8de73472 ad8e 4a87 a594 e1df362d2a8d医療トピックス
2016年01月04日

闘病記専門古書店「パラメディカ」星野さん選!
固定概念を覆す!? 女性医師に読んでほしい闘病記たち

闘病記と聞くだけで、「私はちょっと・・・」と苦手意識がむくむく・・・という、そこのあなた。さもありなん。世に出ている「闘病記」と呼ばれているものの著者ですら、「私は闘病記なんぞきらい」とのたまっている本が多数見受けられます。「闘病」という言葉に抵抗を感じる人は少なくないのです。

でも、知っていましたか~?「闘病」という言葉を生み出したのは、実は医師。ベストセラー推理小説家であり、優秀な医師でもあった小酒井不木が自身の結核との闘いを綴った『闘病術』が「闘病記」という言葉のゆえんと言われているのです。不木は39歳の若さでこの世を去りますが、江戸川乱歩ら人気作家が世に出るきっかけを作ったのも彼でした。

とはいえ、「闘病記」を読んでいる暇なんかない!という声も聞こえてきそう・・・・・・そこで、仕事に子育てに大忙しのあなたにもおすすめの闘病記を、闘病記専門古書店「パラメディカ」店主・星野史雄さんに選んでいただきました♪

がんの再告知を受けた帰りにジャガーを購入!
痛快なエピソード満載の『死ぬ気まんまん』

まず、サクッと読めて、おすすめなのが、『100万回生きたねこ』の作者としてもおなじみ佐野洋子さんの『死ぬ気まんまん』。著者は、「物欲はない」としながらも、最後の物欲として、がんの再発告知を受けた病院からの帰り道に、イングリッシュグリーンのジャガーを買ってしまうつわもの。「私は闘病記が大嫌いだ。それからガンと壮絶な闘いをする人も大嫌いだ」と、いわゆるがんの闘病記とは一線を画す、痛快な佐野洋子節に引き込まれること間違いなし。

死ぬ気まんまん (光文社文庫)
佐野洋子

 

 

 

成人ステイル病に見舞われたイラストレーターによる
闘病コミックエッセイ

ほんわかしたタッチのイラストで綴られる『なんびょうにっき』は、闘病記ないし闘病コミックエッセイ。イラストのかわいらしさとは裏腹に、突然「成人スティル病」に見舞われたフリーのイラストレーターの心情が、「悲劇のヒロイン」としてではなく、「生身の人間」として淡々と描かれて、心にじわじわと迫るものがある。

なんびょうにっき (フリンジブックス) 
さとう みゆき

 

 

 

「いい患者になる工夫をしたほうがいい」
永六輔さんの患者哲学が凝縮された『男のおばあさん』

次におすすめしたいのが、ミリオンセラー『大往生』でも知られる永六輔さんの『男のおばあさん』。かつては、「病院嫌い、医者嫌い」を公言して憚らなかった永さんでしたが、自身を襲ったパーキンソン病という病気や怪我を通じて、「いい患者になる工夫をしたほうがいい」。永さんらしい患者哲学が凝縮された一冊は、医療者にとってもたくさんのヒントが詰まっています。

男のおばあさん 楽しく年をとる方法(大和書房)
永 六輔

 

 

 

と、これらの闘病記をセレクトしてくれた店主の星野さんが闘病記専門の古書店を始めたきっかけは、奥さんの乳がん。闘病記の魅力にすっかりハマってしまった星野さんは、奥さんの他界後、本格的に闘病記収集に勤しみ、気が付けば闘病記専門の古書店を持つまでにいたりました。

自身、5年前にステージⅣの大腸がんが見つかりましたが、「ステージⅣでも末期患者と呼ばれるのはしっくり来ない。実際、5年が過ぎました。いまは使える抗がん剤も増えて、ステージⅣでも新しい薬が出るまで薬をつなぎながら、生きていくことが可能になりました」。一方で、「大腸がんで使える抗がん剤はあと2種類程度しか残っていないので、あまりよい状況とは言えないのですが…」と決して楽観できない現状をも、いつものごとく飄々と語る星野さん。これも多くの闘病記と接してきたからこその境地でしょうか。
「たまには、患者視点に立ってみるのもいい。闘病記は、医師にとって、患者の側から考えたり、医療を俯瞰したりするツールとしても役に立ちます」。

朝日新聞アピタル連載ブログ『闘病記おたくの闘病記』

■文 今村美都


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