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2017年12月20日

ディズニーの精神で医療現場を改革
“攻め”の姿勢で走り続ける「病院らしくない病院」づくりへの挑戦
彩の国東大宮メディカルセンター/坂本嗣郎院長

2015年7月1日に開業した「彩の国東大宮メディカルセンター」。旧病院からがん診療と救急医療を2本柱に、地域の急性期医療を担う病院へと生まれ変わった。各分野の専門医、指導医を集めた専門性の高さ、国際医療機能評価機関・JCI認定を受けた質の高い医療が特徴でありながら、院内に木や緑、水などを多用した癒しの空間が広がる「病院らしくない病院」としても有名です。高品質な医療と、「ここに来てよかった」と思える最高のホスピタリティ。大人気テーマパークの手法を参考に、病院改革に挑み続けるのが坂本嗣郎院長です。「常に“攻め”の姿勢が重要」と語る坂本院長に、「患者も職員も幸せになれる病院づくり」についてお伺いしました。

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大赤字の病院を救う道はCSのみ
医療現場の意識改革に挑戦も、失敗!

「この病院をディズニーランドのように、患者を幸せにする病院にしたい」

坂本嗣郎院長がそう心に誓ったのは、今から約20年前のこと。そもそも、患者は待つのが当たり前。医者は上から目線でものを言う“お医者様”が普通だった時代に、坂本院長はなぜ顧客(=患者)満足度(CS)を高めようとしたのだろうか。

「当時、僕が院長を務めていた病院は大赤字が続き、深刻な経営不振に陥っていました。そんな折、目と鼻の先に企業立の病院が新設されることになったんです。食事は一流ホテルからのデリバリー、大規模な駐車場を備え、院内案内係のコンシェルジュまでいる。医療機器、設備、ドクターの質、看護の質など、どれをとっても負けている当病院がライバルに勝つ方法は、きめ細かいサービスで患者満足度を上げるしかないと思ったんです」

攻めの一手として、事務長や看護師長、検査技師や薬剤師など患者と接する機会の多いスタッフを大挙連れて、フロリダのディズニーランドで1週間のスタッフ研修を受けさせるという賭けに出た坂本院長。その理由を伺うと、

「ディズニーランドには訪れた人すべてを笑顔にし、また来たいと思わせる質の高いサービスやホスピタリティが浸透していて、キャストがみんなここで働くことを誇りに思っているんですね。僕らが患者に選ばれる病院になるためには、職員一人ひとりの意識改革が必要で、ディズニーの精神から学ぶことは多いと考えました」

帰国後、研修の成果に手ごたえはあったが、長年、“負け癖”がついてしまった病院の体質は、そう簡単には変わらない。5年間必死で頑張っても、職員のモチベーションは簡単には上がらず、目立った成果を出すことはできなかったという。

その後も「ディズニーの精神は、医療機関でも絶対に通用する」と確信する坂本院長は、『医療現場の意識改革にディズニーの精神を求めて』というセミナーを、全国各地で自主開催。やがて、その活動が現在の病院の母体である、埼玉県の上尾中央医科グループの目に留まった。

理事長から「先生の夢を埼玉で実現しませんか?」と声をかけられてから3年後。慣れ親しんだ関西を離れ、2004年に東大宮総合病院(現在の彩の国東大宮メディカルセンター)の院長に就任。遂に、坂本院長がめざす「病院らしくない病院」づくりが始動した。

専門医を集め、医療の質を上げて
勝つための風土づくりに注力

最初に取り掛かったのは、職員がこの病院で働くことを誇りに思い、どんなに忙しくても、仕事にやりがいを感じられる環境を作ること。前職での失敗を教訓に、「やらされている」のではなく、「自ら進んでやる」風土の醸成に力を注いだという。

目標を達成するためには、まずは多くの患者に来てもらう仕組みを作ることが重要だ。そこで、「医療の質の向上」に目標を定めた。なかでも特に力を入れたのが、がん診療と救急医療の充実だった。

「救急医療とがん診療を軸に、専門性の高い治療を提供するため、院長就任以来約10年間は、専門医・指導医資格を取得している医師を意識的に採用してきました。その結果、旧病院時代はわずか4学会だった教育認定施設の指定は、今や34学会に広がっています。指導医が1人抜けてしまうと施設基準が外れてしまうので、なんとしても維持しようと必死でした(笑)。

 

そんな努力の甲斐あって、優秀な人材が徐々に集まるようになったんです。今の学生は情報収集力に長けています。ここならいい指導医に巡り合え、資格取得や更新のバックアップ体制も万全だということで、研修医の応募には毎年定員の3倍以上の応募があります。なによりも、地域の皆様からも『どんな病気になっても、安心して治療が受けられる病院』として、広く認知されるようになったことがうれしいですね」

坂本院長の改革の実績は、数字にも如実に現われている。
例えば、救急車の受け入れ台数は1日平均20台、年間約6700台に達し、旧病院時代には6割程度だった救急要請件数に対する応需率も、日中は95%程度に向上。2016年には 「埼玉県受け入れ件数改善」「受け入れ率改善」の2部門で知事表彰を受けている。

また、2012年には上尾中央医科グループ初の埼玉県がん診療指定病院に指定された。多種多様ながんに対応できる専門医や設備が揃い、血液内科の無菌室は14床と県内ナンバーワンの規模で、大学病院からの紹介患者も多数受け入れているという。

