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2018年04月24日

「出産後は家族>仕事」のママ小児科医が納得の勤務先を見つけるまで

妊娠・出産後もすぐに職場復帰。常勤医としてバリバリ仕事を続ける女医もいるなか、育児に重きを置くため、出産後は自らの希望で週1日の非常勤を選んだ小児科医のA先生。時に周りとのペースの違いに悩みながらも、「ちょっと頑張ればできそうなことは、チャレンジする」の精神で、一歩一歩前に進み、現在は無理のない形での常勤勤務も得た彼女。今回は、「家庭第一」のA先生が望む、キャリアと育児の両立が叶う勤務先に出会うまでのストーリーをお届けします。

\週1のアルバイトから仕事復帰していきませんか?【Dr.アルなび】

A先生
30代、女性。小児科専門医。中部地方の医学部を卒業後、関東にて研修および勤務。現在2歳のお子さんの子育てに奮闘中。夫は超多忙な生活を送る医師で、平日の家事や育児はA先生がメインで行う。

産後は仕事より家庭を優先
自ら週1回の非常勤を希望

地方大学の医学部を卒業後、関東の大学病院で初期研修を受けたA先生。同大学病院での後期研修修了間近に、妊娠していることがわかった。その後は、以前から続けていた週1回の非常勤のアルバイトのみを出産まで続けた。出産後も「子どもが小さいうちは、子育てに支障のない範囲で仕事を続けられたらいい」くらいの心積もりだったそう。

A先生は元々マイペースでな性格で、「子どもができたら仕事を最優先にバリバリ働くより、家庭を一番に考えたい」というタイプ。

「研修中に、私自身が少し疲れてしまったこともあり、常勤はしばらくいいかなという考えでした。夫も『体調を崩すよりは、自分のペースでやればいいし、常勤に戻りたくなったときに戻ればいい』と理解してくれました。私自身も自分の性格上、仕事をフルにしながらでは、自分の納得のいく子育てができない気がして、産休直後の常勤復帰は全く考えませんでしたね」

しばらくは、育児と家事に専念。子育ての喜びを感じながら、穏やかな日々を送っていた。それから約半年が過ぎた頃、以前にお世話になった先生から週1回の非常勤の仕事の声がかかる。子育てのペースもつかめてきていたA先生は、これを機に小児科医として仕事を再開する。

「しばらくはそこで週1回だけ診療をしていたのですが、臨床から長く離れてしまうと忘れてしまうので、大学の医局にも相談しながら、非常勤で臨床ができる場を探し始めました。でも、なかなか見つからず、医師専門の人材紹介会社を利用してみることにしたんです」

自分のペースで仕事を再開
細々とでも続けることの大切さを実感

「人材紹介会社はインターネット上のやり取りだけ」というイメージがあったというA先生。「メールだけでは自分の希望を伝えづらいという不安があったのですが、相談をしていた会社の1つのエムステージの担当者に最初に『お会いする時間をください』といわれたのが意外でした。実際にお会いした担当者の方はすごく話しやすくて、今後仕事を探すうえで頼りになりそうだなと思いました」

A先生の希望は、総合病院の小児科で週2日程度の非常勤医。通勤は約30~40分かかっても構わないが、院内保育があることが条件。できれば長く勤められる所がいいが、今後第二子の妊娠・出産で一時中断もある得るため、常勤ではなく当面は非常勤を希望していた。

すべての条件をクリアする病院を紹介されたのは、登録からわずか1カ月後。病院との面談へと進み、とんとん拍子で現在勤務する病院への採用が決まった。

エージェントとの出会いによって、こんなに短時間で希望通りの勤務先を見つけることができました。担当者の方が病院側に直接聞きにくいことを質問してくださり、病院とのやり取りをすべてやってもらえたことが、とても有り難かったです」

久々の現場復帰で緊張もあったが、実際に入職して感じたのは、この病院の雰囲気の良さだったという。他の医師にも何でも相談しやすい環境で、初めての子育てと仕事の両立は順調なスタートを切ったように見えた。しかし…。

「最初は本当に忘れていることが多くて(笑)、思い出すのにすごく時間がかかりました。休んでいる間に、薬の量や名前も驚くほど忘れているんですよね。使う薬はある程度決まっているので丁寧に調べたり、自分なりにまとめたりして、勉強し直しました。ただ、患者さんとのやり取りは、割とスムーズに入れたのではないかと思います。出産まで週1回でも診療を続けていたのが良かったのでしょう。細々とでも何かしら続けていることが、医師の仕事を続ける上でとても大事だと実感しました

