38f1cd28 07f7 438d b2c5 26d58c6fdd2f医療トピックス
2018年08月30日

ホリエモンが提唱する「攻めの予防医療」健康をハックして、100年時代を生き抜け!

経営者、医師、クリエイターなどの有志とともに、2016年に予防医療普及協会を設立した堀江貴文さん。以後、胃がんの主な原因であるピロリ菌の検査・除去啓発を目的とした“「ピ」プロジェクト”、大腸がん予防のための検査の重要性を伝える“「プ」プロジェクト”などを実施してきた。そんなホリエモンが次に切り込むのが子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染予防だ。
最新著書『健康の結論』(8月9日発売)の発売にちなんで、8月4日に都内で開かれた刊行記念イベントでは、男女ともに知っておくべきHPVの話や、100年時代を生き抜くホリエモン流メンタル管理術などについて、ゲストと共に熱く語った。ホリエモン流・医師への提言にも要注目だ。

なぜホリエモンが子宮頸がん予防?
情報不足による不幸を減らすためにできること

第一部では、堀江さんが今、特に力を入れているという子宮頸がん予防とその原因となるHPVの感染予防について産婦人科医・稲葉可奈子先生、モテクリエイター・ゆうこすさんとの座談会が行われた。日本ではわずか接種率1%未満というHPVワクチン。先進国としてあまりにもお粗末な状況をホリエモンはどう捉え、いかにハックしていこうとしているのか。その展望が語られた。


左から司会の寺田有希さん、産婦人科医・稲葉可奈子先生、堀江貴文さん、モテクリエイターのゆうこすさん

堀江:「なぜホリエモンが子宮頸がん予防?」って思われるかもしれないけど、稲葉先生から聞いた話がすごく心に刺さったんです。子宮頸がんはワクチンで約70%防げるのに、今の日本では接種率がわずか1%未満。病気やワクチンに対する正しい知識すら届いていないんですよね。
 実は、僕の周りにも子宮頸がんにかかった人が結構多くて。衝撃的だったのは、「軽度異形成(※前がん病変)だって言われたけど、病院行くのがめんどうで、行っていません」っていう女性が本当にいたこと。そのくらい病気の深刻さが理解されていないし、予防の意識もまだまだなんですよね。

ゆうこす:私は、高校生の時にHPVワクチンを1回打ったんですけど、2・3回目は行っていません。昔から注射が怖くて、1回目の注射で倒れちゃったから、トラウマになって。それ以降行けなかったんです。これまでも、注射系は避けて生きてきました(笑)。そういったこともあって、受ける人が少ないんですか?

稲葉:まず、注射で倒れてしまうことは、珍しいことではなくて、若い女子にはよくあるんですよ。迷走神経反射といって、注射だけじゃなく、採血でも倒れてしまう方がいます。そういう方は、ベッドに横になった状態で注射してもらうといいですよ。

 受ける人が少ないのは、ワクチン接種後にけいれんしたり、歩けなくなるなどの副反応を訴える人たちについての過剰報道があったことで、2013年6月以降、国による積極的接種勧奨が差し止められてしまったことが挙げられます。
自治体がお知らせを出さなくなって以降のワクチン接種は、推奨されていた時期の約70%から、今は1%未満にまで下がってしまいました。

堀江:他の先進諸国は約70~80%は受けているんだよね。だから、日本人の医師が国際学会に行くと、「日本政府は国民をモルモットにして、子宮頸がんのワクチンを打たなかったらどうなるかという、臨床実験をしている」と皮肉を言われるぐらい、ひどい状態なんです。

稲葉:HPV接種による副反応と言われている症状とHPVワクチンとの間に明らかな因果関係がないこと、また、ワクチン接種の有無に関係なく、疼痛、認知能力低下、歩行困難などの症状がある若い女性が、実は結構存在することも分かってきました。これらは多感な思春期にはよくある症状だということは、小児科医なら周知の事実ですが、なかなか一般には伝わらず、接種率は低いままです。接種率が1%に下がってきた後の世代では、すでにHPV感染率や子宮頸がんのリスクが上がってきているというデータも出始めていて、この状況は見逃すことはできません

ゆうこす:子宮頸がんは防げる病気だということは、たぶん、若い子たちは知らないです。もう国は推奨しないんですか?

