E1f85128 4649 400e aa45 721587cdbb06連載・コラム
2018年05月28日

院内ハラスメントについて思うこと。/Dr.まあやの「今日も当直です」 第23回

今年に入って、医療現場に限らず、日本社会のあっちこっちでセクハラに関するリアルな告白記事がにわかに拡散され、今まで声をあげられなかった人や、ハラスメントも文化のうちだと諦めていた人たちの心をざわつかせている・・・。今回のテーマは、「ワタシは女として見られないからね〜」と高笑いのDrまあやが考える院内セクハラ、パワハラについて。

下ネタ上等・・・!(でした、すみません)

セクハラ・・・。ワタシを知ってる人に「お前がセクハラを語ってんじゃねーよっwww」と突っ込まれそうな・・・、そんな覚悟で書いている。

ぶっちゃけワタシは完全にその世界に毒されたタイプだ!下ネタは好きだし(!)、大学までずっと共学で男友達が多かったこともあって、男どもが話しているようなくだらない下ネタ、ゲスな言葉遣いなんかに驚いたことも嫌悪感を抱くこともなくなってしまった・・・。ちょっとここでは書けないようなこと・・・、くだらないことで一緒になって笑い転げてきてしまった。(編集部注:ちょっと例をあげようと思いましたが、揃いも揃って言語化するのがはばかられるようなシロモノばかりで自粛いたしました)

男性医師によるセクハラの矛先は女医よりも女性看護師さんに対するケースが多いとは思う。従って、女医はセクハラを受ける、ということよりもセクハラされている場面を見ることの方が多いかもしれない・・・。

一般的にセクハラは、見た目が良い方の被害が多く、パワハラは気の弱そうな人が狙われやすいと思われる。一方で、すべてのケースではないが、加害者の見た目、性格、日常の行動の個人差で、「ハラスメント」として捉えられてしまう人とそうでない人とがいるだろう。

幸い、私はセクハラを受けるようなビジュアルでもメンタルでもなかったため、そのような辛い思いはしていない。パワハラ的な、理不尽な怒られ方をされたことがないわけではないが、1年おきに病院が変わって、環境が変わるので、長く苦しめられることはなかった。逆にセクハラやパワハラをしてきた可能性は、ないと思うのだが、、、、周囲の人たちに聞いてみないとわからない・・・(加害者ってのは自覚がない場合があるわけで・・・)

医者になってから、特に外科をローテーションしていたときなんかは、これがまた本当に毎日、食事中も仕事中も下ネタ多めのしょーもない話三昧。嫌悪感というより、どちらかというと飽きてしまっていたような・・・。もう、そんなくだらない話はいいから帰って寝かせて欲しい、病院に戻って残ってる病棟業務をさせてくれー!そう思って聞き流していた。改めて、“フツーの女子”がこの環境で過ごしていれば、ストレスになるだろうなあと思うし、男子は男子で、極限のストレスの中で下ネタでも言って無理にでも笑う状況を作らなければならないほど辛かったのかもしれないなぁと40を超えた私は思う。

入局の際、脳外科は男社会で、ワタシもそういう世界だとわかって入ったし、他の外科の女医さんたちを見ていても、ハラスメントでくよくよしている女医さんはいなかった。正直、そんなことを気にしている暇がなく、忙しい環境の中で男性社会の中に自分を適応させていたのかもしれない。「そういう世界だから」と割り切っていたワタシ自身も、そんな男性社会の文化を継承することに一役買ってしまっていたのかもしれない。後に続く後輩たちのことを思えば反省・・・。


研修医時代、「エッセン」と呼ばれる飲み会が辛かったです・・・。


チーフレジデント時代、時代は流れて、逆に飲み会が楽しくてしょうがなくなっていて、同じような研修医の犠牲者が生まれていた・・・。申し訳ございません・・・。そして、太ってしまっている・・・。

パワハラは余裕のなさから生まれる…?

パワハラについても、前述のとおりワタシは特に悩んではこなかった。しかしこれも、実際線引きは難しいこともあるんじゃなかろうか・・・。

加害者側の理不尽な叱り方や要求、いじめのような行動などがハラスメントとして問題になることが多いが、日常的にちょっと注意したり怒ったりしたことが、怒り方によってパワハラと受け取られてしまうこともあるだろう。一方で、怒られて仕方ない状況なのに「パワハラだ!」と逆ギレされたり。多忙すぎて双方心に余裕がなく、余計な感情が挟まってパワハラにつながる言動が起きてしまうこともあるのかなぁ、と推測される・・・。

