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2018年02月16日

「医師×お笑いで医療のトランスレータ―を目指したい」
新時代の医師たち/Vol.2:医師兼お笑い芸人・しゅんしゅんクリニックP(宮本 駿)

「医局のピラミッドの頂点を目指す」
「神の手と呼ばれる手技を身につける」
かつて大多数の医師たちが目指していた“医師像”。それに背を向け、自分らしい軸と価値観で、医療に貢献しようと模索する新世代の医師たちが登場してきています。軽やかで大胆、それでいて緻密で誠実。これまでの「医療従事者」という枠では収まりきらない存在となりつつある「新時代の医師たち」の生き方に迫ります。

第2回は、初期研修修了後にNSC(吉本総合芸能学院)に16期生として入学、現在臨床の傍ら、お笑い芸人としても活躍中のしゅんしゅんクリニックPさんにお話を伺いました。

しゅんしゅんクリニックP(宮本 駿)

 

2008年群馬大学医学部医学科卒。2010年「東京臨海病院」にて初期研修修了後にNSC(吉本総合芸能学院)入学。よしもと初の医者ピン芸人として、ライブの他にSNSや動画サイトで医療ネタを発信している。医師としても週に3日、都内AGAのクリニックで外来を担当。

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———医師を目指したのはなぜですか?

父が精神科医、母が看護師なので、医者になれと言われたことはないですが、なんとなく自分も父のようになるのかなと・・・。自然に医学部を選んでいた感じですね。

――群馬大学医学部を卒業後、東京臨海病院にて初期研修をされました。

東京の一般病院を初期研修に選んだのは、大学病院より手技を多くさせて貰えるのかなっていうのと、後は東京に出て来たかったという点です。

研修医時代のエピソードは、夜間の当直で脳出血の人が来て、そのまま朝まで緊急手術になり、さらに次の日、産婦人科を回っていたので帝王切開の手術が3件あって、18時間くらいオペ室に入っていたことが辛かったです。後は循環器内科の先生がとても怖くて、よく怒られて注射器投げつけられそうになりました。
ずっと病院内にいるので、休日に久しぶりに日の光を浴びれると嬉しかったですね。

——お笑い芸人になると決めたのはいつごろ、どんなきっかけですか?

大学時代からM-1グランプリの予選を見に行くくらいお笑いが大好きでした。芸人ってなんてかっこいいんだ!と思っていました。初期研修が終わって将来を考えたとき、当初は消化器内科の道に進もうかと思っていました。実際に順天堂大学などいくつかの医局の見学にも行きました。でも、このまま医局に入ったら一生この同じ景色なんだろうなって思って。だから試しに道を外れてみたんです。だめだったら辞めて、また医局に入れてもらおうっていうくらいの気持ちで(笑)

それで憧れのNSC(吉本総合芸能学院)に入りました。入ってみたら、意外と好成績だったんです。だって、勉強はもともと好きだし、得意ですから。お笑いを細かく分析したり笑いの生み方の方程式みたいなものを考えたり、努力することは苦にならないので。それで続いちゃったんです。

——まわりの芸人さんや医大の同期はどんな反応でしたか?

NSCでは、最初は医者だということは内緒にしていました。だって自慢みたいになったら嫌だし…(笑)。でも、NSC内のネタ見せで普通のネタをやっても全然ウケないんです。周りは、本気でお笑いを目指してNSCにやってきた同級生たちですから、ネタを見る目も厳しい。それで講師に相談したら、なに?医学部出てるの?だったらそれをネタにした方がいいんじゃないか?ってことになり、それから医療ネタに変更しました。実はNSCはいろんなバックグランドを持つ人がいるんですよね。これまでは漫才が王道だったけれど、今はお笑いも多様化してきて、みんな個性を出しています。だから僕の医療ネタも笑ってくれます(笑)。

医大の同期も肯定的です。友達も似た者同士だったりするので、病院でダンスチームを作っている人もいるし、クラブのイベントに出てる人もいて。実は初期研修先の病院には研修後NSCに入ったなんてことは言えず、うやむやにして出てきたんですが(笑)、結局ばれちゃって、でも「がんばって」と言ってもらえてうれしかったですね。

——お父様は同じ医師として反対されたのでは?

いえいえ、むしろ「医者だけで生きていくのは大変だからよかったな」と(笑)。もともと医師にならなくてもよかったのにと言っていたくらいなので。そして母は一番のファンかもしれないですね。ライブにも群馬から来てくれて、きっちり駄目出ししてきます。若い子が多い会場で思い切り浮いてますよ(笑)

——臨床の仕事も続けているのですね。

週に3日、都内のAGAクリニックで外来を担当しています。他にも、健診の問診や予防接種、献血のスポットアルバイトもたまにしていますね。まわりの芸人さんにはずるいと言われます、お笑いへのハングリー精神がないって。ですが、臨床はずっと関わっていきたいという思いはあります。医師免許がもったいないし…(笑)。医師であるからこそ、芸人としての個性も発揮できるわけですし

