9995368c 0e25 4460 a00f 4fb70874671d連載・コラム
2017年12月27日

医師の働き方改革、民間療法、医師の自殺etc.
Dr.まあや、2017年の医療ニュースを斬る!

今年もあと数日。冷え込む東京・新宿の街に、颯爽と現れたDr.まあやこと折居麻綾先生(以下、まあや)。「釧路の方が寒いですよ〜」とご機嫌に笑いながらジンジャーエールで乾杯(お酒は飲めない)。今年も楽しく2017年医療ネタを振り返ります。デザイナーとしてますます大忙しなまあや、それでも患者さんや同僚の話、薬や手術のこと、医師の働き方、新専門医制度についてまで、ウィットに富んだトークで、やっぱりまあやは真面目な臨床医なんだなあと再確認した編集部なのでした。

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■医師の働き方改革。時間外手当未払い訴訟を受けて。
残業代込みの医師の定額年俸が有効かどうか、が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁は「残業代と基本給を区別できない場合は残業代が支払われたとは言えない」として無効と判断。最高裁が労働基準法の原則で判断したことから、そうか、やっぱり医師も労働者かと世間がざわついた…。

まあや:医師の働き方の問題については、根が深い問題だと思うけれど、ワタシの考えを言うと、なんか息苦しい世の中になったなあ、ということ。過労死するまで働かせるのは問題があるのは当たり前として、働きたくて働いている人もいるんだということ。
もちろん、これは世間に逆行した考えだということは分かっています。でも、ワタシなんて一人だし当直だって残業だって必要とされればできるだけ対応したいと思うわけです。つまり、働き方を選択できないことが問題なんじゃないかと。

医者って大学を卒業したらほぼスケジュールが決まっているじゃないですか。研修医やって、専門医とるならだいたいこの歳に、と。それが時代にそぐわないんだと思います。「じっくり助走コース」とか「ゴリゴリ邁進コース」みたいにペースが選べて、ライフワークバランス重視の人は前者、成り上がりたい野心家は後者を選べばいい。

ときには、「ゴリゴリ邁進コースだったけど、育児期間中はじっくり助走コースにします」といった柔軟性も必要かな。状況も体力も同じではないのだから、期間とやるべきタスクだけ決められていて、自分のペースでクリアしていくのがいいんじゃないかと思いますね。研修医3年やったっていいじゃないですか。

専門医を取るまでのスケジュールだけじゃなくて、通常勤務だって選択肢がもっと増えればいい。「ゴリゴリ勤務コース」「ゆったり勤務コース」「通常コース」とか。で、そこで大切なのは給与もコースごとに差異があること。そうすれば、不公平感もなくなりますよね。

ワタシは医者になって18年位経ちましたが、昔はそりゃ凄まじい労働条件で無我夢中で働いていました。残業代?なにそれって感じです。でもこういうことで一律に規制がかかるのはおかしいんじゃないかと思います。働き方を一方的に改革されて医者も患者さんも困るのだけは避けたいですよね。ちなみにワタシは寝る間もないほど働いていますが働くのは辛いけど、すべては夢のため!と思うと、がんばれるんです。デブなのに今のところは健康なんですよ…。


超多忙なのに肌ツヤもいいまあやに、いつも編集部は驚かされてます。

■小林麻央さんの死去を受けて、民間療法、代替療法の是非が問われる。
若くして亡くなった小林麻央さんが行ったであろう治療方法、民間療法について様々な憶測が飛び交い、その是非について議論されました。

まあや:民間療法がダメだったんじゃないかとか、まあいろいろと言われていますが、医者のことをどうしても信用できないということって、あると思うんですよ。医者は神様ではないです。癌が治る!癌が消えた!という情報はネットに溢れかえってますから、いろんな状況があって藁をもすがる思いで救いを求めてしまうことを責めるのは酷かもしれません。

医者の立場で言えば、患者さんを説得するのにも限界があります。時間も限られているし、はなっから聞く耳を持たない患者さんもいます。医者として、出来うるすべてのことを患者さんには話し治療に当たっているはずですが、それが正確に伝わらなかったり、難しい話だときちんと理解されなかったりということがあるんでしょう。患者さんには判断材料がないのだということをちゃんとわかって接すること、基本的なことですがこれは忘れてはいけませんよね。地方だとなおさら、選択肢自体少ないですから。
まあ確実に言えることは、医者はプレゼンで負けますよね…。だって“あちら”のように断言できないですし…。

■新専門医制度を巡る混乱
joy.netでも議論してきましたが、新専門医制度による研修がいよいよ2018年4月から開始されることに。joy.netパートナーに聞いた2017年気になる医療ニュースでも堂々の1位だったのがこの問題でした。
(参考:女医の85.7%が反対!? 新専門医制度への女性医師たちの不安と懸念とは

