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2015年06月08日

働く母親を子どもはどう受け止めるか
ワーキングマザー医師&お子さんへのインタビュー

ワーキングマザー医師が抱える子どもへの罪悪感。寂しい思いはさせていないか、無理をさせているのではないか・・・悩みは尽きないものです。そこで今回は、常勤医、留学、開業と激務の中で2人のお子様を成人まで育て上げられた内科・小児科医のM先生と、医師としてのスタートを切られたばかりの息子さんにワーキングマザー医師と子どもとの関係についてお話を伺いました。

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夫にも両親にも頼れない子育てを救ってくれたもの

「我が家は、私も夫も医師。夫は外科医で、特に子育て期は非常に多忙な時期でした。そのため、家事・育児の一部を担ってもらうことは実質不可能。そのうえ、両親も仕事をしていたので頼ることもなかなかできない。子育て期は本当に苦労の連続で、親子共に体調が悪く、私と娘と息子と3人で泣きながら保育園に通ったことも幾度となくありました。」

「そこで取り組んだのが、家事・育児をサポートしてくれる人を自ら探すことでした。身内に頼れないなら、自力で誰かお願いできる方を見つけるしかないですから。とはいえ、ただ条件の合う人を機械的に探すだけではダメ。価値観や子どもとの相性などを踏まえてぴったりな人を見つけることに徹底的にこだわりました。子どもが長い時間一緒に過ごすわけだし、長期的なお付き合いとなるからには、ちょっとした違和感や価値観の相違がストレスに繋がることは目に見えていますからね。とにかくたくさんの人に会って、話をしてというプロセスを繰り返したことで本当に良い方に巡り合えたのは幸せでした。」

「色々な人の力を借りて子育てをしてきたことで、自分の力を過信しないことの大切さに気付きました。仕事も家事も育児も、何でも自分1人で完璧にやらなければと歯を食いしばることは自分で自分を追い詰めてしまうんですよね。精神的にも肉体的にも余裕がなくなって子どもも苦しめてしまう。それよりは、たくさんの人に助けてもらって、素直に『ありがとう』と感謝する気持ちを持つことのほうがいい表情でいられる。子どもにとってもそんな穏やかな母親のほうがいいに決まってますから。」

「子どもがかわいそう」は卒業して

「余裕を持てるからというだけではなく、色々な人の力を借りて子育てするのは子どもにとっても良かったと思っています。たとえば、保育園。しつけはもちろん、親だけでは与えてあげられない経験、体験をたくさん与えてもらえました。同年代のお友達だけでなく幅広い年代の仲間がいる場だからでしょうか。子どもの同士の関係性の中で、ケンカしたり、お友達を思いやったり、お兄ちゃんに憧れたり。子ども同士で一緒に育ち合う姿を微笑ましく、頼もしく感じていました。今、子育て中の女性医師の中には『保育園に預ける時間が長く子どもがかわいそう』と罪悪感を抱える方も多いと思います。確かに寂しい思いはさせるかもしれない。でも、それだけではないかけがえのない経験もたくさん得られるから『子どもがかわいそう』は卒業していいんじゃないかなと思います」

「また、今だからこそ思えることなのかもしれませんが、子育てをするのに親の目はちょっと届いていないくらいがちょうどいいのかもしれません。子育ては悩みの連続。あまりに一緒にいる時間が長いとそればかりを思いつめてしまう。でも、仕事をしていると物理的に時間がないから子育てだけに悩んでばかりもいられない。だから『まあ、いいか』と大らかになれるんですね。それが子どもとのいい距離感に繋がるのではないでしょうか。」

母親が奮闘している姿は子どもに伝わる

「多くの人のサポートのおかげで仕事と子育てとを両立してきたわけですが、やはり子どもに申し訳ない気持ちを抱くこともありました。多忙を極めている時など、辛そうにしている姿や思いつめた顔で奮闘している姿も子どもに見せてしまっていましたしね。でも、その頑張りって子どもは感じてくれるところがあったようで、小さいながら、私を褒めてくれることもありました。『ママはえらいね』『よく勉強しているね』とか、時には『忙しいのにオシャレして偉いね』なんて言ってくれたことも。子どもに褒められるって嬉しい体験でしたね。」

「子どもが大きくなった際に言ってくれた言葉で印象的なものもありました。小さな頃を振り返ってこう言ってくれたんです。

『ママが頑張ってたのは分かってたし、ママが申し訳ないと思うほど、僕らは辛くも悲しくもなく、楽しくやってたよ』

と。真偽はともかく、そんな言葉で労わってくれる日がきたんだなあととても感激したのを覚えています。」

母親の頑張りを子どもは理解してくれるというM先生。実際のところ、息子さんはどのように感じていたのかお話を伺ってみました。

寂しい気持ちもあったかもしれないけど、頑張る母親が嬉しかった

「子どものころのことを思い出しても『寂しかった』という記憶はないです。もちろん、その場その場で寂しさを感じたことはあったとは思いますが、寂しい子ども時代だったなという思いはないですね。母親が仕事をしていること、仕事に真摯に取り組んでいることは分かっていましたし、尊敬というか畏怖というか憧れというか応援というか、うまい言葉で言い表せませんが何がしか子ども心に感じていました。母親と過ごす時間が少なくても放置じゃないことは分かっていましたし、何かあった時に拒否されることもないし、時には真剣にぶつかり合った。だから、普段ずっと一緒にいられるわけではないけど、関係が希薄だなんて思ったことはないし、自分の中の『最後の砦』、それが母親だったという印象です。」

「母は僕たちを子どもだけど別人格として尊重してくれていました。盲目的に子どもを守る母ではなく、対等な立場で接してくれていたように思います。子どもにも理屈とか説明していたし、まだ難しいと思えるような話もしていました。人間関係や社会のこと、哲学のことなども、たとえ僕たちが嫌がっても何度となく話してくれました。そうやって、子ども扱いせず、別人格として、大人と同じように対等に扱ってもらうことに、誇らしさや嬉しさもあったかもしれません。そうやってきたからからか、うちの家族はそれぞれ個人を尊重していて、濃密な親子関係ではないけどつかず離れずの良い信頼関係で結ばれているように思います。母親には今でも色々言うこともありますが、大切にしなきゃなって思いは常にあります。」

最後に、M先生に育児と仕事との両立に取り組む後輩女性医師へのアドバイスを伺いました。

「医師になったからには、医療を通しての社会貢献は義務だと思います。だから、どんな形でも仕事は続けていってほしい。まだ子どもが小さいうちは、ベビーシッターに延長保育、家事代行ととにかくお金がかかって、稼いだ分全部消えてしまうこともあると思います。『働く意味あるのかな』という疑問も出ると思うけど、それは期間限定のこと。たとえ赤字になっても、細々とでも仕事は続けたほうがいいと思います。50歳過ぎると『こんなもんかな』と手ごたえを感じ、現状を素直に誇りを持って受け入れられるようになります。今は子どもに手をかけられないことに罪悪感を覚えることもあると思うけど、子どもはよく理解してくれてちゃんと育つから、悲しまないで、苦しまないで。子供にゴメンなさい、はやめよう。ママ頑張る、だからあなたも頑張って、と、ニッコリ笑顔でいましょう。子供は私達の力を超えて全てを見聞きし学んでいきます。全てをプラスにしていくから。子育ての仲間は、配偶者ではなく、子供本人です。安心して、子供と楽しんで下さいね」

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