9af65a6d c260 4a7a ae63 4c7ce109b65e医療トピックス
2019年05月09日

【スペシャル対談】学会立ち上げ、医療ダンス・・・医療の裾野を広げるパイオニアたち~誰もやらないなら自分がやる。継続してこそ未来がある~

自分らしい軸と価値観で、医療に貢献しようと模索し、医療の裾野を広げ続ける医師に迫った連載「新世代の医師たち」。今回は以前登場いただいた後も躍進を続けるスポーツ内科医・田中祐貴先生と「ヘイヘイドクター」シリーズでおなじみのしゅんしゅんクリニックP先生(以下、しゅんP)との対談を実施しました。

田中祐貴
日本スポーツ協会公認スポーツドクター。神戸大学医学部卒。腎臓内科医からスポーツ内科医に転身。2019年3月、日本スポーツ内科学会を立ち上げ、スポーツ内科分野の啓蒙に努める。

 

しゅんしゅんクリニックP(宮本 駿)
群馬大学医学部卒。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。現在はお笑い芸人の傍、2箇所のクリニックで内科外来、AGAクリニックで非常勤として臨床を続けている。医療知識をダンスで伝える「ヘイヘイドクター」シリーズで新しい予防医療の形を実践。

変えたいなら自分が変わる!今までの枠から外れる勇気。

田中:以前、しゅんP先生とコラボしてスポーツ貧血を啓蒙するための「ヘイヘイドクタースポーツ貧血バージョン」という動画を作りました。実際に日本臨床スポーツ医学会学術集会でこの動画を流したんですが、これがすごい反響で。今回は最新動画のご相談も兼ねて…(笑)

―― 田中先生はついに日本スポーツ内科学会を立ち上げられたんですね。医師の中でもまだまだ認知度の低い領域での挑戦にはご苦労もあったかと思います。あえて今までの枠から外れてみようと思ったきっかけを教えてください。

田中:自分がやらないと他に誰がやるんだ、というのが大きいです。スポーツ内科を知ったのは総合内科の実習で、30年くらいスポーツ内科をやられている開業医の先生のところでお世話になったのがきっかけです。

スポーツ内科への興味はずっとありながら、腎臓内科の医局で4年を過ごしました。いつかその道に行こうと、でも待っているだけではチャンスがなくて、環境を変えるしかないと舵を切りました。貧血や喘息を抱えながら頑張っているアスリートがたくさんいて、内科的な助けを求めている、でも受け皿がないという現実は分かっていましたので。

しゅんP:確かに、スポーツ医学といえば整形外科というイメージがありますね。

田中:そうなんです。実際はアスリートが内科や精神的な疾患を抱えていることも多いんです。スポーツ貧血や運動誘発性喘息、オーバートレーニング症候群などが代表的ですね。オーバートレーニング症候群の精神症状はうつ病の症状とほとんど重複していて、これらは発症メカニズムが同じという説が有力です。

伝えることの難しさと、楽しさ。

―― 30年前からスポーツ内科をされている先生や、数は少ないものの各地域でスポーツ内科に精力的に取り組まれている先生はいらっしゃるのになかなか広がらない、課題はどんなところに?

田中:情報提供が足りていないということはあります。アスリート、特に指導者側の意識にも課題はあると思っています。特に関西は、スポーツの世界に根性論が根付いている部分が大きく、「体調が悪い、記録が伸びないのは根性が足りん!」と。だから、「内科の先生が何の用?」と構えられることは少なくありません。

しゅんP:スポーツ内科を知ってもらう活動はどんな風にやったんですか?

田中:受診する患者さん(アスリート)を診るだけでは状況は変わらないと思ったので、いろいろなスポーツチームの練習や大会に足を運んだり、監督、トレーナーに話を聞いてもらったりと自分から積極的に動くことを心がけています。もっとスポーツ内科のことを知ってほしいと思うのに、伝え方を誤ると商売っぽく見えてしまう。日本スポーツ内科学会を立ち上げましたが、最初はこの部分において苦労しました。

しゅんP:確かに、自分の生業を自分が積極的にアピールすると商業っぽくなりますね・・・。

田中:だから、しゅんP先生に動画でキャッチーに発信してもらったのはとても影響力がありました。SNSで瞬く間に拡散されて、スポーツ内科やスポーツ貧血という言葉を知ってもらうきっかけになりました。しかもSNSだと普段声が届かない若い人たちにも届くし、反応が数字で見られるのも楽しいですね。