堀江・稲葉:それをなんとかしたくて、せめて情報はちゃんと届けたくて、この運動をやっています。(クラウドファンディング「子宮頸がん」で亡くなり子宮を失う女性を一人でも減らしたい。)

堀江:僕らが声をあげたところで、急に接種率が上がったりはしないかもしれませんが、少しずつでも、政治なんかも動かして、「打った方がいいよ」っていう雰囲気をつくっていきたい。そうしないと、いつもまでたっても変わらないし、同じような問題を繰り返すと思うんです。ピロリ菌もそうだけど、「みんな検査して、除菌する方がいいですよ」って言っても、なかなかやらないじゃないですか。
 
稲葉:悲しいことに、このままだと、他の先進国では子宮頸がんが減っていく中、日本だけ子宮頸がんが増えていくと言われています。

堀江:1次予防が日本で浸透しないのは、国民皆保険が原因でもあるんだけど・・・・・・。予防にはインセンティブが働かないからね。そこを何とか変えていきたいと思って活動しています予防医療普及協会にはいろいろな診療科の先生がいるのですが、クリニックで患者さんを診る数にはどうしても限界がある。こうやってたくさんの人が集まるところで話をすると、診察室で治療している何百倍もの効果が見込めるとおっしゃいます。皆さんすごくモチベーションが高いんですよ。先生方に共通しているのは、「よりたくさんの命を救いたい」という想いです。

ゆうこす:ワクチンを接種しておいたほうがいい層が若いじゃないですか。だったら、若い人に影響のあるインフルエンサーが発信するのが一番だと思ったんですけど、反対派から攻撃されちゃったりすると思うと、ちょっと怖い気持ちもあります。

堀江:ゆうこすのように、若い人に影響力のある人が、人を集めて勉強会などやってもらったら本当にうれしいですね。誰かが勇気をもって言わない限り、知らないままがんで死んでいく人たちが増え続ける。それは絶対によくないと思う。

 それにHPVは女性の子宮頸がんだけでなく、男性の陰茎がんや男女問わず咽頭がん、他にも性感染症(※尖圭コンジローマ)の原因にもなる。それを知って僕自身も少し前にワクチンを接種したんです。HPVには複数の型があるからすべてを予防できるわけでないんですが、現状でき得る限りHPV感染によるリスクを減らした。だから、はっきり言って、僕なんか自分でワクチンを打って、周りの人たちだけに勧めていれば個人的には何も問題がないんですよ。でも、こうやってリスクを取りながらやっているのは、情報が届かないためにがんになってしまう人が、少しでも減ったほうがいいから。そのことについては、今回の著書『健康の結論』第6章に詳しく書いています。


『健康の結論』(堀江貴文著・予防医療普及協会監修 KADOKAWA刊)

稲葉:そうは言っても、「ワクチンを打ちましょう」というのは、なかなかハードルが高いです。だけど、このまま正しい情報が届けられないというのはよくない。まずは、子宮頸がんはワクチンと検診でほぼ予防できるということを知ってもらいたいですね。そして国が推奨を中止してしまったがために、ワクチンがあることやその効果を知らずに病気になってしまう人が出る状況を一刻も早く止めたい。最終的に打つかどうか決めるのはそれぞれだけれど、情報は平等に届けてあげてほしい、また、推奨中止でワクチンを接種できなかった人たちが自費で5~6万円払って接種するのはかわいそうなので、助成をしてあげてくださいと、全国の自治体や厚生労働省などにお願いをするためのオンライン署名(『子宮頸がんは予防できる』という情報が届けられていない日本の女性を救いたい!)を、このたび立ち上げました。

堀江:メールアドレスを入れるだけで、30秒ほどで簡単に署名できるので、ゆうこすも皆さんも、賛同いただければぜひ署名してみてください。正しい情報を届けるために、ここを第一歩として、これからも活動していきたいと思います。

テクノロジーが社会も医療も変える時代
メンタルも含めた健康が最強の資産になる


右:産業医の大室正志先生

第二部では、100年時代の働き方について、産業医・大室正志Drとの対談が行われた。AIやテクノロジーが変える働き方は、何も一般のサラリーマンだけに限った話ではない。医師の役割の変化にまで話は及んだ。

