23b613f8 45d7 4c66 a0b3 1d92c39fb795連載・コラム
2018年07月31日

私、スターに宝塚メイクしてもらう/Dr. ミナシュラン! 第16回

生きているといろんなことがある。
元宝塚スターとお友達になった! というだけで十分インパクトのある出来事であろう。

「ランチに行きましょう〜」と誘い合って普通にランチを楽しんでいる・・・・・・が、時々発せられる隠しきれないそのオーラに、特に宝塚ファンというわけではないのに、ドキっとさせられることがある。

ところがなんと!
私、この度、その元スターに、宝塚メイクをして頂いた!!

その「宝塚メイク」が、あまりに私の心を揺さぶったので、そのことを書いてみようと思う。お時間のある方は、ぜひお付き合いください。

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きっかけは、親友しまぽんが台湾に遊びに来たことだ。
しまぽんに台湾で何がしたいか聞くと、「変身写真を撮りたい!」と言った。

・・・・・・ん?
・・・・・・変身写真?
・・・・・・しまぽんが・・・・・・?

その時、私の脳のニューロンで、何かと何かが繋がった。

「ねえ、実は友達が元宝塚スターなんだけど、もし宝塚メイクしてもらえたら、それで写真撮ってみない?」
「えっ、それ、むしろ普通の変身写真より全然興味ある! やる!」

しまぽんは、私の友人の中で一番のイケメン女子だ。174cmの長身でスタイル抜群、ショートカットでボーイッシュ。
と、外見は最高にイケメンなのだが、中身がこれまた、なんともイケメンなのである。

例えば、今回台湾に来るとき、私の子ども達へのお土産、と、かき氷機を買って来てくれたのだが、そこにシロップを4本(ブルーハワイ、メロン、いちご味は2本)も買って来てくれるところが、しまぽんのイケメンさである。(重いのに、本当にありがとう!)
しまぽんは、かき氷機を回して喜ぶ子どもの笑顔を想像する力のある女子なのだ。そして、その想像力が、周りの人を笑顔にする

だから、”バレンタインデーにはチョコを渡すのではなくもらってしまう系女子”っているけれど、しまぽんはまさに、そういう人で、これまで「結婚したい」と何度も女子から言われ続けてきたそうだ。なんというイケメン女子!

そういう訳で、「しまぽんが来る」「変身写真を撮りたい」となったとき、私の脳のニューロンに否応なく電位変化が生じてしまい、
「しまぽんが宝塚スター(男役)だったらどんな感じだろう」
その姿、見てみたい!
と思ってしまったのだ!

そう思ったもう一つのきっかけは、元宝塚スターとの会話にあった。元宝塚スター、お名前は真野すがたさん

真野さんも私と同じく、台湾で子育てしておられるのだが、以前お話ししていて、「台湾の変身写真と宝塚のメイクを組み合わせたら面白そう、やってみたいな」と言っておられた(のを、私がちゃっかり覚えていた)のだ。

「ねえ、しまぽん、ダメもとでお願いしてみてもいい?」
「もちろん!」

とは言っても、真野さんは小さい赤ちゃんがおられて、育児も大変なご様子。本当にダメでもともと、と、真野さんに連絡してみると、

「嬉しいです、もちろんやりますよ〜! 張り切っちゃいます(にこにこ)」

とのお返事!

えっ?
良いの?!

・・・・・・ここで、私は事の重大さに気付いた。宝塚スターに宝塚メイクして頂くって、実は、ものすごい(宝塚ファンならすでにサチュレーション低下しているような)シチュエーションなのではないだろうか!

「しまぽん、OKだって、きゃー、どうしよう!」
「うひゃあ!!! これ、すごいことなんじゃない?!」

二人は(特に宝塚ファンでもないのに)舞い上がり、しまぽんは2kgダイエットし、私は台湾の写真修正技術に期待しダイエットしないまま、その日を迎えた……!


               ◆ ◇ ◆

ついに、その日がやってきた!