脳外科医としての修行の途中で、違う世界に半分足を突っ込んでしまったワタシが言うのもちょっと憚れるが、ワタシ自身はやはり環境に恵まれていたと思う。大学院の研究が失敗に終わり、落ち込み、挫折。そして、ファッションの世界で挑戦したいと血迷った発言をしたときでさえ、「医局派遣で地方に行きたくないなら、都内の病院で脳外科医を続ける、というのはどうか」と教授から提案してくれたこともあった(それでもロンドンへ行ってしまったわけだが・・・)。

兎にも角にも、現在でも医局やOBの先生方にはお世話になっていて、こんなワタシのこんな状況に目を瞑ってくれていることに感謝しかない。他大学脳外科医に「うちの医局だったら、ファッションの世界に〜、なんて言ったら、破門になってるかもしれない」と言われたこともある。ひょっとしたら、内科や産婦人科のように女性が多いところだったら、逆にトラブルに巻き込まれていたかもしれない。

女子目線で語ることができなくてほんとに申し訳ないのだが、女医さんの中には、女子校出身の育ちのいい真面目なお嬢さまタイプが多いから、まあそりゃびっくりする人も多いだろうな・・・と。そんな人に拒否の意思表明をさせられない環境だったのは確かに良くない

くどいようだが、セクハラは許されないことだというのは前提としてありつつ、とはいえ女医さんの中にも数は多くないかもしれないが、女を武器にしている人もいたと思う。男性の医師にモテたい、結婚したい、手技を教わりたい、自分の望む環境での仕事を得たい、などなど。

やられて嫌なことは自分もしない。あたりまえのことを今一度。

「ハラスメント」という言葉が広く知れ渡る前の環境において、それを当たり前のようにうけていた世代が上司の立場になり、ふっと気がつくと、自分も同じような理不尽な言動をしてしまったりしていることもあるかもしれない。被害者だった人が時を経て加害者に変わってしまうということだ

「自分たちは理不尽な言動を耐え抜いて今がある。だから次世代の人々もそれを我慢しろ」という考えは捨てて、自分たちが嫌な思いをしたことは、次世代には残さず、お互いがどのような環境で働くのがベストか考え、変えていく必要があり、今まさに世の中がその時期に来ているのかもしれない。
万が一、余計な言動を起こしてしまっても、早い段階でどんな立場の人間であってもちゃんと謝ることができるようになると、許容してもらえるチャンスもあるのでしょう。

「脳ミソ」を使わないくだらない会話がしたい…

相手にセクハラと思わせるような言動はよくない、もちろんそれはわかる。けれど、毎日毎日緊張感のある中で働いていると、そんなどうでもいい話、「脳ミソ」を使わずに話せる馬鹿げた会話で笑いあうことで、気持ちがリセットされるようなところはあったかなと思う。そんなことで結束力を固めるということは、なくはないのかな、と。よく考えると、女子同士で話しているときに、男性以上にえげつない会話をしていることもある(笑)

しょーもない会話をするにも、TPOをわきまえ、とにかく空気を読んで、図に乗らないように、自制心を持って慎重に!ってとこだろうか。

かくいうワタシは去年の忘年会でもしっかりと腹を出してしまった・・・。そんなワタシがセクハラを語るのはやっぱり不相応だが、いつも真剣な顔で働いている同僚が笑ってくれるのはうれしいし・・・、ヘタな芸をやってもつまらないし、いいじゃんか!って思ってしまう・・・。すみません・・・。

■イラスト/Dr.まあや 構成/ふるたゆうこ

 

Dr.まあやショップ情報
Dr.まあやデザイン研究所、待望のショップOPEN!都内での外来、釧路での当直以外の時間はお店にいる確率高し。ミシンをガタガタしているDr.まあやに会えるかも!?
場所:東京都文京区千石4-22-8千石マンション1F

オンラインショップでは、待望のスクラブ販売もスタート!
http://drmaayalabo.fashionstore.jp/

 

Dr.まあやの初のエッセイ本!

『カラフルデブを生きる
ーネガティブ思考を強みに変える女医の法則40』

(セブン&アイ出版)

コンプレックスがあるからこそ
人は成長できる。
挫折や劣等感が、
たくましく生きていくバネになる。
脳外科医×デザイナーとして
人生をカラフルに生きる
ドクターまあやの
エネルギーの源に勇気をもらえる一冊。

 Dr.まあや(折居麻綾先生)

1975年東京生まれ、岩手育ち。岩手医科大学卒業後、慶應義塾大学病院で研修を終え脳神経外科に入局。2010年にかねてから夢だったファッションデザイナーの道に挑戦しようと日本外国語専門学校海外芸術大学留学科に入学する。翌年にはロンドンのセントラル セント マーチン カレッジ オブ アート アンド デザインに約2年間留学しファッションデザインの基礎を学ぶ。帰国後は事務所『Dr.まあやデザイン研究所』を設立しアーティスト活動をスタート。現在は釧路孝仁会記念病院、東京・小平市のあかしあ脳神経外科の院長として非常勤勤務している。