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2018年11月17日

「その悩み、当直室で解決します!」スカッとまあやvol.3――パワハラと女医蔑視

joy.netで人気のDr.まあやが、女性医師の悩みにお答えします。今回のテーマは「パワハラ」と「女医蔑視」。スポーツ界でもパワハラの実態がニュースになったり、厚労省がパワハラ防止を法制化する方針を出したり、某週刊誌では「女性医師の手術はいやだ」なんて特集が掲載されたり…。実際に寄せられたお悩みを、Dr.まあやがスカッと斬ります。

お悩み:怒鳴るとか、わかりやすいパワハラではなく、カンファレンスでいじわるな質問をされるなど…、指導のつもりで苦言を呈されているのかもしれませんが、地味に傷ついています…。

<Dr.まあや>
あー、なるほど。
ワタシも経験がありますよ。毎週のカンファレンスで、レジデントやチーフレジデントが緊急入院した患者さんや術前の患者さんについてのプレゼンをするのですが、上司の機嫌によって意地悪い質問や態度をされることはありました。カンファレンス後に「今日機嫌悪かったな〜」とレジデント同士で、文句を言って、励ましあったり、カバーし合ったりしてました

ワタシは、学会発表の経験が少ないので、学会で同じような経験はないのですが、相談者さんがいじわるだと感じたなら、きっとそれはあなた自身というよりは、大学、教授など組織への対抗心からかもしれませんね。よほど発表内容や主張がずれていなければ、同じ場にいる同僚はわかってくれるし、いい上司だと、共同発表者として反論をしてくれますよね。

こんなワタシでも、一度大きな学会で発表したことがあります。ドバイの国際学会でした。演題を出せる人は出して、みんなでドバイ行こう!っていうノリで(笑)。そしておずおずと壇上へ・・・。ワタシが発表した内容は上司である教授の症例報告だということは出席者の誰もがわかっていて、その上で、「遠くから来た子どもみたいな女医が(当時はチビでもう少し痩せていた・・・)がんばって発表してるね〜」と、それはそれはあたたかい拍手をもらいました(笑)

質問も出たけれど、いじわるなことをいう人は皆無だったし、プレゼンが足りないところは教授が助けてくれて、今思えば若きドクターを応援する空気に満ちていました。器が大きい人間でありたいものですね。

お悩み:「女性医師の手術はいやだ」という週刊誌の記事がありましたが、実際わたしも幾度となく言われています。その度に「では担当を変わりましょうか」と引くようにしてきましたが、記事をきっかけに、同じように悩んでいる医師もいるのだと知りました。まあや先生は言われたことがありますか?その時どう対応するのがいいですか?

<Dr.まあや>
「あれ?ここのクリニック、女医さんですか?」と、一言目に言われたことがあります。特に脳外科医=男性のイメージが強いですからね。びっくりされるのでしょう。

ワタシは、患者さんが男性医師を希望される場合は、男性医師に変更できる案内をします。異論は言いません。患者さんには選ぶ自由があります。そこで変に揉めても、あとあとのいろんな不満に繋がったりしますからね。

そもそも、女性は生理があって〜、とか気分にムラがあって〜とか、言われますが、男性だって気分のムラがある人多いですよね。ワタシも男性上司の顔色を伺いながら過ごしていた経験はたくさんあります。男の先生がカルテや電話を看護師さんに投げつけたりしているのを目撃したことも一度や二度ではありません。

えらい先生になればなるほど、ムラが激しい先生が多い印象ですね・・・。マスコミに出てくるような先生たちなんか、そういう方が多いんじゃ・・・?少なくとも、女医さんでそんな人は見かけたことはありません。特に外科医の女医さんで、気分の変調が強い人にワタシは出会ったことがないです。生理を理由に手術に入らないなんて人にも、一度も会ったことはありません

ちなみにワタシは生理痛がまったくなく、気分のムラが月の周期で起こる、ということも経験なし。せいぜい、360日休みがなく、72時間家に帰れず、手術が昼夜問わず続いている状況で、「まあや先生、眠そうだね〜」と看護師さんに言われることがあったくらいで…。
はっきり言いますが、男性医師の方が感情むき出しで働いている人、多いですよ?

細かいことですが、入院中や手術のサマリーだって、女医さんの方が期限を守るし、退院後1回目の外来に合わせて丁寧に準備するのも女医さんの方が得意。書類を書く作業も早いし、とにかく真面目に言われたこと、決められたことをきちんと守っている人が多いと思います。一見どうでもよいことに思えることかもしれませんが、たくさんの患者さんを短時間で診察する上で、とっても重要なことだと思うのです。

手術にしても、女性だからとか男性だからというのは関係なく、その人がいかに日々努力しているか、手術の勉強、手技の訓練をどれだけやっているかに尽きると思います。それ以外に何も関係ないです。それが全てです。

解剖の知識、術前の患者さんの画像が頭に入っているかどうか、シュミレーションができているか、不測の事態に冷静に対応できるか、その経験をたくさんしてきた上での判断力、そういう総合力こそが手術の向上に繋がります。そして、どの外科も一人で手術をするわけではありません。助手、麻酔科医、手術に入る看護師さんたち、モニターを専門にみる技師さん、場合によっては関連企業の人、そんな複数のスタッフからなるチーム力がとても大事です。執刀するのが女性だろうが男性だろうが、そんなことは関係ないのです。

感情をむき出しにして手術をする先生もいれば、静かに平穏を保って手術をすることに心がけている先生もいることは知っています。でもそれは、その先生のスタイルであり、手術を成功させたいという想いがそうさせているんです。その手術スタイルに賛否があっても、手術成績や論文で結果を出す、何より、患者さんに感謝されていれば、それが全てです。

とまあ、まじめに語っても、相容れない考えの方もいると思います。その人の価値観ですから。どんなに優秀な女医さんが目の前にいても、彼女に診てもらうくらいなら死んだほうがマシ、というのであれば、その人は男性医師を選ぶのだと思います。宗教に近いですね、選ぶ自由、です。

  

Dr.まあやの初のエッセイ本!

『カラフルデブを生きる
ーネガティブ思考を強みに変える女医の法則40』

(セブン&アイ出版)

コンプレックスがあるからこそ人は成長できる。
挫折や劣等感が、たくましく生きていくバネになる。

脳外科医×デザイナーとして、人生をカラフルに生きるドクターまあやのエネルギーの源に勇気をもらえる一冊。

 Dr.まあや(折居麻綾先生)

1975年東京生まれ、岩手育ち。岩手医科大学卒業後、慶應義塾大学病院で研修を終え脳神経外科に入局。2010年にかねてから夢だったファッションデザイナーの道に挑戦しようと日本外国語専門学校海外芸術大学留学科に入学する。翌年にはロンドンのセントラル セント マーチン カレッジ オブ アート アンド デザインに約2年間留学しファッションデザインの基礎を学ぶ。帰国後は事務所『Dr.まあやデザイン研究所』を設立しアーティスト活動をスタート。現在は釧路孝仁会記念病院、東京・小平市のあかしあ脳神経外科の院長として非常勤勤務している。 

Dr.まあやへのご相談はこちらよりお寄せ下さい。

■イラスト/Dr.まあや 構成/ふるたゆうこ