・・・・・・とは言え、この後何が起きるか、私たちはまだ知らない。「宝塚っぽい変身写真を撮るんだー」というぐらいの気持ちで、私たちは、変身写真館に足を踏み入れた。

スター・真野さんは、もう来られていた。

「おはようございます」

うっすらメイクなのにその笑顔は眩しくて、(どうしてこんなに美しい方がメイク担当で、私としまぽんがメイクされる側なのだろう)と、不条理さを覚えた。
が、もうメイクしていただくことは決まっているのだ!
まな板の上の鯉!

私達は、変身写真館から「宝塚っぽい衣装」を選び(男装するしまぽんは、男性の婚礼写真向けの衣装から選ぶ)、試着してチャックが閉まることを確認し(変身写真館はストライクゾーン広い)、そしてついにメイクが始まった。

まずは、私のメイク。
男役スターだった真野さんだが、今日は娘役メイクをしてくださる。

「娘役の子に見せたら、ダメ出しされちゃうかも」とはにかんで言いながら、メイクをする手はテキパキと動く。

ドーラン、ピンクでつけるシャドウ(地紅、というらしい)。意外で面白かったのは、アイメイク。
「ビューラーとマスカラは自分でやってくださいね」と言われて、(あれ、アイメイクって一番大事なんじゃないのかな? 自分でやっていいの?)と思ったが、要は大事なのはつけまつげなので、自分のまつげは「下がって来なければいい」とのこと。
これまでの人生、「(自分的)フルメイク!」という気合いでマスカラを塗ってきたけれど、この世界では自分のまつげなんて、鈎引きしてるお腹の脂肪ぐらいの意味合いしかないのである。

チップで二重をくっきりさせて、口紅を塗ってもらったら……、

 

鏡の前に、別人が!!!!!!!
どうしよう、私、娘役になっちゃった♡

しかし、本当の感動は、こんなものではなかった。 

               ◆ ◇ ◆

 メイクを終えた私は、衣装を着て、ヘアセットへと進む。上手に髪の毛をセットしてもらいながら、隣でメイクを始めたしまぽんを見ると、

「えっ?!?!?!」

 そこには、この世のものとは思えない美しい人が、いた。

「し、しまぽん……?!」

 メイクはまだ、途中だった。

 「や、や、やばい・・・・・・!!!

 美しすぎて、息が止まりそうになった。

まだメイク途中で、服は(私が貸した)ユニクロパーカーだし、口紅もヘアセットもまだ。なのに、まだ途中のメイクの力によって、しまぽんは完全なる美男子に変貌していて、私はその美しさに、腰も骨も度肝も魂も、全部抜かれてしまった

「カッコよすぎるよ……!」

 本当に、プロのメイクは、こんなにすごいのか、と思った。
しまぽんが、光っていた。
私の知らない、そして、しまぽん本人も知らない、新しいしまぽんだった。

 「しまぽん、美しいよ麗しいよ……

しまぽんには申し訳ないけれど、私は、しまぽんのことを「ボーイッシュで可愛い」とは思っていたけれど、「美しい、麗しい」と感じたことは、あまりなかった。なのに、そこには、厳然たる「美」が、生み出されていた!

写真館の職員さんがしまぽんを見て、「この方は、(宝塚)スターの方ですか?」と尋ねて来る。
私は、(ふふふ、本当は、メイクをしているこの方が、スターなのですよ)と心の中で思いながら、「違うんですよ」と答えた。
※ 写真館には、「宝塚風の撮影をしたいので衣装とセットをお借りしたい、メイクは自前で手配します」とお伝えしてあった。

変身写真館にたまたまいた日本人のお客さんが、「とっても素敵ですね、・・・・・・女性の方ですよね?」と恐る恐る聞いて来たのには、大笑いした。

それにしても、美しかった。


衣装を選ぶ姿さえ美しすぎる

「美」は、生み出せるのだ、と思った。
まるで魔法みたいなんだけど、これはお話の中に出て来る魔法使いの魔法ではなくて、例えばウォルト・ディズニーがかけることができる種類の魔法。

興奮してそんな話をしたら、しまぽんが言った。「テレビでね、『ディズニーは夢と魔法っていうけど、それを可能にしているのはたくさんの人のイマジネーションや、情熱や、技術なんだ』みたいなことを、ディズニー好きな俳優さんが言ってたの思い出したよ、これってまさに、その技術だよね」

「すごい!!」
すごい!!!!!