AGAクリニックでは、「息子の髪が生えた!」と喜んでくれるお母さんや、「お辞儀ができるようになった!」という営業マンがいたりして、患者さんのそんな姿は単純にとてもうれしいです。目の前の人が笑ってくれるという点ではお笑いと共通しているんですよね。

——InstagramやTwitter、Youtubeなどのファンも増えてきましたね。

僕自身、インスタやTwitterが好きで、ヘビーユーザーだったんです。・・・34歳独身男性医師でインスタ好きってやばいですよね(笑)。でもそこで、ときどき医療関係者が情報発信しているのを見て、なんか違和感を感じたんです。医者ってまじめじゃないですか。だから科学的根拠に基づく情報とか、一般の人に説明する際にも専門用語を使っちゃうんです。あ、これは医者だわ〜って思ってしまう。特にSNSを利用している若い人たちには伝わらないな、って。

僕は以前コンビを組んでいて、相方が人間の中でも “無知”に分類される人だったんですが(笑)、シナプスとか知らないんですよね、びっくりしました。でも、そうか、普通の人は知らないか!って気づいたんです。医師である自分が、“普通の人”に、医療に関することをわかりやすく伝えること。それこそがやるべきことだって思って、そのツールがSNSだったり動画配信だったりしたんです。


「医者あるある」を歌って踊る「ヘイヘイドクター」。若手医師や医学生の間でじわじわ話題になっている。

——医師と普通の人のトランスレーター、ですね。ネタの反応はどうですか?

「おもしろい」ではなく「分かる」で笑いを取るってなかなかないんですが、共感してくれるのが医療関係者に多くて、それは僕としてもおもしろいです。

——先生のネタの中に「思ってるほど女医はエロくない」とありますが(笑)、女医のイメージって?

いや、ぜんぜんエロくないですよね(笑)。気が強くてプライドが高いイメージです。家系もあるのかもしれませんが、学歴重視とか、親に反対されたから彼氏と別れるみたいなことが今どきあるのかって驚きます。そこそんなにこだわる!?みたいなことがよくあります(笑)。

——女医さんはどうしたらモテますか…?

モテる・・・、そうですね、相手を褒めることじゃないでしょうか。女医さんって何でもできるし、普段から人よりちょっとすごいことをやっているんで、相手のちょっとした成功に気づかないのかもしれません。男性は基本的には褒められたい生き物なので、お世辞でもいいから褒めて欲しいです(笑)。ちょっとしたことに気づいてくれただけで、「あれ?女医さんだけどフツウの人じゃん」って思います。そういうフツウっぽさは好感度につながる気がしますよね、あとはやっぱりエロさ…(笑)。男っぽい人が多いので、女医さんって。

——先生のように医師でも臨床以外の道で活躍する人が増えてきました。これからの医師のあり方について、どうお考えですか?

医師の世界ってとても閉鎖的ですよね、上下関係とか。それってもはや“今風”ではないと思います。僕自身、上に立ちたいとか、偉くなりたいとか思ったことは一度もありません。やりたいことを好きにやればいいんじゃないかって。そういう意味で、医療業界はもっと外に開けた社会になった方がいいんじゃないかと思うし、きっとそうなっていくと思います。

患者教育というと大げさですが、予防医学みたいなことは、流行っているツールをどんどん活用して発信していけばいいんじゃないかなと。僕はインスタライブを使っていますが、Twitterでもいいし、若い人たちに伝わるようなもの、なんでもいいと思います。医者って常に患者を待っているイメージですよね、でも自分からもっと発信してもいいと思います。医療相談になるとちょっと違うとは思いますが、適度な距離感で。楽しんで笑いながら、気づけば医療リテラシーがあがっていたというのが理想ですね。

——実際に、特に女医さんの中には働きたくても働けない、でも医療で価値は出したいと思っている方がたくさんいらっしゃいます。とはいえ、何をどう発信していいかも難しいところです。

医者のまわりにあるもの、生活そのものが、けっこうインスタ映えすると思いますよ(笑)。医療器具の写真をのせるとか、論文を噛み砕いて紹介するとかそれだけでもおもしろそう。医療現場で当たり前のことも、普通の人は知らないじゃないですか。テレビで見るシーンは現実と違うことが多いですよね。例えば、オペ中は音楽をかけているとか、うまくいっているオペはおしゃべりしながら和気藹々とやっているけれど、やばくなると急に静かなるとか…。お腹を閉じながら「今日何食べる?」という話をしていたり…。そういうことって情報としてとてもおもしろいんです、知らない人にとっては。

おもしろいお医者さんもいるんだなって思われて損はないし、何よりやっていて楽しいと思いますよ。それで医療が身近なものになるのだとしたら、やっていいと思います。臨床で活躍することがすべてではないですよね、これは女医さんに限らずですが。

——肛門鏡とかぜったいインスタ映えしますよね・・・。

(笑)。とにかくインスタライブやってみてください(笑)。小泉元総理がX-JAPAN好きだって聞いたら「あ、ちょっと庶民派?いい人かも?」って思うじゃないですか、そんなイメージです。ぜったいおもしろいですよ、おすすめです(笑)

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文・ふるたゆうこ


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