88fd2feb b5c6 4760 b497 2033a7d9e089連載・コラム
2018年08月17日

緊急寄稿:消化器外科医ママ、さーたりさんが考える東京医大問題/外科医ママが漫画でメス! 女性医師の”あるある”事情第13回

大きな議論を呼んでいる一連の東京医大問題。ついに、消化器外科医さーたりさんがその思いを寄せてくださいました。大学医局に籍を置きながら、3人の育児にも奮闘するさーたりさんは、まさに東京医大が懸念を示す当事者クラスター。本音ベースの思い、疑問、決意に共感する先生方も多いのではないでしょうか。

 

・・・なんて支離滅裂なアイデアいかがでしょうか。

巷を騒がす東京医大入試の話題。私は大変ショックを受けました。

「裏口入学がある」「多浪は減点」
続々と出てくる調査結果―そして「入試での男女比の調整」。どれも「とっくに知ってた」内容でした。

ショックを受けたのは、内容そのものではなく、
このニュースに心から怒り、悲しみ、嘆く人が世の中にたくさんいること
医療関係者ほど肯定的な意見が多いこと
私自身も無意識にそれを差別だと思うに至らず「そういうものなんだ」と受け入れ染まっていた事実、にです。

この問題は男女差別だけでなく、背景には「医師不足」とくに「大学病院の医師不足」があり、それらを解決するための手っ取り早い楽な解決方法があの入試方法だったのでしょう。
だから大学側の意見も「理解はできる」・・・理解はできる、かもしれないけど、やっぱりそれに賛同してはいけない。共感しちゃいけない。
本当は理解だってしたくはない。
考えれば考えるほどこの問題は根強く、胸の奥の暗い澱みが晴れません。

だいたい「現役で入学しストレートで医師免許を取得、初期研修を終えたあとは過労死ラインのフルタイム勤務で当直もやめず、生涯健康で中断することなく定年過ぎても労働する医師」を想定した医師数計算は皮算用もいいところだし、そもそも大学病院は忙しいのに給料は低くてみんな早くに辞めていくし、初期研修の研修先としても不人気だし、入局だってしないし・・・って、これ男女関係ありますかね?

私は今、大学に籍を置きながら3人の育児を理由に非常勤で働いていますが、大学常勤に復帰しようと思ったことがありました。その時の条件が
「有給は枠がいっぱいだから無給なら」
ですよ!!

言っとくけどうちの科は外科の中でも激務で人気なくて15年前から医師不足です。医局の医師が少ないと有給枠も減らされるシステムらしく、とりあえず1年無給でがんばったら来年は枠がもらえるかも、というのが大学からの回答です。はああああアホじゃないの?3人子供育てながらフルタイムタダ働きってどこのマゾ?ていうか有給枠ってなに?必要な所に金を落とせ!バーカバーカ!・・・あ~すっきりした。とにかくそんな経緯があったのです。

「現状のシステムじゃ男性医師に負担がかかる、やはり女性医師数は抑制すべき」ならば男女関係なくみんなが適度に働いて適切に評価されるような、新しいシステムを作る時なのかもしれません。もしかしたら最後の。
個人でどうにかなるものでもない、1つの診療科1つの病院が変わればいいわけでもない。理想主義で現実離れしているかもしれないけど、例えば自分の娘が医師を志したときに自信をもって背中を押してあげられるような世界にしたいと微力ながら思います。

■筆者:さーたり
某大学病院勤務の消化器外科医。3児の母。アメブロブログ「腐女医が行く!!~外科医でママで、こっそりオタク~」にて外科医の日常から子育て日記、腐女医としてのアニメ・漫画へのあくなき情熱を綴っている。2016年5月26日に初の単行本『腐女医の医者道』(KADOKAWA)を、2017年12月28日には2冊目の単行本『腐女医の医者道!~外科医でオタクで3人育児大変だ!編~』(KADOKAWA)」を上梓。