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2015年05月31日

「女性医師のキャリアファイル」
産婦人科医×スポーツドクター×ヨガ指導者の場合

結婚、出産、子育て、独立と、女性医師がキャリアの岐路に立たされるシチュエーションは少なくありません。この連載では、インタビューを通じて一人の女性医師がどうキャリアを築いてきたのかに焦点を当てていきます。

今回は、女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長で、産婦人科専門医でありヨガのインストラクターでもある、高尾美穗先生にお話をうかがいました。

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■偶然だったヨガとの出会い

高尾先生は産婦人科専門医として日々の診療に携わる傍ら、国内でもまだ多くはない婦人科の女性スポーツドクターであり、アンダーアーマーで有名な株式会社ドームのアドバイザリードクターも務めています。その一方で、ヨガの指導者としても活躍するなど、産婦人科医の枠に留まらない活動を続けています。

そんな高尾先生とヨガとの出会い。それは、東京慈恵会医科大学大学院に通っている頃だったそうです。

「もともとスポーツウーマンだったのですが、ハードな運動を行っていた中で、あるとき大きな怪我をしまして。あまりにも絶好調な中での怪我だったので、これは一息つくべき時だと理解し、ならば体の調整に取り組もうと考えました。

ちょうどその当時は大学院生で、研究準備としてプレパラートの染色待ちが2時間半ありました。そのすきま時間に通ったスポーツクラブで出合ったのが、ヨガのクラスです。

しかし、参加してみて驚いたのが、スポーツは得意なはずなのにうまくポーズをきめられないこと。それまでのスポーツとは全く違う筋肉の使い方を求められたんです。何気なく参加したヨガでしたが、できるようになりたい!そんな気持ちから夜勤帯の深夜にもひとりで練習したりもしました。

幸いにそういった活動に理解のある職場で、しばらく続けていくと、今度は助産師さんに『その趣味を産婦人科の活動にも還元して欲しい!』と言われたんですね。それまで私が行っていたヨガは、いわゆる『とてもハードなヨガ』で、妊婦さんらがやるには難しいものでした。しかしその時のアドバイスが元で『優しいヨガ』にも興味が沸いたんです。そんな中で勉強したのが、マタニティヨガでした。

マタニティヨガは、いままで私が行っていたヨガとは180度対極にあるものでした。しかしやってみると母親学級ではみなさん喜んでくださいますし、妊婦さんの不調の緩和に役立つことが医師の目から見ても実感できました。“自分のため”だけのヨガが多くの人のものになったら素敵だなと思ったのもこの頃ですね。

ヨガを続けていくうちに指導者資格が手にはいりました。その後、スポーツドクターとなり、抗加齢医学やスポーツ栄養学など役に立つと考えられる分野の勉強を続けています。」

■キャリアのための環境づくり、そして独立へ

ふとしたことから出合ったヨガ。そして、それを続けたことで開けたキャリア展望。その実現のためへは環境づくりが重要だったと振り返ります。

「当時、医局の中には『変わったやつだ』と良い顔をしないドクターもいたと思います。そこで必要だったのは、『与えられた職務は完璧にまっとうする』という信念です。医師としての本分をきちんと果たしていれば、文句を言われることはありませんでした。

外来、検査、手術、当直、お産、研究に学会発表、論文も投稿し、さらには後輩の指導まで、とにかく与えられた職務はきちんと遂行しました。そうしたベースがあったため、周囲からも後ろ指を指されることが少なかったように思います。あいつは仕事もちゃんとやってるから仕方が無いと。

ヨガを思い通りに続けるためには、こうして周辺環境を整備することが大切でしたね。」

こうして周囲の理解を得ながら働く大学病院で、あるとき高尾先生に転機が訪れます。

「医局で、教授が退職するタイミングがあったので、私も同時に医局を抜けて退職し独立しようと考えました。ヨガもできるクリニックにしたいと考えたため、まずは物件探しかなと思い、開業を想定していた表参道近辺の下調べを行いました。

すると、ちょうどここ『イーク』が表参道での新規開院にむけて求人を出していることを知ったのです。もし自分が開業したらライバルになるに違いない!そう思った私は、面接という名の偵察に来ました(笑)。ところが、そこで想像以上に気があってしまった。『どうやって断ろうかな?』と思いながら帰宅すると、早々に面接の合格メールが届いていました。その後何度かやりとりする中で熱意に負けたこともあり、また私の『患者さん向けにヨガを行うスペースが欲しい』という希望も叶えてくれたこともあって、晴れてこのクリニックの医師となったんです。」

たしかにクリニックの待合は驚くほどに広い。聞けば、その一部がヨガスペースとして区切れるような仕様になっているのだとか。

「現在は、産婦人科医として、またヨガの指導者としての両面から患者さんをサポートできる環境で働いています。私の理想は西洋医学と、代替医療としてのヨガとの融合ですから、自分の強みや特徴を生かし、幸せな働き方ができていると感謝しています。」

■あくまで「産婦人科である」ことへのこだわり

自分の理想通りのキャリアを手に入れた高尾先生。そのキャリアを追求するにあたって最も大切だったことは何でしょうか?

「私がキャリアの中で絶対に譲れないのは、きちんとしたプロの産婦人科医でいるということです。産婦人科もヨガもできる医師ではなく、あくまで産婦人科を専門とする医師が、たまたまヨガのインストラクターでもあるというスタンスにこだわりました。二足のわらじではなく、あくまで本職の産婦人科医として一人前であり続けること。それを軸とするからこそ、プラスアルファのヨガが価値を持つんじゃないかなと考えています。もちろん毎日イーク表参道でかなりの外来数を担当しています。

譲らなかったものがある一方で、失ってきたものは何かと考えているのですが、実はあまりないんじゃないかなと思っています。あえて言うなら、“日曜日”でしょうか(笑)。イーク表参道における診療はもちろん、診療のない日もどこかで何かの仕事をしています。各地で運動指導者のために講演をしたり、その準備をしたり、国立スポーツ科学センター(JISS)での「女性アスリート育成・支援プログラム」のプロジェクトメンバーとして仕事をしたり、あとは顧問医としてのアスリートサポート、パーソナルトレーナー、ヨガインストラクター、高校・大学の部活指導も。丸一日のお休みはほとんどありませんが楽しく仕事をさせていただいています。

『プロの産婦人科医であり続けること』。私はこれまでもこれからもこの軸足にこだわり続けるつもりです。私のようになりたいと相談してくれる若手の医師もいますが、その時にも『まずは医師としてプロフェッショナルであるように』とアドバイスしています。」

■インタビューのまとめ

・好きなことに出合ったらとことん続ける
・キャリアのための環境づくりは自分の努力で
・絶対にぶれない“自分の軸”を見失わない

 

■取材協力

女性のための統合ヘルスクリニック
イーク表参道

〒150-0001
東京都渋谷区神宮前4-26-18
原宿ピアザビル4階
TEL:03-6447-1561
http://www.ihc.or.jp/

 

■高尾先生オフィシャルブログ http://blog.livedoor.jp/drmihotakao/

■文・写真  中山記男

 

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