小児科医という仕事柄、子どもを持ったことがプラスに働いていると感じることは多いという。「小さなお子さんを連れて受診され、ちょっと疲れているお母さんには、自然に声掛けができたり、育児の大変さを共感できたりするのは、同じ悩みを抱える母親だからこそです」と優しく微笑む。

常勤復帰で芽生えた学びへの意欲

その後、病院から常勤の打診があったのは、勤務開始からわずか2カ月後のこと。面接でも常勤の話題も出ており、「いずれ子育てが落ち着いたら…」という心構えはあった。しかし、

「2カ月後というのはさすがに驚きましたが(笑)、ここは子育てしながら働いている女性の先生も多く、仕事と家庭の両立に理解がある病院です。今後また子どもができても長く続けられるのではないかと思い、お引き受けしました。2人目ができた時に常勤に初めて復帰するよりは、1人目で経験しておいた方が、次の復帰のハードルが低いかなという気持ちもありました」と打ち明ける。

現在は、週4日は病院で16時45分までの時短勤務。もう1日は元々勤務していた医療機関で週1日診療をしている。土日は休みで、家族との時間や、家事や休息の時間に当てているという。

非常勤から常勤になって大変なのは、16時45分までの契約とはいえ、定時には帰れないことだ。夫は多忙な医師で、帰宅後はA先生が食事の準備から、子どものお風呂、寝かしつけまですべて1人でこなさなければならない。「もう少し早く帰れれば、心も体も楽なのに…」というのが本音だろう。それでも「主人の病院の院内保育に子どもを預けるようになってからは、朝だけでも送って行ってくれるので助かります」と夫への感謝も忘れない。

そんな家族のことを一番に考えるA先生が、たとえ帰宅時間が遅くなっても必ず出たいというのが夕方の回診だ。

「そこでいろいろな患者さんについてディスカッションするのですが、これがとても勉強になるんです。私は後期研修修了後に、すぐに非常勤だけになってしまったので、以前からもう少しいろいろ経験を積む方がいいだろうと思っていました。仕事というよりは、後期研修の延長のような感じで、自分の勉強という意味合いの方が大きいかもしれません」

働き方を選べる病院に出会い
自分は自分のままでいいと思えた

A先生がいつも心がけているのは、「ちょっと頑張ればできそうだと思ったことは、チャレンジすること。あまり大変だと続かないので、“ちょっと頑張ればできそう”というのがポイントです(笑)

今の生活も決して余裕があるわけではない。しかし、家庭を大事にしながら、将来的に外来診療を週何回かのペースで続けていきたいA先生が、今後も納得して仕事をするためには、今が小児科医としての経験値を上げるチャンスでもある。それがわかっているから、帰宅時間が遅くなっても、今自分ができる限りの努力を続けているのだ。

仕事はもちろん大事。でも、バリバリ働く女医たちの姿を見ていると「子どもをじっくり見られる時間を大切にしたい」という自分のような働き方で、本当にいいのかと悩むこともあるそうだ。

「私の周りには、私ほど働いていない人はいないです(笑)。出産後もすぐに復帰する人が多いですね。私はそんなにあれも、これもできるほどタフではありません。細々とでも育児と仕事を両立できている今の生活にも満足しています。メディアなどで紹介される方は一人何役もこなすスーパー女医ばかりですし、周りにも私のようなタイプはいません。

 

でも、全国には私と同じように、子育て中は非常勤だけでいいという先生もいらっしゃるかもしれません。この記事を読んで、自分と同じ考えの女医もいるんだと、少し安心してもらえたらうれしいですね」

A先生が勤務先の病院を働きやすいと感じる理由は、自分の望む働き方を許してくれる風土があること。例えば、小児科には4人の常勤医がおり、そのうちの1人が体調不良などで突然休みを取っても、残りの3人でカバーするため、誰も負い目を感じることがないという。

「それぞれが自分に合った働き方を選べる。そんな病院があることが目からうろこでした。この病院では女医会と称する会も時々開かれます。子育てをしながら働く先生方と初めて本音の話ができる機会ができたことも、私にとってはラッキーでした。本当にいい病院に出会えたと思っています」

自分を認めてくれる居場所を見つけたA先生は、これからも自分の道をマイペースで歩んでいくことだろう。キャリアをゼロにしなければ、自分の道は自分で選べる時代。100人の女医がいれば、100人の道があっていい。
文/岩田 千加

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