異端な道でも、好きな道。

―― しゅんP先生も医師を続けながらお笑いの道に進みました。その背景をお聞かせください。

しゅんP:僕の場合は流れに身を任せたらこうなった、みたいな感じで(笑)。お笑いは昔から好きでずっとやりたいなと思っていて、NSC(吉本総合芸能学院)に入ってみて、もしもダメならフェイドアウトしようと思っていたんです…。そしたら意外と続いちゃったんですね。医師としての仕事は、当時は予防接種とか健康診断、AGAのクリニックの非常勤をやりながらでした。芸人だけじゃ食っていけないということもありましたが、医者の仕事も好きで。今では芸人としての仕事も増えて、そしたらなぜか内科外来の仕事も増えて(笑)

田中:確かに最近、テレビでもよく拝見します。スケジュールはどっちを優先とかあるんですか?

しゅんP:1ヶ月前の段階で芸人仕事のスケジュールが決まってからクリニックのシフトを入れています。内科のクリニック2ヶ所で外来をやっていて、36歳になって内科の知識が増えてきています、エコーとか(笑)。院長が大学病院レベルの血液検査を取り入れるなど熱心な方で、勉強になるから行ける時はなるべく行くようにしています。医者の仕事は楽しいですね。もともと内科は向いているのでなおさら楽しいです。

―― お二人とも、まわりの反応はいかがですか?

しゅんP:仲がいい人は結構応援してくれましたね。上の方の先生はどうせ無理だよみたいな雰囲気ですかね、応援している風に接してくれるけど、そんなに良くは思っていないんだろうな、と。テレビに出られるようになってからは頑張ってるねと言われることが増えました。

田中:年配の先生になると、新しいことには耳を貸さないという人もいらっしゃいますね。でも真面目にコツコツやっていれば、誰かがきっと認めてくれる。「継続は力なり」としみじみ実感しましたね。一部のスポーツ内科に理解のあるアスリートや指導者に出会って、そのうち点が線になり、気づいたら輪になっていた。ネットワークが少しずつ広がっていく感覚はあります。

しゅんP:僕も気づけば芸人9年目で、これまで続けているという実績は自信になるし、相手の感じ方も違いますよね。

スポーツ内科としゅんしゅんクリニックPの今後。

―― 新しいことを始めると異端に見えるけれど、継続することで認められるということですね。田中先生が日本スポーツ内科学会を立ち上げた理由は?

田中:仲間を作りたかったというのが一番の理由です。今まで診ていた患者さんに、「**県の強豪校にスポーツ推薦で進学することになったから、その県のスポーツ内科の先生を紹介して」と言われてハッとしたんです。知らん、と。行き場を失ったアスリートが仕方なく内科に行くと、ドーピングの心配をされて薬を出してもらえない、専門外と言われてたらい回しにされることもある。スポーツ整形ならば、この地域で膝のことならこの先生といったネットワークがあるけれど、スポーツ内科にはそれがない。それが学会を立ち上げたきっかけです。またスポーツ内科医の数が増えれば、様々なところに声が届きやすくなります

―― しゅんP先生の今後はどうなっていくのでしょうか?

しゅんP:臨床は続けながら、お笑いの仕事が増えたらいいなと。田中先生とコラボするのもそうですが、病気の知識がテレビでもSNSでも手段を問わず広がるのはいいことだなと思って。病気を説明する替え歌とか作ろうかな・・・。アニサキス〜♪とか。最近はまっているエコーでネタが作れるかも。エコーもって舞台に立ったら面白そう(といって、おもむろにポータブルエコーをスマホで検索)

田中:お笑いを処方する仕事!いいですね。スポーツ内科は、アスリートのスポーツ内科疾患の予防をすること、また中高年の生活習慣病の予防に適切な運動を処方することも重要なテーマです。そういう意味で、治療ではない予防的な価値があるのは共通ですね!
僕もSNSとかYoutubeを活用しながら学会の活動を盛り上げていきたいです。賛同してくれる若い世代のドクターが集まればいいなと思っています

しゅんP:動画発信を行う医師も増えてきたけど、どうしても全てを正しく伝えようとして真面目になりがち、という印象です。伝えたいメッセージを絞って、キャッチーに・・・というのがコツかなと思います。

――というわけで、『しゅんしゅんクリニックP×スポーツ内科』最新動画、近日公開です!