堀江:僕はAIとかロボットの社会が、意外と早く社会を変えるんじゃないかと思っていて。例えば、オフィスでホワイトカラーの人がパワポで資料を作ることも代替されたり、AIアナウンサーや歌手なんかも出てきていますよね。しかも、クオリティーがどんどん上がっている。

大室:医師の世界も病理検査とか、レントゲンの読影とかはAIがとって変わるかもしれませんよ。読影はパターン学習ですから。現時点でも進化著しい分野ですし人間を超えていく分野だと思います。

堀江:胃がんの診断なんかは、熟練の先生でも本当に難しいそうですね。ですが、予防医療普及協会のゲストで、リアルタイムで動画を見ながら、ピロリ菌に感染しているか、胃がんかどうかがわかるシステムを開発した人がいて。専門医並みの精度だって言っていました。

大室多くの領域で「診断」は医者の仕事じゃなくなる可能性はありますね

堀江:手術だって、ロボットに全部手術をさせる日が近いかもしれませんよ。

大室:そうなると、外科医の役割は術前-手術-術後の一連の流れを管理するプロジェクトマネジャーみたいな仕事になっていくかもしれません。いわゆる「神の手」みたいな領域は減っていくと思いますね。法的・倫理的な問題は残ると思いますが。

堀江:医者に限らずエンタメもホワイトカラーの仕事もどんどんなくなりますよ。それによって、 “定年後のサラリーマン”みたいに孤独で無気力になってしまう人が増えるんじゃないかって、危惧しています。
 僕はその対応も予防医療だと思っているんです。つまり、定年後のサラリーマンって、結構認知症になったりするじゃないですか。それって、自分のコミュニティーが家族と会社ぐらいしかなかったからじゃないかな。例えば、伴侶を失った、子どもが独立した、定年退職したってなったら、急に孤独になっちゃうんですね。

大室:孤独になると認知症になるというのは、データにも出ています。

堀江:だから、今のうちに孤独にならないような、たくさんのつながりをもつことが大事なんです。それもひとつやふたつじゃなくて。10とか20とか。いろいろなコミュニティーに所属することが、すごく大事だと思います。年齢や性別、国籍が均一の集団にいると同じようにコミュニティーが老化していくので、そこもバラバラの方がいい。バラバラの人たちと絡むようなことを、いまからでも頑張ってやらなければいけない。

大室:これは社会環境の影響かもしれませんが、そういうのは、女性の方が得意な傾向がありますね。ママ友とか会社、学生時代の友人とか、使い分けることは結構慣れています。でも、男性(特に中高年)って会社と家の往復のみという人が多いんですよ。若いうちから慣らしておかないと、いきなりは難しいと思います。

堀江:もう会社は定年までは養ってくれません。これは間違いない。だからこそ、会社に所属せずに、自分が情熱を注げる何かをやることに慣れておいた方がいい。つまり、「生きがいを見つけるということ」です。
 たぶん、生活のコストはどんどん下がっていくと思うんですよ。衣食住、安く生活できるから、お金は生きられるだけあればいい。そういう時代になるからこそ、健康が究極の資産であり、自分らしく生きられる最強の体とメンタルを手に入れたい。そういう意味でも、 “予防”にもっと目を向けてもらえたらうれしいですね。


\joy.net独占インタビュー/
ホリエモンが医師たちに期待すること

Q.HPVワクチン問題について、医師に期待することはなんでしょうか。

日本の場合は、国が積極的に干渉しない限り接種率の向上は無理だと思います。現在の接種率は1%未満ですが、対象者が希望すれば、いまも無料で接種はできますよね。情報だってHPに書いてはある。でも、それって「機会は準備してますよ」って逃げ道を、国が用意しているようにしか僕には思えません。医師の先生方に医学的根拠のある、正しい情報を届けていただくことももちろん大事なのですが、HPVワクチンの接種率を劇的に上げるためには、やっぱり政治を動かさないといけない。じゃあ、政治はどうやったら動くんだろうって、いろいろ試している最中です。

Q.具体的にはどのような取り組みをされているのですか?

