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2015年05月31日

【現役女性医師からの寄稿】
育児と大学病院勤務との日々を振り返って

育児と仕事との両立。特に子どもが小さいうちは非常に困難がつきまとうものです。大学病院勤務と乳児の子育てを両立されていた形成外科の女性医師から、
その悪戦苦闘の日々の思い出をコラムとしてお寄せいただきました。

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妊娠がわかったのは、29歳。研修医2年を経て、某大学形成外科医局に入局して3年目。専門医をとるために大学勤務常勤に戻りました。レジデント研修が厳しいことで有名な医局で、周りの女医さんは子育てを機にキャリアを断念、もしくは独身バリキャリの二端化。入局志望者、若手のレジデントは女性も多いものの、スタッフの9割は男性が占めている男性社会。その中で、何とか専門医は取得したいと考え、長女が7か月の時に復帰しました。

妊娠期間中、母子手帳をめくっていて「育児時間」という存在を知りました。労働基準法で、「生後満1年に達しない生児を育てる女性は、1日2回各々30分、その生児を育てるための時間を請求することができる」というものです。とりかたは、特に規定されておらず、就業開始時間を遅くしたり、終了時間を早くしたりなどとの例が示されています。

しかし、チーム医療を主体としている病棟業務の中で、遅れてきたり、早く帰ったりというのが毎日というのは現実的な選択肢ではありません。大学病院勤務復帰後、長女を病院付属の保育園に預けていた私は、教授にお昼12時と夕方5時に各30分ずつ育児時間として、母乳を与えに行きたいと直訴しました。前例はおろか、育児時間の存在さえご存じなかった教授、医局長でしたが、ありがたいことに医局として認めてくださり、長女が1歳の誕生日を迎える8月までの5か月間、外来中であれ、手術中であれ、その場のスタッフが配慮してくださるように告知をしてくれました。おかげで、どんなに忙しく長い勤務の中でも1日2回は必ずわが子に会え授乳できることとなり、当時の自分にはそのわずかな時間が貴重な癒しの時間であり、支えとなっていました。

しかしながら、恩恵をうけられる立場の一方にはそれを支える周囲があり、必ずしもその待遇を快く思わない人たちがいます。表立っては何も言わないものの、裏では不満がたまっています。実際に、面と向かって、「1日1時間勤務から解放されているのはフェアではない。普通に勤務している他の女医さんがかわいそう」とレジデントの男性医師から言われたこともあります。ただでさえ、激務のなか、一人ぬけるとそのフォローを別の医師がしなければいけない現状も痛いほどわかっていました。しかし育児をしながら勤務をする立場を順々にサポートする仕組みが心理的に受け入れられていない現状、今後同様に育児をしながらキャリアアップを目指す女医が増えるであろう予想と厳しい現実、悔しさ、悲しさなどいろいろな思いが混じり、涙を抑えられませんでした。

 

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自分としては、周囲への感謝を持っていたつもりですが、直接的に業務のひっかぶりを受けるレジデント医師への配慮、感謝の姿勢が足りなかったのかもしれません。産休制度、育児時間など公的な制度はあるものの、その恩恵を受ける場合には周囲への気配りをしっかり行う大切さをあらためて認識しました。

長女が7か月から2歳7か月になるまでの2年間、病棟レジデントとして復帰したこの2年間が今思えば一番きつかったと思います。朝7時の病棟処置、8時のカンファレンス用意、病棟回診、9時からの外来または手術と続き、長時間手術もしばしば、夕方の病棟回診のあと、手術記録、病棟雑務、カンファレンスのプレゼンの準備に追われ、深夜10時、11時は当たり前の生活。週2回の当直の時に、朝5時に授乳のため当直室に娘を主人が連れてきたこと、歩けるようになった娘と病院のお風呂に一緒に入ったこと、さまざまな思い出がよみがえります。私がいない夜は、あつあつのミルクを枕元の保温ケースに入れて面倒を見ていた主人。休日もほぼない勤務形態の中、家族を支え続けたのは主人の存在でした。

7歳年下の主人は私と結婚後、病院の前の店舗を借りて、中華料理のレストランを始めました。家庭的な味と良心的なサービスが人気を呼び、病院の職員や学生、患者さんなどがリピーターで訪れ、お昼と夜の時間は大忙しでした。長女を抱っこひもに抱え、両手にお弁当を病院に配達する主人の姿は、カンガルーのようだとよくからかわれていました。自営業の強みで自由に使える時間で、こどもの保育園の送り迎えはもちろんのこと、勤務中の私の食事は、すべて主人が病院に届けてくれました。

女性が結婚後、仕事を続けるのを断念する大きな理由に子育てがあります。周囲の理解と心強いパートナーの存在があったから、自分がキャリアを続けることができたとあらためて感謝しています。専門医取得と同時に、大学院進学の道を選び、長男を出産、3年で博士号を取得し、その後かつてからの夢だった米国留学を実現できたのは、主人のサポートがあったからです。

【子育てをしながら働き続けるための要件】
1.周囲への感謝と配慮を怠らない。(おかげさまという丁重な姿勢)
2.利用できる制度は利用する(しなやかにしたたかに)
3.同様の立場の女性をサポートし、働きやすい職場づくりをめざす。(いつかの自分のためにも)
4.配偶者の選定は慎重に(もし、まだ間に合えば!)

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