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2015年11月30日

新連載:富坂美織の「知ること、診ること、学ぶこと」
第1回 渡米、コンサル業……。
“変化”がもたらしてくれたもの。

産婦人科医の富坂美織先生の連載がスタートします。ハーバード大大学院留学、マッキンゼー・アンド・カンパニーに在籍、女性医療のプロジェクト―チームに参加など、立ち止まることなく挑戦し続ける富坂先生。今秋よりニューヨークに拠点を移し、より多角的なベクトルで世界と日本を見つめます。

 

            富坂美織(とみさか みおり)先生

1980年、東京都生まれ。産婦人科医・医学博士。順天堂大学医学部産婦人科教室非常勤講師。
順天堂大学卒業後、東大病院、愛育病院での研修を経て、ハーバード大学大学院にて修士号(MPH)を取得。マッキンゼーにてコンサルタント業務に従事した後、山王病院を経て、生殖医療・不妊治療を専門としている。 著書に『「2人」で知っておきたい妊娠・出産・不妊のリアル』(ダイヤモンド社)『ハーバード、マッキンゼーで知った一流にみせる仕事術』(大和書房)などがある。 

 

これからjoy.netで連載させていただきます産婦人科医の富坂美織です。

女医さん向けの媒体に書かせていただくということで、初めての経験でドキドキしていましたが、逆に女性医師の読者さまが多いからこそ、他の職業には分かってもらえないことも書いてみようという気持ちになりました。仕事でもプライベートでも幅広い選択肢のある「女医」という職業だからこその悩みや不安、正直なところをこの場で皆さまとシェアできたらいいなと思っています。

これから、アメリカでの医療情報や生活情報も含めて、幅広く日常の中で自分の周囲に見つけた「知ること、診ること、学ぶこと」にも触れていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 今回は初回なので、簡単に自己紹介をしておきます。年号と職歴というよりは、自分の思いとリンクさせての経歴を書いてみます。

私が医学部を卒業したのは、新研修システムが始まった2年目の年。高校、大学とずっと私立だったので、比較的自由に動ける新制度は嬉しく、変化が好きで外病院にあこがれていた私は、国立の大学病院と一般市民病院の、1年ずつのたすき掛けプログラムで初期研修をしました。その後、そのまま研修病院の医局に入り、総合周産期母子医療センターで後期研修を実施。この時期の緊急手術や母体搬送受け入れで、自分だけでは対応しきれない人の生死が関わる時間との戦いの現場に何度かあたり、責任や制度といったことを深く考えるようになりました。

それから自分の方向性を決める手助けにもなるかなと、後期研修の途中、29歳の時にアメリカへ留学。1年間の母子保健と医療政策の研究で、MPHという公衆衛生学の修士号を取りました。向こうではMD・MPHの組み合わせってとても多いんですね。留学後はすぐに臨床へ戻る予定でしたが、留学中のクラスメートたちの幅広い職種選びに感化され、私も!と、当時、学んだことをそのまま生かせると思った外資系コンサルティング会社に1年間在籍。医師でない人たちとプロジェクトに参加して、コンサルタントとして働くという経験をしました。

留学とコンサルティングの分野において多くのことを学んだ2年間で、時に職人としての専門性や精神性が必要とされる医師の世界では、やや外れた経歴と考え方になったかもしれません。しかし、同じような経歴で活躍している先輩もちらほら出現している時期だったので、迷いや不安はありませんでした。帰国後、以前いた医局には戻りにくかったこともあり、私立病院で後期研修を修了。一般病院でしばらくいろいろな疾患を診つつ、生殖医療に携わるようになりました。

 現在は、アメリカ・ニューヨークに拠点を移し、しばらくの期間過ごす予定です。とはいっても日本と行ったり来たりの生活で、昨年から担当している現政権の女性医療のプロジェクトチームの仕事や、地方に赴き少子対策課の講演などの業務を行っています。そして母校の非常勤講師として、時々お手伝いをすることもあります。引き続き日本の医療現場にも携わりながら、現在抱えている問題や未来への展望を、広い視野で捉えていきたいと思っています。

 最近、期待しているニュースといえば、夫婦別姓の選択肢が認められるかどうかの最高裁の判決が、12月に下されること。夫婦別姓が実現すれば、仕事をある程度してから結婚した女医さんにとっても「過去の論文と苗字が違ってしまい不便」「旧姓で仕事していると、医籍と苗字が違って患者さんや事務から確認される」といった業務上の面倒に遭遇しなくて済むと思うんだけどな……。

富坂美織先生の著書

ハーバード、マッキンゼーで知った
一流にみせる仕事術(大和書房)

ハーバード、マッキンゼーで
世界のトップクラスと
言われる人々と出会い、
見えてきた一流の仕事術。
潜在的な可能性の見つけ方や
時間活用術など
壁にぶつかった時にこそ
力をくれるヒントが満載です。

 

 


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