最近、「HPVワクチン接種と、報告されている24症状との間に関連性はない」という『名古屋スタディ』が発表されました。これで少しは変わるのでは、と期待しましたが、やっぱり変わらなかった。そうなると、科学的なエビデンスで対抗しても意味がなくて。やっぱり、世論をつくっていくことが大事なんですよね。
反対派の説得だけに注力していても仕方がなくって、広く世論を形成していくことを考えなければならない。今回作ったオンライン署名はその第一歩で、情報不足による不幸が起こらないよう、正しい情報が広くいきわたるように呼び掛けるためのものです。また、クラウドファンディングも行っています。

Q.予防医療普及協会への参加者が増えれば、発信力も強まるのでは。

もちろん、それも考えてオンラインサロンを作りました。今はまだ人数が少ないですが、何万人クラスになれば、例えば「HPVワクチンについてどう思いますか?」と問う公開アンケートを行ったりすることもできる。活動に賛同してもらえる政治家を、協会として応援するということもやっていくつもりです。5~6万人集まれば、政治家だって耳を傾けざるを得ないでしょう。我々の取り組みに賛同する医師の先生方にも、ぜひ会員になって一緒に参加していただきたいです

※オンラインサロン
「予防医療を習慣化する with予防医療普及協会 ~未来の健康をつくる~」

Q.今後、医師たちに期待することは?

ご自身の専門の治療以外に、「健康的に寿命を延ばす」ことにも力をいれてほしいですね。予防に限らず、メンタル対応にも期待します。人間ってストレスのかかる生活をしていると寿命は縮まるし、病気にもかかりやすくなります。ただ、僕に言わせれば、みんな周りのことを気にしすぎて生きていますよ。空気読みすぎてかわいそうだなって思うことがあります。SNSの時代になって、より変なルール、マナーみたいなものが作られてきていると思いませんか? 僕の発言が物議をかもした「新幹線の座席を下げるときに声をかける」というルールも、広まったのはここ2~3年のことでしょう。そんなルールなかったですよ。SNS時代が新たなストレスを生み出しています。
これからはAIの台頭で、医師の仕事も大きく変わっていくでしょう。医師も変に空気を読んだり、周りを気にしすぎたりしないで、自分が正しいと思うことは主張を曲げないことも大切なんじゃないかと思います。

『健康の結論』(堀江貴文著・予防医療普及協会監修 KADOKAWA刊)

ホリエモンが医師たちのアドバイスを受けながら取り組んできた、予防医療普及協会での活動をもとに書き下ろした一冊。平均寿命が延びたいま、生涯を現役で過ごすには従来の働き方やライフスタイルをアップデートすることが求められる。そのための戦略を健康という観点から考察。「防げるはずの死」が放置されがちの日本の現状についても問題提起をしている。診療科の垣根を超えた取材により、最新の医療トピックスを抑えながら、無理なく自分を守る技術が身につく内容。

 

堀江貴文
1972年福岡県生まれ。実業家。SNS media&consulting 株式会社ファウンダー。予防医療普及協会・理事。現在はロケットエンジン開発、スマホアプリ「TERIYAKI」「マンガ新聞」「755」のプロデュースを手掛けるなど幅広く活躍。予防医療に関する著書はほかに『むだ死にしない技術』(マガジンハウス)がある。

 

ゲスト
稲葉可奈子(いなば・かなこ)
京都大学医学部卒業。産婦人科医、医学博士、予防医療普及協会顧問。現在は関東中央病院勤務。2児の母。

 

ゆうこす
モテクリエイター、SNSアドバイザー。タレント・モデルとしても活躍し、20代女性を中心にInstagramで紹介した商品が完売するなど、カリスマ的人気を誇る。SNSのフォロワーは100万人以上。著書に『SNSで夢をかなえる』(KADOKAWA)など。

 

大室正志(おおむろ・まさし)
医療法人社団 同友会 産業医室勤務。産業医科大学医学部医学科卒業。都内の研修病院勤務を経て、産業医科大学産業医実務研修センター、ジョンソン・エンド・ジョンソン統括産業医を経験し、現職。専門は産業医実務。現在は日系大手企業、外資系企業、ベンチャー企業、独立行政法人など約30社の産業医を担当。

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文/岩田 千加