 

<joy.netパートナーの意見(一部)>
・忙しい現場で混乱の元になっている。(小児科)
・専門医制度が大きく変わり志望科の変化が顕著にあったことは驚いた。(外科)
・新専門医制度だと、子育て中の女医は不利だと思った。これから専門医を取る若い女医さんたちが気の毒。(小児科)

まあや:新専門医制度については「連載第11回 新専門医制度について考える」で“脳神経外科学会は、この新制度に積極的に反対しているため実感が湧いてこない”と話していましたが、状況が変わってきて、実はワタシもちょっと焦っています。近い将来開業を予定していたり、実家の病院を継ぐ予定だったりする友人が多いですが、彼らも然り。学会に参加したくてもできない、手術症例数、医療行為以外の経験…、ワタシの今の働き方だと厳しいかもしれません。覚悟はしています。何を持って専門医かという話ですが、確かに日常的に患者さんを診ていなかったら感覚は鈍ります。ワタシはそのために釧路の当直医を続けているし、脳外科医を辞めるつもりはありません。

■研修医、医師の相次ぐ自殺。30代産婦人科医師、時間外173時間で労災認定。

まあや:医者の自殺、ワタシは病死だと思うんです。まじめだから、我慢して、相談できなくて、意見も言えなくて、鬱になって自殺する。やっぱり先ほど話したように、働き方が選べればいいんです。自分がどうしたいか主張する、積極的に意見を述べるということが苦手な人が多い、これは日本の横並び教育の弊害だと思います。

ワタシも本当に辛くて苦しい時代がありました。まとまって寝られないと、普通の人は病んできますよね。激務続きで、ほんの一時だけ病院裏口のソファーに寝転がっただけで警備員さんに怒鳴られたことも。そんなときに支えになったのが共感しあえる仲間でした。辛いときも仲間がいる、というのが心強いものなんです。これから医者になる人や、今辛い思いをしている人がいたら、仲間を作って、愚痴を言い合って、相談しあい、「疲れた。もう働けない」と言ってなんとかできる方法がないか同じ立場同士、一緒に考えるのがいいと思うのです。なんとか勇気を出して限界が近づいていることを周囲に伝えられると良いですね。

偉い人に対して一番望むのは、一番弱い立場の研修医が勇気を出して「疲れました」という言葉を受け入れてあげる環境を病院全体で作ることだと思います。
そして、もっともっと偉い厚生労働省の皆さま、めんどくさいと思いますが、もっと働き方の選択ができる制度を作ってください。たくさん働きたい人、そうでない人、そこそこ働ければ十分な人、選択して働くことを咎められない世の中にしてください。よろしくお願い申し上げます。

ちなみにワタシは今でもそのころの仲間との飲み会にしょっちゅう参加しています。1泊2日で仲間と飲むためだけに札幌や仙台まで行ったりしちゃいます。お酒飲めませんが…。

今年も話題は尽きず、今回はこの辺で。実はまあや、2018年にまた新たな挑戦をするそうです。どうやらお店もオープンするとかしないとか! 365日働きづめなのになぜか痩せないまあやの新しい1年に、編集部一同わくわくが止まりません。それではみなさん、よいお年を。まあやは今日も当直です。

 
皆さま、良いお年をお迎えください(Dr.まあや&joy.net編集部)

2018年、新しい職場にチャレンジするのもいいですね!

Dr.まあやの初のエッセイ本!

『カラフルデブを生きる
ーネガティブ思考を強みに変える女医の法則40』

(セブン&アイ出版)

コンプレックスがあるからこそ
人は成長できる。
挫折や劣等感が、
たくましく生きていくバネになる。
脳外科医×デザイナーとして
人生をカラフルに生きる
ドクターまあやの
エネルギーの源に勇気をもらえる一冊。

  Dr.まあや(折居麻綾先生)

1975年東京生まれ、岩手育ち。岩手医科大学卒業後、慶應義塾大学病院で研修を終え脳神経外科に入局。2010年にかねてから夢だったファッションデザイナーの道に挑戦しようと日本外国語専門学校海外芸術大学留学科に入学する。翌年にはロンドンのセントラル セント マーチン カレッジ オブ アート アンド デザインに約2年間留学しファッションデザインの基礎を学ぶ。帰国後は事務所『Dr.まあやデザイン研究所』を設立しアーティスト活動をスタート。現在は釧路孝仁会記念病院、東京・小平市のあかしあ脳神経外科の院長として非常勤勤務している。


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