               ◆ ◇ ◆

そして、写真撮影。私は、あんまりに完璧で美しいしまぽんに見とれてしまって、「スターと一緒に記念写真を撮ってもらうファンのおばちゃん」の気持ちになってしまう。
「隣にいるのが私ですみません!」
そう思ってしまうほど、しまぽんは美しかった。

 

(素人への指示に慣れた変身写真館のカメラマンさんに指示されるままに)ポーズを撮りながら、しまぽんがきらきらと、輝いていた。新しい自分に出会った人は、こんな顔をするんだ。私はただただファンの心境で、しまぽんをみつめていた。

「メイク」という魔術が、いや技術が、あるのだ。
その技術は、人をこんなにも輝かせる。

なんてこった、と、私は思った。
医学なんて、人の病気を型にはめて、それを治すことしかできない。
なのにメイクは、こんなにも人を輝かせることができる。

真野さんが、その舞台人生で培ったメイク技術。そのすごさは想像を絶していて、私はもう本当に、ズドンと大砲で打たれたように感動し、打ち拉がれた。

こんなにすごいことだとは、思っていなかった。メイクって、舞台芸術の中の、ほんの一部にすぎない、と思っていた。芸術の核心はきっと、ダンスとか歌とかストーリーとか、そういうところにあって、メイクはそれを助けるだけなんじゃないか、と。

だけれど、そのメイクは、それ単独で、「ボーイッシュで可愛い」しまぽんを、「絶世の美男子」に変える力がある。人をきらきらと輝かせる。
それって、ものすごいことだ。

そして逆に、全体像を想像して、怖くなった。
メイクだけでこれだけ凄い世界だ、とすると、全体の舞台芸術には、どれだけの経験や技術、努力が注ぎ込まれているのだろう、と。

そして、卑近な結論で申し訳ないけれど、心にこう誓った。

「私も、このメイクと同じ位いい仕事をしたいな」(ん? 連載第1回にも同じような台詞が……)

               ◆ ◇ ◆

生きているといろんなことがある。
新しい世界、ホンモノの何かに出会う……、って、本当にすごいことで、それは人の胸を満たして、新たなパワーの源になる。

出来上がった写真を見て、真野さんがこう言った。

「凄い〜! めっちゃ素敵ですね! 宝塚と台湾変身写真館のコラボが良い化学変化を起こしている〜!」

真野さんにとっても、化学変化は新鮮だったようで……、実は大それたことをお願いしてしちゃったんじゃないかとドキドキもしていたのだが、その気持ちも晴れた(しまぽんのおかげ!)。

最後に、翌日受け取れたアルバム。

写真館の方が勝手にチョイスした写真でデータCDが作られていたんだけど……、そのCDが、本物の舞台DVDの初回限定版、みたいで面白くて、しまぽんは爆笑!
(私は爆笑じゃなくて、「美しすぎる! これ欲しい!」って真剣にファンモード!)

すっかり宝塚メイクの虜になった私たちは、残り数日の台北観光を「宝塚スターの休日」という設定で過ごし、お腹いっぱい楽しんだのでした!

<おまけ>
真野すがたさんのブログにも登場しちゃいました! 本当に恐れ多い……!
https://ameblo.jp/sugata-mano/entry-12387209787.html

■プロフィール:Dr.ミナシュラン
四国生まれ、自治医大卒業。食べる事が好きで、本名「みな」とグルメの「ミシュラン」を掛けて「ミナシュラン」と呼ばれている。台湾人医師と結婚し、義務年限後は台湾で育児中。台湾スイーツの頂点は、夏はマンゴーかき氷(冰讃[ピンザン])、冬はチョコレート小籠包(鼎泰豊)で決まりだと思っている。春と秋については鋭意研究中。

 

真野さんの影響で宝塚に興味を持ち、今のところ漫画「かげきしょうじょ!」にハマる。漫画で「10年に一度の大運動会」というのがあったので、「そんな漫画みたいなイベント〜、ないない」と思ったら、本当に存在すると知ってびっくり。「白目に光」という話も、話半分で読んでいたら、今回の撮影で真野さんが「白目が映えてますね!」とつぶやいておられて、「それ、本当に大切なことだったんだ」とびっくり。目下、秋の台湾公演と漫画の新刊発売を心待ちにしている。

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