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2017年12月12日

キャリア構築と働き方改革は両立するのか!? 医療現場と女医 変わらなきゃいけないこと、変えてはいけないこと――女医のお悩み相談室Vol.7

女性として、医師として、キャリアとライフは二者択一なの? 誰もがスーパードクターを目指さなきゃいけないの? パラレルな役割を求められがちな女医が戸惑う大きな悩み――思い切って、脳神経外科医界の重鎮・加藤庸子先生に尋ねてみました。日本が誇るスーパードクターの回答に背筋が伸びます!

\今日のセンパイ/
加藤 庸子(かとう ようこ)
1984年藤田保健衛生大学脳神経外科 入局。2006年藤田保健衛生大学脳神経外科教授就任。2009年世界脳神経外科連盟 教育委員会 委員長。2010年藤田保健衛生大学病院 総合救命救急センター センター長。2013年日本脳神経外科学会、女性初の理事となる。 2014年藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 脳神経外科 教授、脳血管・ストロークセンター センター長。現在に至る。

Q1 医師としてのキャリアと、ライフの充実。それは二者択一なのでしょうか? どうしてもキャリアの割合が減ってしまう出産・育児期をキャリアブランクにしないために、女医個人と医療現場ができることは何でしょうか?

A1
難しい質問ですね。
医者になったからには医者人生を全うしたい、これは誰もが思っているでしょう。そこに途中から出産や育児などが入ってくるわけで、モチベーションをトーンダウンさせないよう頑張らないと、いずれ離職とかパートとかになっちゃうんですね。

もちろんパートもいいのですが、やはり一線から外れてしまうと、特に外科系はなかなか元に戻りにくい。手術のスキルを以前の状態にもって行くには結構勇気を奮い立たせないといけないし、子育てのことを考えると大変なことは多く、家族ももう無理するなよと言う…等々で、フェードアウトしてしまうことが多いですね。

皆さん「私はもう無理ですと」部長や科長に言いだす前に、親族やパートナーに相談したりされると思うのですが、なかにはそれができないまま悶々としている場合もあるので、医療現場に、そうした女医を応援するような相談窓口やキャリア支援センターがあるといいなと思っています

出産・育児期をキャリアブランクにしないためには、時間外の保育をどうするかという問題と、あとは代替要員の確保、たとえば「私、急遽来週3日間休まなければなりません」というときに、パッと代わりを確保できるような体制があることが大事ですよね。医療現場に、そうした体制があればずいぶん違ってくるでしょう。

これからは、働き方を変えていく時代。でも、週80時間以上働いている脳外科医が働き方改革をするには、もっとマンパワーが増えないと難しいでしょうね。たとえば一人の患者さんを3人で診る体制があれば安心できる。同門や地域で、必要な時に対応してもらえるような代替要員ネットワークができたらいいですね。

女医個人としては、育児や家事のアウトソーシングですね。子どもの世話だけでなく、ご飯の支度とかもね、お金を払えば頼めますよね。そういうサービスを、キャリアブランクにしないための投資と考えて利用するのもいいですね。あとは、頑張ろうという気持ちと両方あれば、医師としてのキャリアと、ライフの充実は可能だと思っています。
それから復職準備期間中にもカンファレンスだけはでるとか、手術を見学するとかね。できるだけ現場の雰囲気に接しておく努力はしたほうがいいでしょうね。

あとは時期ですね。出産・育児は、専門医の資格を取得してからにするのが一番いいと思います。専門医の資格を取得するとだいたい30代前半になりますが、キャリアを重ねて行くためには、専門医の資格がなければどうしようもないですからね。

まとめ
・出産・育児をキャリアブランクにさせないためには、時間外保育と急場の代替要員の確保を容易にする体制が必要。
・すべての育児・家事を一人で背負っての両立は無理。キャリアへの投資としてアウトソーシングを考えてみては。
復職準備期間中もできるだけ現場の雰囲気に接する努力を。
・結婚・出産・育児は専門医の資格を取得した後にする。

