46812dca 3ba6 42d6 bfc7 0eb26995e79b連載・コラム
2018年06月12日

開業医とIT【院長ママのパラレルな日々  第24回】

目ざましく発展する医療のIT化。とはいえ、開業医の現場、医師会の現場を覗いてみると、まだまだ苦労も多いようで・・・。プチトラブルの数々に思わず共感しちゃうかも!

我が子が中学に上がったとき、電子辞書を買ってください、と学校側から言われました。
『は~?紙で苦労して単語を探していくから覚えるのよ!』
と軽く反抗しておりました。いわゆる辞書で英単語を引くと前後の熟語や文章などで入ってくる知識がとても面白いし大切なのよ!と力説していましたが、どうもそういう時代ではないらしい。

これからは、有用な情報だけをインターネットの無数の情報から引き出せるかの能力が問われる時代になっているんだよ』

と大学教育に関わる友人から言われた時は、目からうろこでした。我々親世代が考え方を変えていかないといけない・・・らしい。

そして医療業界でも、IT化の波が押し寄せてきましたね。若いお医者さんは電カルが当たり前かもしれませんが、私はまだまだ紙カルテ・ハンコを利用していた時間の方が長い世代です。

電カルから始まり、ロボット手術の専門病院ができてきたり、本格的に遠隔医療の診療報酬も始まってきたり、かなりあわただしくなってきています。当院でも2年前に電カルを導入しましたが開業以来の紙カルテもいまだに電カルと一緒に回っている始末。会計での算定の確認や診療終了の確認などのためには、ダブルチェックがてら、紙カルテも回らないと終了しないのです。

『電カル閉じてるじゃん!』(←診療が終わって会計に回したということ)

と私が騒いでも

『紙カルテが回ってないから会計できません!』

なんて事務長に言われてしまうと、悔しいけれど紙カルテを回してないこっちの失態のような雰囲気になってしまう状況・・・。

実際、当院は開業当初からのカルテが事務長の一存で全部保存されており、まさに40年分のカルテの山が、クリニックのあちらこちらに存在しております…(汗)。断捨離好きの私には厳しい環境です。大きな地震がきたらかなりまずい状況です。

数年前、医師会からiPadが支給されました。それは、医師会の連絡をIT化しようという試みで、郵送やファックスで送っていた連絡をメールで送るために支給、という事でした。実際、紙代などを考えると、かなりのコストダウンになることは間違いないのでしょう。組会でも、LINE/FacebookなどのSNSもうまく利用し災害に備えたり、情報共有したりしていますが、グループラインに組の医師たちを登録するだけで、ひと騒動だったりするのです。組会終了後、組のまあまあ若人(私)が、ベテラン先輩医師たちのスマホを見ながらフリフリして、ご招待などしていったりして(笑)!何とも微笑ましい構図です。

とは言っても、組会開催連絡はいまだファックスを流さないといけない先生方も数人にいらっしゃり、完全IT化はやはり不可能。毎回、組長がメールとファックスを流す手間の辛さを語り、議論にはなるのですが、どうしても一本化できない議題になっています。

クリニック側はというと、新規開業される先生方はかなりIT化されたきれいなクリニック、しかも予約もスマホ対応になっている様子。外来予約のIT化は、お年寄りにはかなりストレスのようです。ほかの科の受診を進めた患者様が、あそこは混んでいるし、予約優先だからいやだ、と駄々をこねたので、外来中に私が診療情報を作成しつつ、スマホで予約を取ってあげたことがありました

地域では電カルで患者情報を共有しようという動きもあります。病院のカルテを開業医の私が見れるというシステムです(実は私はこれを使いこなせておりません)。

ある病院の先生は、ご厚意でメッセンジャーを利用して、私とホットラインをつないでくださいました。私が手術適応と考える症例の画像を送ったりして、直接相談できるようにしてくださりました。病院外にいらっしゃっても対応してくださるので7時近くまでやっている開業医には助かります。これも先方の先生のご厚意以外の何物でもないのですが、画像が治療に影響を与える整形外科では、こういった情報交換ができる手段は以前に比べとても有用です。

ドラマ『ブラックペアン』を見ていても、医療のIT化が一本化することはまずありえなさそうな雰囲気(笑)。ITを使いこなすのは人間ですので、どうしてもマニュアルな部分は残るのでしょうね!

様々な電カルに慣れるためにアルバイト探しなんて手も!?/Dr.アルなび

井上留美子 (いのうえるみこ)

1971年東京生まれ、東京育ち。聖マリアンナ医科大学卒業・研修。整形外科学教室入局。長男出産をきっかけに父のクリニックの院長となる。日本整形外科学会整形外科認定医、リハビリ認定医、リウマチ認定医、スポーツ認定医。

自分の健康法である笑うことをモットーに予防医学としてのヨガに着目し、ヨガインストラクターに整形外科理論などを教えている。シニアヨガプログラムも作成し、自身のクリニックと都内整形外科クリニックでヨガ教室を行う。現在は二人の子育てをしながら自身のクリニックにて院長業務を行っている。 

 

\\医療ドラマフリーク、留美子先生の連載//
「本能で楽しむ医療ドラマ主義宣言!」

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