「『埼玉県がん診療 指定病院』のほかにも、『7対1看護体制』『国際医療機能評価機関(JCI)認証』など、“グループ初”を数多く実現してきました。次の目標は地域医療支援病院の承認です。おもしろいもので、病院の実績は職員の自信にもなるんですよね。職員には私が10年以上かけて根付かせた「すぐやる」精神が浸透しており、最初は無理と思ったことも、スタッフ一丸となってやり遂げる“勝ち”の風土ができました。この“まとまる力”こそが、当病院の自慢です」


JCI認定を受けた際の記念写真

施設・接遇・高品質な医療の
3拍子揃った世界レベルの病院になった
彩の国東大宮メディカルセンター

2015年7月の新病院の開設では、ハード面にもディズニーの精神が随所に生かされている。新病院はスタッフが利用するバックステージと、患者さんが利用するオンステージを完全分離。患者と職員エリアはすべてセパレートで、壁の色や廊下の色も変えている

「これはまさにディズニーが採用する手法で、職員にとってもオンオフがはっきりできるメリットがあります。当院は女性医師も多いですから、新病院には女性専用のラウンジを新設しました。男性の目を気にせず、ゆっくり昼寝をすることもできますよ」。

外来フロアの様子
外来フロアの様子。病院とは思えない心落ち着く佇まいだ。

患者エリアには木や緑、水などを多用した癒しの空間が広がる。院内に滝の流れる病院は、他を探してもなかなかないだろう。「患者さんにとっては、病院に行くこと自体がストレスなので、リラックスできる“病院らしくない病院”をとことん追求しました」と、坂本院長は胸を張る。

「よく『ホテルみたいですね』と言われるのですが、外観だけを評価されるのは本意ではありません。病院は医療の質が高いことが最重要ですから、当病院が世界基準のクオリティーを有する病院だと証明するため、2017年7月に日本で24番目となる国際医療機能評価機関・JCIの認証を取得したんです」

いくら外観がきれいで、接遇がよくても、医療の質が高くなければ患者さんは満足しない。そこで、同病院が安心・安全で質の高い医療を提供する病院であることを客観的に示すために、2017年7月に、日本で24番目となる国際医療機能評価機関・JCIの認証を取得した。JCI認証とは「患者の安全性が担保されているか」「高品質な医療が提供されているか」「院内に継続した改善活動が行われる仕組みを有しているか」を評価する認証機構で、世界の中で最も厳しい基準を持つ医療施設評価機構とされている。

「認証に至るまでの道のりは決して簡単ではありませんでしたが、病院一丸となって認証を目指したことで、よりスタッフの結束力が強まり、チーム力が一層強化されるなど、思わぬ収穫もありました。

 

また、JCI認証の病院で働くことへの誇りが生まれ、次の目標である病院の国際化に向けて、大きな第一歩になったと考えています。実は、認証が取れたら院長を辞めてもいいと思っていたのに、取得した瞬間、どんどん新しいアイデアが浮かんできました(笑)」

次の目標は、救急医療の一層の充実と国際医療。「2020年の東京オリンピックを見据え、中国など海外からのメディカルツーリズムの受け入れを強化する予定で、多言語対応にも力を入れます。そういう意味では、帰国子女など語学が堪能な医師にも活躍の場があるでしょう。この他、脳外科や神経内科、救命救急医を積極的に採用していく予定ですし、QIプロジェクトにも力を入れており、40以上の部門の業務改善状況のチェックや、職員一人ひとりのサービスのモニタリングなど、一層のサービスの質の向上を目指します

 まさに止まることを知らない坂本院長のパワー。アイデアは大体朝方に浮かんでくるそうで、「アイデアを具現化する職員は、大変ですよね」と笑う。

「僕は決してカリスマではありませんし、失敗もたくさんしてきました。でも、新しいことに挑戦するのってワクワクしませんか? 詳しくはまだ言えませんが、現在は、埼玉県初となるとある専門センターの立ち上げ、さらには救急医療をさらに拡充させる改革プロジェクトが進行しているところです」

少年のようなキラキラした目で話す坂本院長には、「この人に付いていきたい」と思わせるオーラがある。決してトップダウンでなく、各部門にキーマンが育っていることが、高いチーム力を発揮できる所以だと自負する坂本院長。

そんな組織が確立されてきたのも、坂本院長自身が無責任な丸投げではなく、誰よりもデータ収集に務め、資料を読み込み、反対意見を聞く耳も持ち続けてきたから。その仕事への姿勢が、職員の心を動かし、「やらされている」のではなく、同じ目標に向かってまとまるという、同病院の強みを生み出したのだろう。

「起業精神やユニークなアイデアをもつ医師は歓迎です。私と組めばかなりおもしろい展開ができると思いますよ。こんな診療をやりたい、こんなサービスを立ち上げたいといった提案はいつでもウェルカムです」。

そんなチャレンジングな“攻め”の姿勢の一方で、医師の働き方への配慮も欠かさない。多忙な医師が診療業務に集中できるよう、レセプトから解剖学まで専門的な教育を受けた医療クラークを最大限に配置している。医療の質とサービス精神を追求した「病院らしくない病院」のさらなる進化に、今後も大いに期待したい。

坂本 嗣郎院長プロフィール
1973年 奈良県立医科大学卒業 大阪大学医学部第一外科入局
     米国テキサス大学医学部客員講師
1988年 大阪厚生年金病院 外科医長
1991年 大阪府済生会富田林病院 外科部長
1995年 大阪府済生会富田林病院 副院長
1999年 大阪暁明館病院 院長
2004年 東大宮総合病院(現:彩の国東大宮メディカルセンター)院長

 

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文/岩田千加


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