 

Q2 育児や介護を経験しながらも第一線で活躍される女性医師は確かにいらっしゃいますが、誰もがそこまでスーパーウーマンにはなれるわけではありません。スーパーウーマンをロールモデルに・・・といわれると、私にはそこまでできないと尻込みしてしまいます
 無理なく、自分にできる範囲で最大限の医療貢献を目指す・・・というスタンスではダメなのでしょうか。やはり、今より少し上をずっと目指し続けなければいけないのでしょうか。

A2
そこはね、自分が最後どうなりたいかということと、家庭をどのくらい大事にするかということについて、旦那さんとかご家族と話し合いながら、上手く擦り合せができればいいんですけども。現実問題として、子育てやりながらご飯作って、オムツ変えて、介護して、ご飯食べさせて、夜中に体位交換して…という状況で、「第一線で活躍」するのはかなり厳しいでしょうね。私たちは、患者さんに対して責任がありますから、自分の心身にある程度ゆとりのスペースを残しておくことも必要ですから

でも、それでも私は、女医の皆さんに、少し高いところをめざし続けて欲しいと思っています。というのも医療界はまだまだ男尊女卑です。

たとえば脳神経外科学会にも女医は沢山いますが、男の先生のなかには「あの女の子たち」という言い方をする人がいます。そこにリスペクトはないですよね。男性と女性を分けて考えているのです。そういうなかで認めてもらい、教育しようという気持ちを起こさせるには、少しでも上を目指し続ける姿勢は必要だと私は思います。本当は、男性女性関係なく、育てる気持ちがないと、だめなんですけどね

それに比べて海外は、あんまり隔てなくやっているような気がします。ロシアなんか女医さんの方が多いですもの。そうなるよう日本も変えていくべきだと思っています。

まとめ
・自分が最後どうなりたいかということと、家庭をどのくらい大事にするかということを、周囲とよく話し合い、上手く擦り合せることが大事。
・日本医療界の男尊女卑を正すために、大変でも、女医には少し上をめざし続けることを望む。

 

Q3 最近の女性医師の姿を見ていて、見どころがあるなと思う点、新しい女医のあり方の可能性を感じる点はありますでしょうか。
 また、ここは少し目に余るから改善したほうが良いと思う点も喝を入れてください。

新しい女医の可能性を感じる点は、やはりオンオフの切り替えを上手くやっているところですね、よく言えば。ワークライフバランスをきっちりする世代だと思います。私は患者さんファーストといいますか、患者さんがハッピーじゃないとだめなんじゃないという想いが常にあり、現場に後ろ髪を引かれるようなところがあって、だらだらと病院にいますから。

若い人たちは女性も男性も一緒ですね。お互いそういうふうに割り切って、またそれに対して看護師も患者さんも、患者さんのご家族も納得して、上手く回って行くような環境が出来ていくのなら、それもOKだと思います。なかなかそうはなりませんけどね。看護師さんは時間外でもじゃんじゃん電話してきますし、患者さんのご家族も、当直の先生ではなく、主治医の話を聞きたがりますし、私も、細かなニュアンスや気持ちは自分でなければ伝えられないと思っています。だから私は、自分の働き方を変えることはできないですね。

改善した方がいいと思うのは、ガッツで頑張ろうと言う気持ちが弱い点です。非積極的というか。あれ、もう帰っちゃうのと。もうちょっと欲があってもいいんじゃないの、と感じることがあります。少しでも時間があったら、新しい症例を研究してみようとか、知らない手術を見てみようとか、してみてほしいです。そこは残念な気がします。

まとめ
・新しい可能性を感じるのは、オンオフの切り替えの上手さ。ただし、周囲の納得はまだついて来ていないような気がする
・改善したほうがいいと思うのは、ガッツの弱さ、非積極性

 

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文/木原 洋美

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