようにそれぞれ専門性を持っているので、そこは強みです。ただ、それ以外は弱い。でも、それでいい。
個々のケースに対して、様々な専門性を持った人間が力を合わせて一緒に考えられる体制こそが、我々包括診療部だからです。こういう横断的なコンサルトは、大きな病院では意外とできない。患者さんは少しでも早く診察をして欲しいと思っていても、何かしら書類上のプロセスが必要だったり、診療科の都合で即日は難しかったり、できたとしても夕方とか夜でないと無理だったりということが多い。

 

しかし、包括診療部内には、そういう障壁は当然存在しないので、患者さんのニーズに即答できる。ひとり一人は「総合医」でなくていい、包括診療部というチームの中で「総合医」として機能できる。これ、かなりの強みだと思うんですよね」

 

 意外かもしれないが、仮に整形外科の病棟であっても、整形外科の専門医でなければ対応できないという事態は、さほど多くはないのだという。

「なぜなら入院患者さんにとって必要なのは、専門医が治療する主疾患を治療することだけではないんです。リハビリの支援や、入院中に起こる便秘、食欲不振、不眠や不安などをちゃんと診て、痛みなく、しっかり食べられて、ゆっくり眠ることが出来るようにすることが重要なのです。そこはべつに、専門医としての専門知識がなくても大丈夫なのです。

 

たとえば整形外科や脳神経外科でも、必要なのは、入院中の日常的な管理です。手術後や検査後に病棟にいる患者さんは、ある程度症状が落ち着いた人たちだからです。日常的な生活管理や健康管理は専門医ではない医師でも可能なことがたくさんあります。地域の医療に求められているのは専門性よりも包括的な健康管理。これから日本の医療には自身の専門分野にかかわらず様々な病棟や地域でも、やっていけるような体制が必要であり、我々はそのような包括診療医(病院総合医)を創って行かないといけないと思っています」

上が下の世代を支える
フォロワーのやりがい

 1つ気になることがある。包括診療医は、主治医に替わって昼間の入院患者を預かる、フォロワー的立場だ。だが医師になったからには、中心もしくは先頭に立って、患者の病気やケガを治す側でありたいと希望する医師が多いように思う。となると、包括診療医の成り手は少ないのではないだろうか。

「そうですね。私は今、あえて9時―5時で働いています。時々1時間ぐらいの時間外労働はありますが、基本的に残業はありません。夕方くらいには主治医が病棟にいることが多いですから。日中は我々が病棟患者の診療や健康管理を行い、その後は主治医が落ち着いた時間の中で、検査結果や1日の経過や我々の診療記録を参考に、いろんな判断や方針を決めたりする時間だと思っています。

 

我々はあくまでも病棟内で多職種協働のチーム医療を実践しながら、日中の患者さんをしっかり守る立場。だから、深夜に呼ばれることもなければ、長時間の時間外労働をすることもない。すごく働きやすいです。
かつ感謝されることも多い。大したことはしていないのに、患者さんももちろん、看護師さんからも主治医からも「ありがとうございます」と言われる。いいとこどりで、ストレスフリーです。
こうした労働環境に魅力を感じる医師はいると思います。

 

ただ、確かに、医師になったからには診療の中心でありたいと思う人は多いですし、そうあるべきだと思います。
そういう意味では、若いうちは、専門医としてバリバリ働いてもらい、少し世代が上になって、スキルは高いけれど、体力的にきついとか、立場的に制約があるような時に、包括診療医となって、下の世代の先生方を支える、という流れが、これからの包括診療部の役割になるのかなと考えています。

 

一歩引いて、『病棟は俺が守るから、君たちは安心して活躍しなさい』みたいなシニアの先生がいたら、親分肌でいいなぁと思うんですね。それが下を育てることにもなるでしょう。上の人たちが包括診療医になって、働きやすい環境を作ってあげれば、医療現場の時間外労働も減るはずです」

「導入してメリットがあった」100%
「時間外労働改善」約80%
「働きやすくなった」約90%

 現在、園田医師ら、包括診療部の面々は多種多彩な業務をこなしている。以下はその一例だ。

包括診療医の病棟業務(一例)
病棟内の全入院患者の回診(毎日)
入院患者の診察(発熱、腹痛、胸痛、咳嗽(がいそう)、下血、頭痛、便秘、下痢、嘔吐、転倒等)
患者の精神的ストレスや不安に対する対処~必要時は精神科コンサルト
血液培養採血(動脈血)
誤嚥性肺炎等の検査・処置
尿路感染症の精査・治療
各種検査の結果確認(採血・CT・心エコー・下肢静脈エコー等)
血圧コントロール
疼痛コントロール
抗凝固剤コントロール
薬剤血中濃度確認と投与量のコントロール
電解質補正(カリウム値等)
処方・注射(未処方分、新規処方)
持参薬確認と内服継続の可否の承認
管理栄養士との栄養相談、経管栄養チューブ挿入
嚥下造影(STと共に実施・評価)
薬剤師との処方相談
他職種による全患者ラウンド(毎週金曜日午後)
感染予防策の実施

※ いずれも大切な業務だが、多忙にかまけて後回しになってしまいがち。これだけ多くの業務を、信頼できるドクターが肩代わりしてくれる仕組みがあれば、医師の仕事のブラック度はかなり改善されるのではないだろうか。

 

 これだけの業務を、上級の信頼できる医師にフォローしてもらえたら、現場の主治医たちも相当助かるに違いない。

 包括診療部導入の効果を評価するため、園田医師は仮導入期間終了時に、四肢外傷センターに従事する全職員(医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、セラピスト:52人)に対してアンケート調査を実施した。

そこでは、100%の職員が包括診療医導入で「メリットがあった」と回答。その内容として、「診療の質の向上」と「患者の満足度の向上を実感として得られた」ことを挙げている。さらに79%の職員は、「時間外勤務等の勤務状況が改善」し、89%は「職場が働きやすくなった」と答えたという。

 包括診療部では今後、患者アンケートの実施も計画しているほか、包括診療医の経営的指標や効果的指標の策定も検討している。

 正式スタートから8カ月。はっきりした成果が表れるのはこれからだろう。だがきっと、「包括診療部」は、“ブラックな働き方”の代表と言われる医療現場の働き方改革にとって、画期的な切り札になるはずだ。
2018年4月から病院総合医育成の認定施設となり、病院総合医を目指す包括診療医を募集する。これからの展望に期待したい

済生会熊本病院 包括診療医募集ページ
済生会熊本病院 病院総合医育成カリキュラム

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園田幸生(そのだゆきお)
済生会熊本病院包括診療部部長代行/
消化器病センター・四肢外傷センター担当

 

大分医科大学(現大分大学)医学部卒業。2017年、九州大学大学院医療経営管理学専攻卒業。(公衆衛生学修士)。医学博士。
日本外科学会指導医・専門医
日本消化器外科学会指導医・専門医
消化器がん外科治療認定医
日本社会医学系専門医
日本プライマリ・ケア認定医
ICD、医療安全管理者

 

指田由紀子(さしだゆきこ)
済生会熊本病院包括診療部/心臓血管センター西館担当
東京女子医科大学卒業。
日本内科学会認定医
日本循環器学会専門医

文/木原 洋美


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