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2018年11月28日

科目別で相違!? 医学部女子受験生不利への女性医師の見解

今世間を騒がせている、東京医科大ほか複数大学での“不適切入試”について、その難関をくぐり抜けた現役女性医師はどう見ているのでしょうか。joy.netが実施したアンケート(※1)に寄せられたリアルな声をまとめました。今回は、「女子受験生が不利だった件」。

この問題が明らかになるきっかけとなった東京医科大では、2017年度、2018年度の一般入試において、女子受験生に不利な得点操作を行い、本来合格していた合計55人が不合格にされていたことがわかりました。男子受験生の方が優遇されるというのは、現役女性医師にとっても初めて聞く話ではなかったようですが、科目によって見解の相違はあるのでしょうか。

メジャー科よりマイナー科の方が男女差別入試に賛成?その真意は…

本アンケートによると、メジャー科とマイナー科(※2)では、図1のような見解の相違がみられました。

マイナー科医師の方が、賛成の立場を取る意見がやや多かったのは、そもそも彼女たちの科目選択基準に、マイナー科のほうが女性が働きやすい職場であるという認識があったからなのかもしれません。当直やオンコールなどの多い科目ではどうしても女性が不利になることが多い、だったら受験時からそれを前提に考えた方がよいという冷静な判断が働いたのかも。
また、女性はライフイベントによるキャリアの中断、分断は否めず、離職率も高いという現実から、女性をわざわざ増やすことはないとの意見も科目問わず複数寄せられました。

女医はライフイベントで仕事を続けていくことが困難と身をもって体験しているから。女医が増え過ぎても困るだろう。女性不利の傾向は把握できるため、フェアな大学を選んで受験することもできたのでは。(マイナー科科目非開示・医師歴10年)

 

職場での男女差別や働きやすさが解決しない限りは女性を増やしても意味はない。(救急科・医師歴3年)

 

女医としての残念かつ切実な意見ですが、いまの医療現場の勤務体制を鑑みたら、女医が増えたら今後医療が崩壊するだけだと思います。(麻酔科・医師歴2年)

 

現場の医師数を確保するために、男女比をコントロールすることは、当然のことです。(泌尿器科・医師歴19年)

メジャー科では産婦人科、小児科で男女差別入試に反対多数。

次に、メジャー科(外科、内科、産婦人科、小児科)で比較しました(図2)。産婦人科、小児科医師に、男女差別入試を否定する意見が多く集まりました。

 

産婦人科医、小児科医のコメントとして目立ったのは「男女差別はいかなる場面でもあってはならない、平等であるべき」という意見。現場の状況がというよりは、社会として、または国際的にもそうあるべき、というぶれない判断が散見したのが特徴です。産婦人科、小児科は女性医師の割合が比較的高い科目。女性医師の存在感があるからこそ、声をあげられるという状況もあるのかもしれません。

産婦人科・小児科「平等・公平が、社会として原則」

看護師は多数の女性が、救急外来を始めとした急性期で頑張っている。医師だから女子には無理、との考えには否定的です。(小児科・医師歴6年)

まずは公平に入試を行うことがすべての始まりだと思います。(産婦人科・医師歴17年)

 

外科「女は男に勝てない世界。悔しければ男より努力するしかない」

女性外科医の多くは、差別であると認めつつも、女性は体力的に厳しいという現実を踏まえた上で「仕方ない、そういうこともあるだろう、そういう世界だ」と考える人が多いようです。女性医師割合が極めて低く、男性主導になりがちな世界に身を置き、女性が適応していくことの難しさを実感しているからこそ、消極的な容認をしてしまっているのかもしれません。ギリギリの点数で不適切対応されること自体が努力が少し足りないのでは、といったマッチョで合理的な意見も外科医らしい・・・? とはいえ、女性側に努力を強いるだけでは限界があること、何も解決していかないのも事実。。。

大学入試という観点から見れば、男女で差をつけることは差別。ただ、医学部の場合は就職試験という側面もあり、そういう意味では、性別で差がついてしまうのは社会的によくあることなのではと思う。問題は、医師という職業が男性を基準に考えられていることにあるのでは。(外科・医師歴14年)

 

病院や大学経営層が男性しかおらず、そもそも男性の方が偉いと思っている証拠。(消化器外科・医師歴13年)

 

まだまだ現場は男尊女卑で、世間の非常識が常識としてまかり通っている世界。それに打ち勝つには、男性よりも倍以上の努力が必要だと今でも思っている。心づもりという点では、入学の段階である程度厳しい選抜を受けることはやむを得ないのではと思う。(外科・医師歴11年)


内科「女子学生を受け入れるなら、女性が働きやすい環境を整えてから」

内科医はメジャー科の中でも男女差別入試に反対する割合が低く、女性医師のキャリア継続の難しさ、男性医師に助けられることが多い現実、具体的には「当直ができない」「オンコールに対応できない」などの事由も上げ、「女子合格者を絞ることはやむを得ない」と考えている人が少なくありませんでした。ただし、女子学生を受け入れるために、まず女性医師が働きやすい環境を整えるべきとの意見が他科よりも目立ちました。緻密に分析を重ねるロジカルな内科らしい!?

医師の働き方が変わって、女医が働きやすい環境になるならば女医学生が増えてもいいと思います。(消化器内科・医師歴2年)

 

当直や夜間休日の緊急時の対応は、妊娠中や小さい子供のいる女医にとっては無理なことがある。そういう点では、男性医師が多い方が助かることがある。差別ではなく、仕方がないと思う。医師の家庭で育ったので、女子の割合が少ないのは当たり前と思っていた。これだけ大きな問題になって逆に驚いている。(消化器内科・医師歴8年)

 

男女差別と言われているが、実際男性と女性では体の機能も持っている能力も異なるのが現実。いくら男女差別と言ったって、実際に男性の方が戦力になる現実があるから、このようなことになったのだと思います。(血液内科・医師歴1年)

男女差別には反対、けれど現場で感じる致し方なさというジレンマ

「医学部不適切入試を医師たちはどう受け止めているのか」でまとめたように、男女差別入試に反対する女性医師は46.6%と半数以下。逆に、「賛成・どちらかといえば賛成」と回答した女性医師が28%もいるという結果に驚いた人も多いはず。ただしそれは、差別を容認しているということではなく、医師として現場から見たときに、女子を増やすことに賛成はできかねる、女子受験生不利は現場のニーズとは合っているという冷静な見方。

彼女たちの「当事者として100%反対はできない」という意見に納得してしまうのではなく、女性医師の働きやすい職場環境を整える努力、サポート体制の見直しは急務なのだと感じざるを得ません。それをかけ声で終わらせないためにも、joy.netに医師たちから寄せられた「医師は長時間労働で当たり前なのか? 医師120名による『医師の働き方改革』への5つの提案」を広く周知したいです。

※1 医学部不適切入試についてのアンケート(2018年10月実施)「医学部不適切入試を医師たちはどう受け止めているのか」で使用したデータを更新(有効回答数:97)
※2 内科、外科、産婦人科、小児科をメジャー科、それ以外の科目をマイナー科とする。

文・ふるたゆうこ

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